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ダリとガラ -変人の嫁は”超変人”?-

「ぐりとぐら」を彷彿とさせる響きのスペインの奇才、サルバドール・ダリとその妻ガラ。

歴史に名を刻んだ天才画家とその画業を支えた良妻、などという生易しい関係では全く
セックス依存症 VS セックス恐怖症 という水と油より混ざらなそうな関係から始まるこの2人。

変人の嫁はまた変人か。はたまたそれ以上か。
もはや普通な要素を探す方が難しい、とんでも夫婦の姿がそこにはありました。

引用;https://ja.findagrave.com/memorial/16783050/gala-dali/photo#view-photo=263877561

ダリは画家としての名声を得ながらも、その範疇に括られることを嫌い「サルバドール・ダリ」という存在のブランド化に生涯を捧げ
チョコレートのCMやチュッパチャップスのロゴデザインなどマルチに活動します。

ダリがなぜ、それほどに自身のブランド化に拘ったのかは前回の記事をご覧いただければと思いますが、理由はそれだけに留まりません。

それは、愛すべき妻のため。

などと言えば大変耳障りがよろしいのですが、下半身のご挨拶と金使いに天賦の才を発揮したガラに貢ぐためでもありました。


ダリとガラの出会いはのっけからスタンダードではなく
二人が出会った時には既にガラには相手がいました。というより、ダリの友人の嫁がガラだったわけです。

「NTRを素晴らしき愛だ」感じるかどうかは個々人の性癖に任せるとして
そもそも恋愛、性愛面において一般人とは感性も性癖が一味も二味も違うこの二人。

ガラはセックス依存症、かたやダリはセックス恐怖症という
レアスキルを互いに兼ね備えていながら、生涯(ダリ的には睦まじく)伴侶であり続けます。

しかしながら、盛りまくって多方面のナイスガイたちに身勝手の極意を発動するガラに対して
ダリ自身、ただ寝取られ属性に息を荒くしていただけでなく(なかったとは言い切れない)
割と悪い事ばかりでもなかったので厳しく咎めませんでした。

どういうことか。

例えば、ダリ、ガラ、数名の紳士諸君と湖畔に旅行に行くことがありました。
ダリがせっせと絵を描いている最中、ガラは好みの紳士を見つけるとボートに乗るよう誘います。

二人を乗せたボードが湖の中央まで向かうと
なーんか不自然に二人の影が重なり、なーんか不自然にボートが上下に揺れよる。

やがて”一般的な休憩時間”を終えるとボートが帰ってきて
ダリに仕事の依頼が入る、という素晴らしき下半身の飛び込み営業があったと言われます。

こんな感じで鈍感さと倫理感が吹き飛んだハーレム系のラノベ主人公みたいなガラに対して、ダリもひけをとっていたわけではなく
セックス恐怖症にしてオナニー依存症という属性オンパレードなダリ(諸説あり)にとってガラの奔放さなど些細なことでした。

別に諸説無くてもいいんですが、ダリがオナニーをする際の至高のオカズは12歳の美少年の尻だったと言われてます。

もはや批判するのも無粋なほどぶっ飛んでるこの二人ですが
それでもガラはダリにとって、生涯芸術的なインスピレーションを与える存在であり
ガラを聖母マリアに模した作品や彼女をモチーフにした作品を制作しています。
(ダリが「ガラのために!」と描いてくれた絵をガラは気に入らなくってとっとと売っぱらったらしい。どこまでもさすがである)

また、ダリは絵の良し悪しや今後の制作方針をガラに仰ぐことが多く、ガラはプロデューサーの要素もあり、その点ではかなり有能なセンスがあった模様。

そんなガラは金は増やさなくても使う方に才能があり、そのために常に金欠でした。
そのため、金が無くなっていく度にダリに仕事をするように指示し、時にはアトリエ(兼ホテル)に軟禁することもあったとか。

やがて金を稼ぐために周囲の画家たちが嫌うような低俗な作品を量産するようになりますが
その量産が「ダリ」というブランドの普及に多大な貢献を果たし、ダリというスターを世界へ際立たせていきます(そしてガラがその報酬を使う)。


傍から見て「ガラいない方がいいんじゃね?」と思うのはあまりに無粋。
ガラが先に亡くなると、急速に制作意欲を失って衰えたダリは後を追うように亡くなります。

幸せの形は多様であるということをその辺の生易しい事例よりも叩きつけてくれるダリとガラ。

皆さまもダリの作品を見かけた際は、夫婦の幸せ、そして人類の多様な性癖に思いを馳せては如何でしょうか?

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