掌編小説【チキン】♯毎週ショートショートnote
お題「だんだん高くなるドライブ」
【チキン】(410文字)
「理由なき反抗」を観て、ジェームズ・ディーンに憧れた。
チキンレース…。それは断崖絶壁に向かって二台の車を同時に走らせ、先に降りた方が負ける勝負。そんなレースにもし挑戦されたら受けて立ってやろうと思った。
俺はチキンじゃねぇからな!
そして、そんなことを思っているとチャンスは巡ってくるものである。
きれいな女に声をかけてデートにこぎつけたはいいが、彼女にはコワモテの彼氏がいたのだ。俺は、嫉妬したコワモテから挑戦状を叩きつけられた。
望むところだ、受けてやるとも!
勝負はもちろん先に降りた方が負けだ。
「びびってんじゃねぇぞ」
「ふん、びびってんのは、そっちだろう」
俺たちは二台に分かれて同時にスタートした。
走り続ける。
でも奴は降りない。
俺も降りない。
俺はチキンじゃねぇからな!
うん、まぁ、しかしこれ…、いや、びびってんじゃねえ!俺!
チッ、ひょっとして、アイツはぼんぼんか?
だんだん高くなるドライブ…。
現代のチキンレースはタクシー。
おわり
(2023/3/12 作)
『たらはかに』様の3/12~3/19のイベントに参加させていただきました☆
前作の【花道】同様、スラムダンク臭がほんのりと…(;・∀・)
人生で一度くらい「びびってんじゃねぇ!」とか言ってみたい乙女心。
(すでにおとめとちがうけど)
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