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星野リゾートのマーケティングは面白いんだ【前編】

(この記事は約8分で読めます)

先日、連休を取って軽井沢へ行ってきました。
聴講生として大学の商学部に通っていた頃、私は星野リゾートの経営方法をテーマにして期末レポートを書きました。
その時から、「次に旅行に行く時は星野リゾートグループに泊まってみたい!」と思っていました。

そこで今回の旅行では「軽井沢ホテルブレストンコート」に泊まったのですが…やっぱり経営力がすごいなぁと実感しました。

そこで、聴講生時代に学んだ知識をもとにして、星野リゾートのマーケティングの面白さについて書いてみることにします。

「教科書通り」の経営を大切にする星野代表

まず前提として、星野リゾートの星野佳路代表は、教科書通りの理論に沿ったマーケティングを大切にされています

〇「星野リゾート代表『100%教科書通り』の経営が会社を強くする」
『日経ビジネス』 2022年6月30日 最終アクセス

SNSでのバズリ一発狙いとか、過剰な広告を打ったりしない。
ものすごくオーソドックスな方法を使って成果をあげ、ブランド力を高めているわけです。
このやり方が私は好きなんです~(*^_^*)

では、「教科書通りの方法=マーケティングの基礎基本」ってどんなものなのか?
今回の旅行を例にして自分なりに解説しようと思います。

【問題】5,000円のスパークリングワインをどうやって売る?

ホテルの部屋には冷蔵庫がありますよね。
ドリンクが入ってて、飲んだ分だけチェックアウトの時に支払うやつです。

今回宿泊した部屋にももちろんあって、その中には以下の飲み物が入っていました。

・お茶  200-300円くらい?(記憶があやふやですみません(^^;))
・ビール(よなよなエールなど) 400円くらい
・スパークリングワイン     5,000円強くらい

【ちょっと前置き】
冷蔵庫の中に「よなよなエール」が入っている理由

本題(高額なスパークリングワインを売る方法)に入る前に、少しだけ前置きをさせてください。

よなよなエールは星野代表が創業した「ヤッホーブルーイング」が作っているビールなので、利益率が高いはずです。

〇「ヤッホー社長が語る廃業危機 星野リゾート社長の一言で涙の発奮」
『日経クロストレンド』 2022年6月30日 最終アクセス

いわゆる事業シナジー効果というやつです。

しかしおそらく、利益率の高さはそこまで重要なことではない、と私は考えています。
客室の冷蔵庫にヤッホーブルーイング社のビールだけが入っている最大の目的…それは「広告」なのだと思います。


なぜかというと、ここは軽井沢だからです。
歩いて行ける距離に売店や自販機がありません。
部屋でビールが飲みたくなったら、お客さんはヤッホーブルーイングのビールを飲むしかないんです。

つまり…
・店の棚で目立たせなくても、※1
・知名度が高くなくても、何千万円もかかる広告を打たなくても、
→顧客が必ず自社のビールを飲む!
 という状況を作り出しているんです。

―――――
※1
スーパー等で商品の陳列順を決めることを「棚割(たなわり)」と呼びますが、メーカー間で本当に熾烈な競争があるのだそうです(卸の営業さんに聞きました)…
棚割の優先順位は、主に知名度…つまりその商品にかけられている広告費で決まるそうです。
アサヒやサッポロ、キリンは全国CMを打ちまくっていますよね。
ヤッホーブルーイング社が広告費で戦っても勝てません。

知名度が低い&棚の目立たない位置にあれば、そもそもお客さんに手に取ってもらうことすらできません。
どうすれば知名度の低い自社製品を、広告費をかけずに潜在顧客に手に取って、飲んでもらうのか…
→必然的にそうなる「状況」を作り出してしまえ!
という、星野リゾートの教科書戦略の一端をここに見ることができます。
―――――

1人のお客さんが宿泊中に買うビールの購入額なんて、そのお客さんが「帰った後、地元で毎日買うビールの購入額」と比べたら、それこそ雀の涙ほどの金額にもなりません。

このことから考えても、

・ホテルの売上げを増やすため
(=ブレストンコートのため)
ではなく
・広告費をかけずに味見をしてもらい、ビールメーカーとしての知名度を上げるため。
(=ヤッホーブルーイングのため)

これが主目的だと考えるのが妥当です。
旅行中の夜に飲むビールは格別に旨いですし、味や印象の面でも通常以上の広告効果を発揮するのではないでしょうか。

【本題】スパークリングワインの売り方

前置きに熱が入ってしまってすみません(^^;)本題はここからです。
ホテルとしては、当然一番高いスパークリングワインを売りたいはずです。

イメージ図

でも、一泊2-3万円の宿なのにドリンクが5,000円強って、高くないですか?
普通に考えたら、買う客はほとんどいないはずです。

でも、売れます。
一泊2-3万円のホテルで、一瓶5,000円のスパークリングワイン。
どういう仕組みで売れているのでしょうか?

ヒントは…
1,ホテルの立地
2,部屋の内観

そしてマーケティングの基本である、
3,「必要なものを、必要とされる場所に持っていけば自然と売れる」という考え方

です。
続きは近いうちに書こうと思います!

ヒント①:軽井沢「星野エリア」の地図
ヒント②:客室の内観






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