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ruff個展《菫色少年秘密倶楽部》|DAY 1

本記事は、オンライン開催の霧とリボン企画 ruff個展 《菫色少年秘密倶楽部〜ゼニアオイの箱庭》DAY 1の配信記録です。最新情報は霧とリボン ツイッターでお届けしています。

Text|霧とリボン

 冷たいタッチの白い香気に誘われて門をくぐり、モーヴ色が繁茂する箱庭へ。降り注ぐ光のヴェールに包まれた、午睡から目覚めたばかりの少年たち。衣摺れのような囁きを交わしながら、午後の日課を終えて——

 菫色の小部屋の外壁を飾るクレマチス・アーマンディの満開と共に、イラストレーターruffさまの個展《菫色少年秘密倶楽部〜ゼニアオイの箱庭》が開幕致しました。オンライン・ギャラリーにて箱庭の風景をご高覧下さいました皆様に心より御礼申し上げます。うららかな初日の今日、お好きな時間、お好きな場所から、お楽しみ頂けましたでしょうか。

 2020年4月——パンデミックがはじまってまもない混乱の頃、ここオンライン・ギャラリー「MAUVE CABINET」をオープン致しました。以降現在まで実店舗の営業は見合わせ、オンライン展覧会を継続しています。

 今月で2周年を迎える感慨深い時期に、長く敬愛してきたruffさまの個展を開催できましたこと、本当に嬉しく、オンライン開催にご理解下さったruffさまに、改めまして心からの感謝を申し上げたいと存じます。

 この2年、迷いながらもオンライン展覧会を継続してきた中で、ご遠方の方のみならず、様々なご事情で現地へ足を運ぶことができないお客様方から、オンライン展覧会の継続を望む声をたくさん頂いてきました。
 作家さま渾身の作品を実際にご高覧頂くことが理想であることは承知の上で、世の中の状況に合わせて、展覧会のあり方も多様であって良いのではないか——お客様方の温かなご厚意から学び、励まされてまいりました。

 ruffさまとのご縁のはじまりも、オンライン展覧会でした。
 2020年7月開催、霧とリボンのオンライン展覧会で執筆者としてもご活躍頂いている精神科医・少女批評家の高柳カヨ子先生プロデュース展《少女の聖域》にご出品頂いたことがきっかけです。
 作家さまとのご縁は、本当に掛け替えのない宝物。ご縁を繋いで下さった高い審美眼持つ高柳カヨ子先生に心より深く御礼申し上げます。

 《少女の聖域》展(2020年)では「菫色の少女秘密倶楽部(VGSC)」を結成したruffさまが、本展では「菫色少年秘密倶楽部(MBSC)」を結成。少女から少年へ——ジェンダーレスな人物を描いてきたruffさまの、接近しつつ飛躍する感性にぜひご注目下さい。

ruff|聖域(デジタルデータ)
《少女の聖域》(2020年)出品作
ruff|ゼニアオイの箱庭(デジタルデータ)
本展(2022年)出品作

 本展では、少年たちが箱庭で過ごす4つのシーンを4日間の会期に割り当ててお届けします。ruffさまのイラストレーションと気鋭の執筆者によるエッセイの競演、同時発表するコラボ・ポプリセット(4/10〜)の配信をお楽しみ頂けましたら幸いです。

 毎回ご好評を頂いているオンライン展覧会恒例の「Artist’s Tiny Letter」。アーティストの皆様のお声をお届けすべく、展覧会テーマにまつわる共通の質問に答えて頂くちいさなお便りも配信中です。
 今回の質問はこちら。

 先の展覧会でご好評を頂いた、Tiny Letterのご回答を皆様から募集するプレゼント企画。本展では本日からTwitterにて募集をスタートしました(4/14・23:59締切)。会期後、ここオンライン・ギャラリーに掲載致しますので、ふるってご応募下さい。ruffさまの素敵なグッズ類を8名様にプレゼントします。

 それでは、本日DAY 1の「菫色の少年たち」の風景をお届け致します。

 詩人・嶋田青磁さまの巻頭詩が本展の幕開けを飾りました。
 菫色の少年たちを眼差すひときわ瑞々しい感性は、鳩山郁子先生の最新刊『羽ばたき Ein Märchen(原作:堀辰雄)』にオマージュを捧げたZINE『翼の在りか(2021年)』で鮮烈に刻んだ少年性からの流麗なる系譜。
 羽ばたく少年から、閉ざされた場所に棲まう少年へ——「菫色の領域」を逍遥する詩人がruffさまの少年たちに出会い調合した「新しい菫色」が、ゼニアオイの箱庭から香り立ちます。

嶋田青磁『翼の在りか』(2021年)

 
 続く「菫色の少年たち」のシーンでは、グラフィックデザイナー兼ファッション史家として名高い長澤 均さまのモーヴ色のペンが、時の中に浮かぶ色彩をエレガントに捉え、悠久のモーヴ色の時の中へと私たちをいざないます。そこから眺めるruffさまのイラスト世界の素晴らしさ!——時の遊覧船に揺れらながら観るゼニアオイの箱庭の風景を、春が巡るたびに思い出すことでしょう。

 霧とリボンのオンライン展覧会にて初めてエッセイを手がけて下さる長澤さまとのご縁は、世紀のクルチザンヌ、リアーヌ・ド・プージィをテーマにした拙展覧会(2018年)にお越し下さったことから。伝説の雑誌『パピエ・コレ』発行当時から憧れてきた長澤さまにご挨拶できた夢のようなひとときを鮮明に思い出します。
 以降、光栄にも、ご著作『20世紀初頭のロマンティック・ファッション』刊行記念展覧会(2019年)を開催させて頂いたり、またカルチャー・ソロリティ「菫色連盟」ではトークサロン「ロマン的魂の夢」をご主催、歴史の波間に煌めく繊細優美な事象を紐解き、比類なき文化史を私たちに届けて下さいました。

長澤 均さまの多彩なご著作一覧(撮影|長澤 均)

 ruffさまのイラストレーションと執筆者のご競演がオンライン展覧会の醍醐味。「観て読む」展覧会をどうぞゆっくりご体験下さい。

 明日DAY 2も皆様のお越しをお待ちしております。やさしい春の一日をどうぞお健やかにお過ごし下さい。

4月16日(土)23:00より販売スタート致します。販売期間は【4月16日(土)23:00〜4月18日(月)23:00】の3日間となります。

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