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静 霧一/小説
2020年10月2日 18:24
「待たせちゃいましたか?」「待ってないですよ、さっき来たところです」 一週間後の土曜日。 私は塩浦くんとの食事のため、池袋駅の中央改札口で待ち合わせをしていた。 午後7時の池袋はすでに夜の喧騒がごった返し、どこか怪しげでありながら未知の路地裏へと誘い出されそうな、そんな都会の裏側のような香りが漂っていた。 私たちは歩幅を合わせ、その夜の街へと吸い込まれるように消えていく。 2人