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掌編小説【転生したら音声が燻製でしたの件】♯毎週ショートショートnote

お題「音声燻製」

「転生したら音声が燻製でしたの件」(410文字)

「ここでは、地球では見えていたものが見えず、見えなかったものが見えます」
地球からの転生者向け講座の講師の言葉が現れる。
姿は見えず声も聞こえない。僕の姿も見えない。僕は容姿に自信がないからうれしい…と思ったが甘かった。
発した言葉はもちろん、心で思うことも文字となって現れるのだ。
「はらへった」程度ならともかく、妙なことを考えれば…。

僕は心を無にしようと努めた。
「この世界の音や声は、食べることができます。お腹が空いても困りません。また、それらの独特の風味は、発する人の個性です」
僕は文字化した『はらへった』を口に運んだ。
ん…これ、食べたことある味だ。
「味は地球の燻製に近いと思います」
講師が僕の想いを読んで答えてくれる。

『音声燻製』か。冗談みたいだな。僕は心を無にすることを諦めた。
「冗談ではありません」
僕は講師の言葉も食った。僕のよりも甘く、旨味も強かった。講師の○○は××かもしれない。
当然その言葉もダダ漏れていった…。

おわり (2022/11/1 作)

上記の『たらはかに』様の10/30-11/5のイベントに参加させていただきました(*'ω'*)
今回は、若者文化に触れてみようと異世界転生モノにチャレンジしました。
なにか違う気もしますけれど…

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