帛門臣昂(きぬかど おみたか)@kinukadoomitaka

分母、詩。「現代詩手帖」「日本現代詩人会」「詩と思想」などで入選佳作多数。 散文の発表…

帛門臣昂(きぬかど おみたか)@kinukadoomitaka

分母、詩。「現代詩手帖」「日本現代詩人会」「詩と思想」などで入選佳作多数。 散文の発表場所を求めてここへ。かなり雑多に記事を書いています。 ✉️ご依頼・ご相談はkinukadoomitaka(a)gmail.comへ

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【随時更新】自己紹介

帛門臣昂 詩人 ●活動・詩誌投稿 ・ネプリ個人詩誌「卵」を発行(終刊) ・「詩季句会」主宰 ・詩のアンソロジー『Poetic Parade』(発行人=原島里枝、帆場蔵人)に「窪、夢の野の、の、の」を寄稿 ・歌誌『帆 han』(主宰・中田満帆)初号に「たましひなりき(十五首)」、第二号に「鉄条網(二十首)」、第三号に「光れ、そのまま(二十首)」を寄稿 ・文学フリマ大阪11にて新作『九羅夏』を配布 ・小笠原鳥類・責任編集『Σ 詩ぐ魔 特別号』に「生成譚」を寄稿。 ・画家のNEK

    • 【朔 #129】那珂太郎から聞いた話を日記に書き留めた

       「梅雨らしいような、        けれど曇天の日のほうが     多いらしいわよ」  「そうね。           中国語で『今日』は?」  「今天」  「晴天」  夜々、ビカビカと街灯が光る露台で二匹の目高が語る。彼女達の睡眠を見倣いたい。豚が青野に立っていることと無関係ではない寂しさが、遠く、梅雨の街に卒業証書を掲げる恋人を置き去りにするのだろうか。  それとも、  Noctiluca scintillans?  夜々、夜々、亢進する。  そんな南米の神様みたいな顔

      • 【朔 #128】詩の敵であることも忘れてはならない

         小笠原鳥類『吉岡実を読め!』(ライトバース出版)を読み!終わる。  結論から言えば、私は吉岡実と和解できた。  私としたことが、なぜか吉岡実に詩の流れを求めていたらしい。吉増剛造の「アア コレワ/なんという、薄紅色の掌にころがる水滴/珈琲皿に映ル乳房ヨ!/転落デキナイヨー!/剣の上をツツッと走ったが、消えないぞ世界!」(吉増剛造『黄金詩篇』(思潮社)より「朝狂って」最終連)を許容するくせに。この一行から、私と吉岡実の和解が始まった。  並べる、ガチャガチャと並べられてゆく

        • 【朔 #127】Σ、鯨の尾

           Σ、鯨の尾。  既に報告した通り、小笠原鳥類・責任編集『Σ 詩ぐ魔 特別号』に帛門臣昂「生成譚」を寄稿いたしました。公開当日まで他の参加者が誰か知らず、蓋を開けてみれば旬なメンバー、作品。何より、小笠原鳥類さんが水木しげるについて書いているのが嬉しい。自作がなんだか、場違いな気がしている。あんまり実験的でもないし。旬じゃないし(鰹の旬はまだ続いてますか?)。鳥類さんの後記、若手からすればタメになること(タメになる注文?)がたくさんあったのではないかしら。  キキダダマママキ

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          【朔 #126】小笠原鳥類・責任編集『Σ 詩ぐ魔 特別号』に帛門臣昂「生成譚」を寄稿

           夢の中で、懐かしい(旧かしい、と書きたいけれどあまりに無理があるか)人々との群像劇を繰り広げたあと、目高水槽の世話をして、いつのまにか金魚水槽もあって、金魚水槽の汚れは酷く掃除の必要を認めた私がよそ見した瞬間に、目高水槽には土がぎっしり詰められていて蘆が窮屈に生えていた。  夢判断? 「外光性の不足!」と。  本日、公開された小笠原鳥類・責任編集『Σ 詩ぐ魔 特別号』に帛門臣昂「生成譚」を寄稿。小笠原鳥類さん、編集部の方々、ありがとうございました。  もしかすると、今年最初

          【朔 #126】小笠原鳥類・責任編集『Σ 詩ぐ魔 特別号』に帛門臣昂「生成譚」を寄稿

          【朔 #125】グアムのプールで溺れかけた話をした

           蚯蚓が滲出する溝を浚い、  い、筒井筒、謂、五つ葉、三つ葉、  鈴のような羊歯植物も濾過サイクル、くるくる、うるうる、薇じゃないんだから、  泳ぎが上手くなりたい、  と目高に相談されて、  私はグアムのプールで溺れかけた話をした、  その頃、近所の小学校ではプールの授業中、三匹の蛇が交んでいてバスケットボール大になり、誰もがそれを見つめていた、  いかに、  遅れるか、  茗荷の畑、紫蘇の畑、  汚れた水は酢よりも凶悪、  母よ、齒齒よ、  夜毎ほととぎす、  虚子──。

          【朔 #125】グアムのプールで溺れかけた話をした

          【朔 #124】誤った建国節!

           ビスマス。  七月の課題図書。水原秋櫻子、赤尾兜子、野村喜和夫。  スペイン風の模様はスペインの模様ではないことが多いが、その仮面は確かにスペイン風の模様を施してあり、荒れている硝子の表面だ。梅雨の眼圧。黒服に取り囲まれて、病褥の三島由紀夫が幻視される。誤った建国節!  生体反応──。  健やかに狼の眼の渇くまで、  息切れ、  車を降りなさい!  早く降りなさい!  タンッ!  二人とも、  唇の藻に、桃に、  腕が生えてきている。

          【朔 #123】藻藻藻藻藻藻藻藻

           その実、青鷺かどうかわからない。  とにかく私は鷹である。  ぷるぷるの腹を見せて虎は眠る。その思惟の千年。  左耳の異音から隆々と岩が育つ。  その耳。  容易く捥げるね?  桃桃藻藻藻藻藻藻藻藻腿藻藻藻藻藻藻藻元藻藻素藻桃元股揉も揉も。  やはり、吉岡実の初期詩集がしっくりこない。半魚人なのかもしれない。霧を生み出す装置でジャック・ザ・リッパーを蘇生する。組成。  狂いそうな夜、狂いそうな朝、狂いそうな真昼だ!  或は環状線付近。  今の唯一の楽しみは朝比奈秋『サンショ

          【朔 #122】観音が吊り下がる???

           晩夏が、  近づいている。  きみどり色の恋のことは時々蓬を紛れ込ませ、藻が繁茂する虎の尾を顕現させる。または、  ゆくりなく、     観音が吊り下がる???  のんのんと馬が陰茎を振りつつ、  汗の泡を撒き散らし、  書き散らした詩篇は早くも古びている。  星が来る前に、  廃せよ、  海峡の王位。  さて、         ここから、     転調。  とまあ、色々と怠くて全てを終わらせたくなる昼下がりもあるというわけです。夢の内容は限りなく無意味な幸福の時間であると

          【朔 #122】観音が吊り下がる???

          【朔 #121】青鷺が歯を剥いて

           捩花のねぢれはじめて、  産むまで、膿むまで?  喧々、  夏至を前に、  ラーン、ラーン、ララランラーン、  火事場の……(サリー)、  木賊が燃えている、  ダリやターナーの幻に悪寒が走るほど興奮して、  欲情して、  嵐の真ん中でドアが閉まりまーす、  ご注意しても一緒です、  呂律の回らない、  前歯の悪化!  油を捨てて唐揚げ粉で鶏肉を揚げなさい、  集中する闘技場、  吉岡実の気配に魘されている少女たち、  それは私(百人の私)なのだが、  フラミンゴの檻の上、

          【朔 #120】髙柳克弘が立っていて、生徒と挨拶を交わしている

           もはや、最近の夢のスタンダードになってきている設定。場所は母校の小学校、教師と同級生が高校生時代の連中、奇怪な設備。昨日(二〇二四年六月十八日)の朝の夢はこれに中学生時代の教師も混じっていた。この異物こそが、今回のキーとなる。  私は体育が嫌いだった。中学生の時は特に。内容もそうだが、担当の教師達が嫌いなのである。根本的に反りが合わない。しかし、生徒の殆どが彼らを嫌っていたから私個人との相性ではなかったのかもしれないが。なんせ、嫌い。よく忘れ物をするような奴には「はいはい、

          【朔 #120】髙柳克弘が立っていて、生徒と挨拶を交わしている

          【朔 #119】不信と過信の逢着

           檻に入る。  私に熊の肝があり、  どこまでも血、血、血!  朗読不可能な結晶体。  不信と過信の逢着。  乱!

          【朔 #118】面妖な梟

           王子動物園。何年振りだったか。須磨海浜水族園が閉園して、動物と親しめる施設はここぐらいになってしまった。  入口すぐのフラミンゴ。これが王子動物園の醍醐味。「オウジに来たな!」という感じがする。記憶にあるもの、ないものを見て回る。  印象的だったのはジャイアントパンダの飼育舎。先般亡くなったタンタンの為に捧げられた花で溢れていた。動物は何も居ない飼育舎に蘭や向日葵などが並べられているのは巨大な喪失感を抱かせる。そんな心の真空状態を幼き日の私が駆け抜けて行った。  さて、今回

          【朔 #117】Kappa

           冥王星のごとく芥川龍之介の予感が到着する。  Kappaに宿る吃りのことか?  至急、『河童』を。  未読の一冊も部屋にあるだろう。  蓬火の風景は暮れてゆき、麦飯石と赤玉土の軋みも濁りも私だけのものだ。扇風機。

          【朔 #116】時代という嫦娥

           ついに小笠原鳥類『吉岡実を読め!』(ライトバース出版)が届く。  実は、吉岡実の詩は好きな方だと思うのだが、詰め込み感があってうまく読み進められない。(ベクトルを分解したら面倒臭い)しかし、先般のトークイベントで野村喜和夫さんが「吉岡実のデトックス」と言い、それに成功しているらしい。吉岡実と和解できるかもしれないと購入。どうなるか。  ひとまず言えるのは、吉岡実の句の酷さ。興醒めした。凡句の極みだ。詩人が出す句集に碌なものがないのは常だが(もちろん、余技でもない本格的なもの

          【朔 #115】一日が引き延ばされている

           どうも、私の中で一日が引き延ばされているらしい。いつ朔を更新したのかも曖昧になっていた。ということで、115回目。  京都へキュビスム展と河野裕子の墓参りに。  キュビスム殊に分析的キュビスムにおける生まの質量感とクレーの情感を比較してみて、ごろごろとした詩情は存在しうると判断した。未来派まで行くと違ってくるのだが、ブラックの作品に宿る対象化の先の憂愁に感じるところが多かったらしい。  河野裕子の墓、その途中の蝸牛、その途中の紫陽花、その途中の藻、藻、藻──。古い釘を抜くよ

          【朔 #115】一日が引き延ばされている