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掌編小説【花道】♯毎週ショートショートnote

お題「下道一組」

【花道】(410文字)

「ぼく、お名前は?」
「したみちいちくみ、です」
「誰と一緒にきたの?」
迷子ルームの私は、大好きなスラムダンクの桜木花道を思い浮かべながら訊ねた。似てるのは語感だけだけど…。
「んとね、おとうさん。…おかあさんは死んじゃったの」
「まぁ…」
私はウルッとしながら父親を館内放送で呼び出した。

「ねぇ、したみちくん、お名前は漢字で書ける?」
好奇心から聞いてみた。
「うん!」
男の子は『下道一組』と書いた。
「下道じゃ早く走れないけど、がんばれば一番の組に入れるからって。ぼくね、おっきくなったらバスケするの」
なんとまさに桜木花道!

「いちくみぃ!」
その時、バターンとドアを開ける大きな音がして、それこそ桜木花道か!というような大男が入ってきた。
「すみません息子がっ」
「いえいえ、よかったわね、花道くん」

あ。
ついうっかり間違えた私と目が合った父親。あらイケメン…。
しかも彼は大のスラムダンク好きだった。
そんなわけで、私は今では一組の母である。


おわり

(2023/3/10 作)

『たらはかに』様の3/5~3/12のイベントに参加させていただきました☆
今回は裏お題にシュート!

いまさら『スラムダンク』に絶賛大ハマり中のため、こんな話に(;・∀・)
でもまだアマプラで二十話しか観てないので、この先の展開は知らんけど…

なのに、
え?映画公開中?どういうこと?映画化されてたんですかっ?!
……急いで残り八十話見なきゃ?!

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