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ひと夏限りの戦士

夏っぽいものがすぐそばにあると「夏なんだなぁ」と感じる。

「いやいや、カレンダー見りゃそりゃ夏だわよ」
と思うかもしれない。

だけど暑いのが来たからっていうのもなんだか実感が湧かないじゃない。
暑いだけでもう夏なんだなぁって感じるって?まぁ確かに感じるけどもね。
なんつーかだ。

夏の風物詩みたいなものに囲まれていることで、今は夏なんだなぁと気持ちが入るというか、気が引き締まるというか、そんなような気持ちなるってことが伝わらないかな。


それこそ
冷やし中華を食べたとか
おそうめんが晩ご飯で出るようになったんだとか
スイカ買ってきたよーとか

(なんか食べ物がほとんどかよ)
入道雲がもくもくと元気そうで
セミが鳴き出したなぁとか
ひまわりが咲いてただの
今年初のクーラー始動!だ
朝顔を見たんだのと

そういうところからの「夏」を感じる事がある。






先日、仕事の帰りに道に転がっていた“黒いアイツ”を拾った。
カチカチボディでカッコいい
樹液をちゅうちゅうカッコいい
ツノがしっかりニョキッとカッコいい

そう、あのアイツだ。


家の中で涼しい涼しいとか言ってクーラーだの扇風機に当たっていると、お外はこんなにも夏なんだなってことを忘れてしまいがちになる。




オトナになってからはじめて捕まえたし、こどもの頃ですらまともには飼ったことなんてなかったし、捕まえたことすらもなかったあのアイツが道端なんかにコロンと落ちてて、簡単に捕まえられるなんて「なんてラッキーッキーなんだ!」と思った。

正直言うと、いまだかつてなく「夏な瞬間」を僕はこの夏に体験したぞい。




だけども虫かごがないからさ。部屋の網戸の外側にちょんと付けておいたら、いつの間にやらどこかに飛んでいってしまったのだけど、そのおとなしめな夏の戦士は、春と梅雨の雨でたるんだ気持ちの僕に、はっきりと夏をお知らせしてくれたのだった。




ありがとう。
お前も夏を満喫して、どこかで甘いスイカでも食べるといいよ。今はスイカバーの種が200パーセントだしさ。いい夏だよ。


またどこかの夏で会おうな。




毎年帰ってきてくれたらおもしろいんだろうな。

そんなことはないだろうなとは思いつつも、そうなったらどんなにかおもしろいだろうと思った瞬間だった。





夏を満喫するキーワードを集めよう、これからの僕は。

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