掌編小説【ハクモクレン】
お題「木蓮」
「ハクモクレン」
「あたしは、桜よりも白木蓮が好きだね」
おばあちゃんは古くなったセーターをほどきながら言った。
「ハクモクレンてなに?」
僕は縁側でおばあちゃんがほどいた毛糸を巻き取りながら聞いた。
「白くてきれいな花だよ。白無垢のお嫁さんみたいに。それが大きな木いっぱいに咲くと、そりゃもう見事でね」
「ぼく、見たことある?」
「この辺りには咲いてないねぇ。でもちょうど今頃どこかで咲いてるはずだよ。でも三日くらいで散ってしまうの」
おばあちゃんはコンコンと