見出し画像

ダリと直接話せる電話がある……?

ここでも何度か紹介している人類史に残る愛すべき変人
芸術家サルバドール・ダリ

地味に生誕120年、没後35年である今年2024年(誕生日は5月11日)。
アメリカフロリダ州ダリ美術館において、今は亡きサルバドール・ダリと通話ができる電話が設置されます。

まぁまぁのいかがわしさを醸し出すこの企画は、ダリが実際に作成したロブスター電話を通してダリと直接話せる、というもの。

こちらにお話しください。変人がお応えします。

勿論、エジソンが望んだような死者との会話ではなく
所謂「デジタル ダリ」と話し(?)をすることが可能です。

アメリカの広告代理店Goodby Silverstein & Partnersが運営し、ダリの中身は(というと夢も何もないが)生成AI、GPT-4とEleven V2が搭載されている形です。

返答の一端を見ると「まぁ~…… ダリっぽいのかな?」という感じ。

現代のアーティストになると肉声や資料も豊富なので、こうしたモノは作りやすそうですが
ダリの喋り方は(メディアの前は特に)芝居がかってることが多く特徴的なのでダリっぽさが分かりやすい。

大体のダリの言葉が和訳されると「吾輩は……」とか「……であ~る!」みたいなことになりますが
実際、言葉が分からなくても変に抑揚があったり異常に巻き舌が長かったりしてそう訳したくなるくらい何か特徴的。

因みに元記事内にて、もし著者が電話でダリに聞くなら
「Pilar Abel Martinezという占い師があなたの娘だと主張しているが本当か?」聞いてみたい、とあります。

これは2015年頃にPilar Abel Martinez氏という女性占い師(インスタやってる模様)が
「わたしはダリの実の娘だ!」
と突如主張したことから、ダリの墓を暴いてDNA鑑定をするまでに発展した事件。

実際はダリ財団が所有する資産を狙って求めての主張だったようですが
過去に書いてる様、セックス恐怖症でオナニー依存症なダリに子供がいる可能性は低く(メッチャ女性の噂あるけど)
案の定、DNA鑑定の結果、血縁上の繋がりは全くなかったようです。

なお、この件で地味に話題になったのは、Martinez氏が諸費用7,000ユーロを払う羽目になったことより
墓を暴いた時、ダリのヒゲが風化せず健在だったことです。


こうしたAIによる故人を対象にしたモノは今後も物議を醸しながら発展していくでしょう(現に中国で今まさにモメてる……)。

ところで、なぜダリがこうしたAIのモデルになったのか?

推論ですが、資料が豊富かつ「言語モデル」としてキャラが立つから
というのが大きい理由ではないかと思います。
(あと単純にその作家の財団が協力的か、とか諸々)

また、作品が非常に謎めいたモノが多く、その謎のヒントをAIで語らせることはできないか?
という美術的な研究の足掛かりになるような発見を求めてる部分もあるかとは思います(そこに生じる問題はさておき)。

個人的にはコレを面白いと思いつつも、特段熱視線を送っているわけではありません。
何かのキッカケとなるものであっても、それは生きた画家の言葉でも何でもないですから。

それに多分、本当のダリが電話先にいたのなら
こちらの質問が終わる前に勝手に話し出して、いつの間にか自慢話になったと思ったら
ひとしきり捲し立てて満足したら電話を切ってきそうな気がします。

むしろそっちの方が私としては是非受話器を握ってみたくなりますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?