見出し画像

三人展《シェイクスピアの妹たちの部屋》|DAY 4

本記事は、オンライン開催の霧とリボン企画三人展 《シェイクスピアの妹たちの部屋》DAY 4最終日の配信記録です。最新情報は霧とリボン ツイッターでお届けしています。

Text|霧とリボン

 青空から風に乗って春の日射しが舞い降りてきた最終日の今日——四日間に渡りお届けしてきた霧とリボン企画「シェイクスピアの妹たちの部屋」は本日無事終了致しました。
 巻頭詩が掲げられ、イラストレーション、フランスアンティーク、ビスクドールが彩り、エッセイが綴られた部屋部屋のご滞在はいかがでしたでしょうか。「書斎」「ティルーム」「ブドゥワール」そして「屋根裏部屋」へと皆様をご案内する中で、多くのジュディスたちが行き交う気配が日に日に濃く深くなってゆくことを感じた四日間でした。
 ご自身の「私ひとりの部屋」に重ねながらご覧になられた方も多いのではないでしょうか。お気に留めて下さいました皆様、本当にありがとうございました。お部屋時間が続く今、本展がご自身を支える「私ひとりの部屋」について考えるきっかけとなれましたら幸いです。

 敬愛する森山 恵さまと展覧会をご一緒できましたことは、光栄の極みでした。本展を光ある方向へと導いて下さった気高き巻頭詩&エッセイは、懸命に立つ多くのジュディスたちの希望の一篇となることでしょう。 
 ジュディスたちへの讃歌となる多彩なアートを届けて下さったアンヴァンテール様、花モト・トモコ様、Miss Moppet Dolls様。作品ひとつひとつに宿る三人のしなやかな気概が受け継がれ、皆様の中で芽吹いてゆきますように。
 そして、オンライン展覧会にかかせない作品エッセイの執筆者、高柳カヨ子先生、ヨネヤマヤヤコ様、嶋田青磁さま。明晰、洗練、典雅——今回も鮮やかな切り口で私たちと作品を繋ぎ、部屋の景色をいっそう奥深いものへと仕上げて下さいました。
 展覧会を共に作り上げて下さいました関係者の皆様に心より深く感謝申しげます。

 「観て読む」展覧会から、「観て読み、語り始める」展覧会へ——本展をきっかけに過去のジュディスたちの意志を受け継ぎ、私たち自身の言葉で語り始めることができましたらと願います。
 「シェイクスピアの妹たちの部屋」は「私ひとりの部屋」の結晶体です。アーティスト、執筆者、そしてご覧下さった皆様の「私ひとりの部屋」が、場所は離れていても精神の上で結晶化し、これからもその姿を変化させながら、ふと立ち止まった時に帰ってくることのできる「シェイクスピアの妹たちの部屋」へと育ってゆきますように。精神が交流する場所を共に作り上げることが叶い、幸いでした。

 四つのお部屋として展覧会を構成した本展は、アンティーク&ブロカント店・アンヴァンテール様のアイデアから生まれました。或る日届いたメールに「四つのお部屋をイメージして、アンティークの買い付けをしています」と綴られていたのです。その瞬間、それまで漠としていた「シェイクスピアの妹たちの部屋」が霧が晴れたように眼前に現れ、部屋部屋の壁の肌理や香りまでもが生き生きと浮かび上がってきました。
 パリの街を歩きながら、時を経た品々を未来の「私ひとりの部屋」へと届ける営みを続けてきたアンヴァンテール様ゆえの、素敵な発想です。

 2019年のちょうど今頃、ピエール・ルイス『ビリチスの歌』をテーマにした企画展で、フランスから馨しいアンティークを届けて下さったのがアンヴァンテール様とのお付き合いの始まりです。

展示風景(2019年)
Photo|アンヴァンテール

 確かな審美眼で選び抜かれたお品物ひとつひとつに、物語の一節のような解説が添えられていることに深い感銘を受けました。以降、ひとつの物語を作るようにアンティーク品を組み合わせたセット構成は大好評を頂いております。ジュディスたちのお部屋に捧ぐ、本展のセレクト品にどうぞご注目下さい。

 本展より、展覧会関係者の展覧会後記ほかを掲載した機関紙『KIRI to RIBBON Gazette』を創刊。オンラインショップご利用のお客様限定で無料配布致します(実店舗営業再開時はご来店のお客様へも配布します)。ご利用内容は企画展作品に限らず、常設作品含めた全ての展示販売物が対象です。
 詳細は霧とリボンツイッターにてご案内致します。

 皆様から募集中(本日締切)の「私ひとりの部屋」についてのTiny Letter。霧とリボンの回答を掲載します。

 本日23:59まで、Tiny Letterを募集しておりますので、ぜひお寄せ下さい。皆様からのご回答は「シェイクスピアの妹たちの部屋」のひとつとして、ここオンライン・ギャラリーに掲載させて頂きます。抽選結果についてはツイッターで告知します。

 それでは、最終日DAY 4「屋根裏部屋」の風景をお届けいたします。

 「屋根裏部屋」で思い出すのは、ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』の印象的な一節——「わたしの生活のまんなかには空虚がある。それはこの屋根裏部屋なのだ。(丹治 愛訳・集英社刊より引用・以下同)」

 夫リチャードは病後のクラリッサを気遣い、寝室を別にすることを提案、クラリッサは屋根裏部屋で一人寝ています。ここで言う「空虚」は「孤独」と言い換えることができるかもしれません。
 しかしその「孤独」はネガティヴなものではなく、「魂の独立」を守るものとしてクラリッサにとって必要不可欠なもの。
 向かいの家の老婦人が部屋で過ごす場面で「魂の独立」を見出し、「こちらにひとつの部屋があり、向こうにもうひとつの部屋がある」ことを「至高の神秘」と表現します。

 独立した魂としての「私ひとりの部屋」がそれぞれ存在し、そのことを尊重した上で、互いがひととき交流する場を作っていけたなら、と願います。

 ちょうど今日、敬愛する方から、霧とリボンの「菫色の部屋は『私たちのもうひとつの部屋』だと思っています」との身に余るメッセージを頂きました。この言葉を胸に、菫色の小部屋の扉を開けることができる日まで、丁寧に磨き続け、居心地を整えていきたいと存じます。

 皆様、四日間ありがとうございました。
 アーカイヴはいつでもご覧頂けますので、折に触れて、ジュディスたちの部屋を訪れて頂けましたら幸いです。
 また次の展覧会でお会いしましょう!

2月19日(土)23:00より販売スタート致します。販売期間は【2月19日(土)23:00~2月21日(月)23:00】の3日間となります。

★BASEサイドのメンテナンスのため【2/21(月)2:00~6:00のみ】オンラインショップへのアクセスができませんのでご注意願います。

この記事が参加している募集

オンライン展覧会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?