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【禍話リライト】傘少女
民俗学系の活動をしている大学生がフィールドワークの為にある田舎を訪れた。バスは二時間に一本しかなく、バスを降りて見渡すも田圃ばかりで人家などの建物はほとんどない。人や車も全く通らない。
『この調査は骨が折れるものになりそうだ』
彼は気合いを入れて調査を開始した。
道中の写真をデジカメで撮りながら、住民を探して話を聞く。住民を探す、と言っても道をてくてく歩いていればすれ違えるという筈もなく、畦
【禍話リライト】かわいそうな家
真っ暗な廊下に立っている。
かろうじて見える壁や造りからは、今居るこの家がかなり立派な家だと推測できる。
闇に目が慣れると、廊下の奥、十メートルほど先に人が立っているのが見えて、酩酊状態なのか、体はグラグラと揺れている。
その人は揺れながら、こちらに近付いてくる。
段々と声が聞こえてくる。
「ヘェァ……ヘェァ……ヘェァ……」
性別がはっきりしない人物は変な発声で、笑っていた。
廊下の
【禍話リライト】山の口笛
Aさんから、小学生の頃に住んでいた家の近くにある山の話を聞かせてもらった。
その山は軽い気持ちでは登れないが、それなりの装備で少し頑張れば登頂できるほどの山だった。頂上までは一本道で迷いようがない。それでも、この山では時折、遭難事故が起こっていた。
その山へ毎日入っては、趣味で生態調査をして発表するおじさんが居た。おじさんは仕事を早期退職して山を調査しているらしく、Aさんはおじさんの名前も