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作者お気に入り作品集

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500~1500文字程度の掌編小説がほとんどですが、すでに150以上投稿しているので、とくに「読んでいただきたいな~」と思っているオススメ作品だけを集めました。随時増やしていきま…
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2022年9月の記事一覧

掌編小説【交換日記】

お題「豆本」 「交換日記」 僕の彼女はコロボックルだ。 ひかえめな彼女と愛を交わす主な方…

ikue.m
1年前
24

掌編小説【チカモク】

お題「木星」 「チカモク」 「スイキンチカモクドッテンカイメイ」覚えたての幼い頃、呪文み…

ikue.m
1年前
11

掌編小説【ある日、森のなか】

お題「熊、出没注意」 「ある日、森のなか」 森の入り口にはたしかに「熊出没注意」の立て看…

ikue.m
1年前
5

掌編小説【歌】

お題「骨折」 「歌」 村から盗んできたお宝の中に女がいた。生ものはだめだと言っていたのに…

ikue.m
1年前
6

掌編小説【ハナちゃん】

お題「競馬」 「ハナちゃん」 「ハナちゃん、待ってよー」 僕は情けない声を出して彼女を呼…

ikue.m
1年前
3

掌編小説【春の夜の治療室】

お題「集中治療室」 【春の夜の治療室】 「palin」と音がして、同時に胸が痛んだ。紙で…

ikue.m
1年前
5

掌編小説【ハクモクレン】

お題「木蓮」 「ハクモクレン」 「あたしは、桜よりも白木蓮が好きだね」 おばあちゃんは古くなったセーターをほどきながら言った。 「ハクモクレンてなに?」 僕は縁側でおばあちゃんがほどいた毛糸を巻き取りながら聞いた。 「白くてきれいな花だよ。白無垢のお嫁さんみたいに。それが大きな木いっぱいに咲くと、そりゃもう見事でね」 「ぼく、見たことある?」 「この辺りには咲いてないねぇ。でもちょうど今頃どこかで咲いてるはずだよ。でも三日くらいで散ってしまうの」 おばあちゃんはコンコンと

掌編小説【招き猫】

お題「たばこ屋」 「招き猫」 ミィの隣には古い菓子箱が置いてあり、中には百円玉がたくさん…

ikue.m
1年前
9

掌編小説【思色】

お題「手乗り文鳥」 「思色」 ぼくの小鳥が帰ってきた。 丸められた小さな紙をくちばしから…

ikue.m
1年前
9

掌編小説【スミレ】

お題「種」 「スミレ」 あたしは両親の顔を知らない。随分昔に死んでしまった。そのことを誰…

ikue.m
1年前
5

掌編小説【島】

お題「瞬間移動」 「島」 奴隷の子マルティンは、途方に暮れて奴隷小屋の窓から右往左往する…

ikue.m
1年前
10

掌編小説【ネコジャラシ】

お題「空き缶」 「ネコジャラシ」 私はお酒が飲めない。 でも今日はコンビニで缶ビールを買…

ikue.m
1年前
17

掌編小説【別の顔】

お題「マイナーコード」 「別の顔」 手紙の上に紅茶が一滴こぼれる。 「あ」と思ったが、私…

ikue.m
1年前
4

掌編小説【横断歩道】

お題「横断歩道」 「横断歩道」 けんちゃんが遊んでいる。 けんちゃんの前を大好きな車がたくさん走っていく。びゅん、びゅん、びゅん。大きいトラックや小さい車、白いのや青いの。パトカーとか消防車とかめずらしいのが来るとけんちゃんはうれしい。最近数がかぞえられるようになったばかりだから、車の数をかぞえる。10までかぞえたらまた1からかぞえる。何度もかぞえる。たまに横断歩道を渡って反対側に行く。そこでまたかぞえる。 けんちゃんは横断歩道も好きだ。白いところだけ踏んで渡る。黒いと