マガジンのカバー画像

カフェオレと塩浦くん(長編小説)

44
長編小説『カフェオレと塩浦くん』をまとめたものです。
運営しているクリエイター

#創作

カフェオレと塩浦くん #9

カフェオレと塩浦くん #9

「待たせちゃいましたか?」
「待ってないですよ、さっき来たところです」

 一週間後の土曜日。
 私は塩浦くんとの食事のため、池袋駅の中央改札口で待ち合わせをしていた。
 
 午後7時の池袋はすでに夜の喧騒がごった返し、どこか怪しげでありながら未知の路地裏へと誘い出されそうな、そんな都会の裏側のような香りが漂っていた。

 私たちは歩幅を合わせ、その夜の街へと吸い込まれるように消えていく。
 2人

もっとみる