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掌編小説【密会】♯毎週ショートショートnote

お題「星屑ドライブ」

【密会】(410文字)

彼は夜間清掃員だ。
昼間の畑仕事を終えてから働くのは大変だったけれど、ある重要な目的のために清掃員になったのだ。

清掃の仕事が終わると、彼は急いで彼女との待ち合わせ場所に行く。
「遅くなってごめんよ」
「ううん。今日もお疲れさま」
美しい彼女の顔を見たら疲れも吹き飛ぶ。
「平気さ」
「うれしい」
「さぁ、今夜も星屑ドライブだ」
二人はゴミ回収牛車に乗って、彼が一晩で集めた星屑を一緒に捨てに行く。
行先は天の川。
実は天の川は宇宙を清掃した時の星屑を捨てる場所でもあるのだ。

かつて、仲良すぎて仕事を怠けてしまった夫婦は、天帝の怒りを買い対岸に引き離されてしまった。
しかし二人にとって、年に一度しか会えないのは耐え難かった。
一計を案じた彦星は夜間清掃員となり、対岸の織姫と密会しているのだ。

しかし、天帝はそんなことはお見通しだった。
「よく働いておるし、もう少しで許してやるか」
というわけで、近々カレンダーから『七夕』の文字が消える予定である。


おわり

(2023/3/14 作)

『たらはかに』様の3/12~3/19のイベントに参加させていただきました☆
今回は裏お題にドライブイン☆
とってもロマンティックで可愛いお題なのに…
その方が頭が働きにくいのはなぜ?!(;・∀・) 
まだ脳がスラダンか… (やっと43話まで観ました)


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