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【塾講師直伝】要約が上達する3つのコツ

おはようございます!
今日も、勤務校の国語の授業で感じたことを書きます。

文章の要約は難しい

枕草子が終わって、今は『片耳の大シカ』という物語文を読んでいます。

で、「この物語を、未読の人にも一分で伝わるように要約する」という授業をしているんですが…やっぱりみんな苦戦しています。
文章を要約するのって、勉強の得意な子でも難しいんですね。

要約が難しい理由

なぜ要約が難しいかというと、ゴールがイメージできていないからです。
数学や理科みたいに模範解答がないので、目指すべき方向が分かりづらいんですね。

と、いうことで、この記事では「ここを意識しながら書くとうまく要約できるよ!」というコツを説明します。

要約のコツ…ひと言で書く→具体と抽象で書く→そぎ落とす

要約のコツは3つあります。

①「これは何の話?」を(ストーリーの視点から/主題の視点から)、それぞれひと言で書く

② ストーリーのあらすじを書く

③ ②をそぎ落とす

順番に説明していきますね。

たとえば『桃太郎』を要約すると…

たとえば『桃太郎』で①をすると、こんなふうになります。

①-1 ストーリーの視点

・桃から生まれた桃太郎が、犬・猿・キジを仲間にして鬼退治をする話

①-2 主題の視点

・仲間の個性を生かすことと、力を合わせて協力することは大事だという話

人によっていろんなまとめ方があると思うので、他のまとめ方でも全然OKです。
ここではとにかく、「ひと言で書く」ことが大事です。

② ストーリーのあらすじをまとめる

②は、「桃太郎を読んだことのない人にあらすじを説明する時、自分ならどうしゃべるかな?」と想像すると書きやすいです。
たとえばこんなふうになります。

・昔の話。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行った
・川から大きな桃が流れてきた
・桃を割ったら桃太郎が出てきた
・桃太郎は成長して、鬼退治に出かけた
・出かける時におばあさんからきび団子をもらった
・桃太郎は道中、きび団子を使って犬・猿・キジを仲間にした
・仲間たちの個性を活かして協力し合って、激闘の末に鬼を倒した
・鬼の住処から村に財宝を持ち帰り、みんな幸せになってハッピーエンド

桃太郎の要約①

③ ②をそぎ落とす

このままだと要約としては長すぎるので、余計なものをそぎ落としていきます。
この時のポイントは、

・物語の設定は必ず伝える(時代背景や登場人物の状況など)
・①を伝えることが最大の目的

この2点を意識することです。

この文章で一番大切なところは①の部分なので、そこは必ず伝える必要があります。
そして、物語の設定は①を理解するために不可欠な情報なので、ここも伝える必要があります。

すると、こんなふうに要約できます。

・昔の話。室町時代くらい。
・桃から「桃太郎」という男の子が生まれた
・成長して、犬・猿・キジを仲間にして鬼退治に出かけた
・協力して鬼を倒して、ハッピーエンド

桃太郎の要約②

みたいな感じになります。これが極限までそぎ落とした要約のイメージです。

要約例①:桃太郎

今回は「未読の相手に、一分で伝わるように要約する」ことが目的なので、要約①と②の中間くらいを目指してまとめてみます。

『桃太郎』のキーワードは2つあります。
一つ目は、仲間の個性を生かす大切さ。
二つ目は、協力し合うことの大切さです。(…主題)
昔、室町時代くらいの武士が活躍していた時代、山の中におじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日おばあさんが川へ洗濯に行った時、上流から桃が流れてきました。
桃を割ると中から男の子が出てきて、その子は桃太郎と名づけられました。(…設定)

桃太郎は成長して、鬼退治に行くことになりました。
その道中、おばあさんからもらったきび団子をあげて、犬と猿とキジを仲間にしました。
鬼の住処に着いた桃太郎たちはそれぞれの個性を生かして協力し合い、激闘の末に鬼を倒しました。(…主題を伝えるエピソード)
鬼から奪った財宝を持ち帰り、桃太郎は村の英雄になりました。

要約例②:ごんぎつね

桃太郎はちょっとシンプル過ぎたので、もっと長い『ごんぎつね』も要約してみました。
(本文はこちら↓)

『ごんぎつね』のキーワードは3つあります。
・一つ目は「孤独」
・二つ目は「思いやり」
・三つめは「すれ違い」です。(…主題)
登場人物は、「ごん」という狐と「兵十」という男。
ごんには家族がなく、兵十も年老いた母と二人暮らしでした。(…設定)

ごんはいたずら好きで、ある日兵十がつかまえたうなぎを逃がしてしまいました。でも実はそのうなぎは、病気で死にそうな兵十の母が食べたがっていたものでした。
ごんのせいで、兵十の母はうなぎが食べられないまま死んでしまいます。

これを知ったごんは、罪滅ぼしを始めます。
山で栗やまつたけを拾ってきて、兵十の家に置いたんです。
でも、自分の正体は決して明かしませんでした。
いつの間にか置いてある栗やまつたけを、兵十は神様からの贈り物だと考えました。
それを知ったごんは、とても複雑な気持ちになりました。

兵十からの感謝がなくても、ごんは栗を届けます。
そしてある日、兵十に見つかってしまいます。

兵十は、ごんがいたずらをしに来たと勘違いして、銃で撃ってしまいます。
そして初めて、そばに置いてあった栗に気づきます。
「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」…物語はここで終わります。(太字…主題を伝えるエピソード)

孤独な者同士の思いやりがすれ違う、切ない物語。それが『ごんぎつね』です。


要約する時は、①(=ひと言で表したストーリー&主題を伝えよう!という意識)が何よりも大事です。
そこをゴールにしてください。

①を伝えるためになくてもいい情報は、思い切って切り捨てます。

たとえばごんぎつねの要約では、「ごんが魚屋からいわしを盗んで兵十の家に放り込み、盗人と勘違いされた兵十が魚屋に殴られた」というエピソードは丸々カットしました。

このエピソードがなくても、物語のメインである「孤独」「思いやり」「すれ違い」の要素が伝わるからですね。

要約力は仕事をする上でも重要

実はちょっと前、Voicyでこんな話を聞きました。

今の子たちはチャットコミュニケーションの中で育っているので、相手から返信が返ってくることが前提で文章を書く癖がついているんですね。
たとえばメッセージで先生に宿題を確認する時に、「宿題いつまでですか?」と書いてしまったりする。
(「どの宿題ですか?」と、先生が返信してくれると思っている)

私はよく、ココナラとかの外注サービスを利用するんですが…仕事のシーンでも、必要な情報をきちんと送ってこない相手は信頼できないですよね。

要点をズバっと掴んでひと言で書く力って、日常生活でも仕事でも、すごく大事だよなと思います。

①「これは何の話?」を(ストーリーの視点から/主題の視点から)、それぞれひと言で表す

② ストーリーのあらすじをまとめる

③ ②をそぎ落とす

この3つを実践するだけで、ポイントを押さえた要約ができるようになります。
要約の仕方が分からない…と悩んでいる小中高校生さんにこの記事が届きますように。シェアやスキをしていただけたら嬉しいです!

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