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静 霧一/小説
2020年11月6日 18:58
あれから10日ほどの時間が経った。 3月14日の風は少しだけ春を纏っているようで、ほんのりと温かさを感じた。 今日は土曜日ということもあり、上野駅は観光客が多くいて、私はその光景を少しばかり離れた場所で見ながら、ただぼーっと突っ立っていた。約束の時間……といっても私が一方的に伝えた時間だったが、果たして彼は来てくれるのだろうか。 私はそれだけがただただ心配であった。 手に持っ