見出し画像

#2美術品の高価買取・安心査定!……ホンマか?

前記事にて、買取業社が美術品を買い取る際にどのように金額を付けているのかをお伝えしております。

ざっくり言えば、多くの買取業社は美術品買取価格を決める際「分かんないので他の人に聞いて」ます。

ここでは、もう少しだけ深掘りして、彼ら(の業態)がどのような人に聞いているのか? どうやって利益を出しているのか? みたいな部分をご紹介できたらと思います。
(前回同様、あくまで業界よもやま話程度に……)



【その儲け方/販売先……】

さて、「分かんないので聞いた」人たちから来た査定の中から任意に金額を選んで買い取っていきます。

当然ながら仕入れたところから転売して利益を出していかなければいけません。前記事でも少し紹介してますが、主なところをもう少し具体的に紹介します。

●同業他社への販売

買取業社が別の買取業社に査定依頼……というのは、顧客側からすると各店舗の繋がりが見えないのでピンと来ないかもしれませんが結構一般的です。
所謂、横の繋がりというヤツでして、買取業者からの買い取りを専業にしている買取業社もあるくらい……(ややこしい)

この場合、オークションや自身で販売するより換金速度が速いことが利点です。
また、母体(親会社など)がある業者はそこが査定・買取をしてくれることも多いです。


●オークション/ネットオークション出品

オークションへ出品する方法も一般的な方法の一つ。
最大の魅力は「予期せぬ高値になる」ということですが、逆の現象も起こることがあり確実性とスピード感において若干不安要素のある転売の仕方です。
(その辺のことも過去に少し書いてるのでよろしければ)

さらには、オークション会社の査定を参考に買い取った後、オークション会社に実物も持ち込んだら「コレは出品ができない」とか「これマズい」とか真贋や状態の観点から出品拒否や金額が下がることもしばしば……

査定の段階では実物がなくて判断できないことは百も承知ですが、高額品でこれが発生すると損失がエグ過ぎて怒りに満ちた買取業社の拳が飛んできそうなので
オークション会社は査定の際に「仮に出品できるモノだとして‼‼‼‼」ということを査定の際にメッチャ強調します。

これ関係の問題はオークションじゃなくてもよくある……


●古物商業者会/自社販売

ざっくり言えば古物商(画廊・オークション会社・買取業社など)のみが参加できる業者のみのオークション。
今でこそ、古物商許可証を持っていれば個人でもふらっと入れるところもありますが基本的にかなり閉鎖的な市場です。

手数料もオークションほど高くなく(5%くらい)で、公開性もなく定期的に開催されることが多く参加者が専門業者のため
「知る人ぞ知るモノ」だった、ということで高額になることもあります。

ただ閉鎖的な要素が強く基本的に紹介制や連帯保証など複雑な面が強く、一般人には壁があるのが現状です。

また、こうしたオークションや業者会を買取業者が自社で行うことも最近では増えています。
(競り場の手数料を払う側から貰う側に回るという賢い選択……)


【査定金額はかなり安い……?】

さて、こうしたところへ値段を聞いて、その金額を査定金額として作品所有者へ伝えますが
その際、所有者に伝えられる金額は”査定金額と同額ではありません”

当然ながら例えば、外部に聞いて100,000円と査定された品物を100,000円で買い取ってしまったら儲かりません(発送など諸経費込みで赤字です)。(聞こえは悪いけど)中抜きをする必要があるわけです。

ではいくらほど抜くのか?
それこそ品物にも業者にもより千差万別ですが、数十%を目安としていることもあるようです。

しかも各段階で儲けが出るようにするので、窓口に持ち込んだ人に伝わる金額はこんな感じになることも……

買取屋A「持ち込まれた絵画の査定分からんから聞こう」

買取屋B「聞かれたけどオレも分からんから聞こう」

買取屋C「これだったら100万円くらいで買う」

買取屋B「100万円で買ってくれるならオレは80万円で買いとっておこう」

買取屋A「80万円で買ってくれるなら私は60万円で買いとっておこう」

所有者に返答する査定額=60万円

そう聞くと、なまじ聞いた査定額が高かった場合多くの人が
「もっと査定額を高くさせようと」と考えて、いろんな業者や店舗へ査定依頼をすることも日常茶飯事。
(1点の査定のために県内中の業者に電話した人もいるとか……)

しかしながら、その相見積もりの際にご留意いただきたいのが
美術業界は思った以上に狭い ということです。


【業界の水面下……】

ここまでご紹介している通り、査定の際に「分からないから人に聞いてる」わけですが
異様なほど閉鎖的で狭い美術業界において、この時の金額は聞いてない人まで伝わることがあります。

それは聞かれた人がまた別の人に聞いてる、というのが主な原因ですが
連鎖的に繋がって同じモノの査定があちこちに出回ることがあるわけです。
(業者同士が情報共有するポータルサイトみたいなものある……らしい)

その場合、業者・関係者各位は口裏を合わせることがあるので
一般個人が品物を買取店Aに持っていても買取店Bに持っていても金額が変わらない、ということはよくあります。

関係者内で「この人に儲けさせてあげようか……」みたいな感じで特定の業者が買いたい金額で統一されることもあるとか……

それでも、業者によっては市場より全然高額で買ってくれる売り先があるところであれば
他の査定金額よりもはるかに高額を提示できるとこもあるので、必ずしも金額は一律になりません。


ざっくりとですが、割と身近にある「美術品買取業社」の査定や買取方などこんな感じになります。

美術品を売る場合、それぞれの売り先に特徴・利点がありますので
もし美術品を換金されることがあれば是非様々な選択肢をご検討ください。

追伸;
こんな感じで美術品が流通していると
三か月くらい前に近所の買取店で50,000円で売った絵が
今月のとあるオークションで200,000円で出品されて
最終的に500,000円で落札された……

とか

店員も所有者も何も知らず興味もなかったので適当に1,000円で買い取ったら2,000,000円は余裕でする絵画だった……

みたいなこともザラにあります。
だから”当たれば一発がデカい”品物なわけです。


この記事が参加している募集

業界あるある

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?