マエボン_Vol

クリエイターストレスの解放宣言。マエボン発刊トークイベント@銀座蔦屋

デザイナー・前田高志さん(2019年から漫画家に転身)が主宰するオンラインサロン「前田デザイン室」から発刊された『マエボン』発刊記念トークイベント(登壇: 前田さん, 浜田綾さん @銀座蔦屋書店)に11/26(月)に行ってきました。ライティング・編集にも通じる内容でした。とくに印象に残った部分を書いていきます。

『マエボン』発刊を可能にした要因であり、サロンの特徴でもある要素は大きく4つあります。「熱量」「異常」「バラバラ」「会社じゃない」こと。

画像1

【熱量】

前田さんは「クリエイターストレスの解放」と言い換えていました。

サロン内では新しいことをやろうと企画・提案が活発に行われます。面白いもの、世の中にない新しいものを求め、基本的にどんどんやっていく姿勢。

でも順番として「つくる機会があるから、なにかつくろうか」ではやってほしくない、と。「つくりたいものがある。だからつくろう」じゃないとクリエイターではなくなってしまう。

創作に「熱量」を失っては、つくったとしても何かができ上がっただけで、もはや何も生んでいないも同然。かける「熱量」があって初めてクリエイターになれるということ。

熱量があってこそものづくりができる。

今回のマエボンはそれがあったからできた。

【バラバラ】

職種・年代・価値観もバラバラ。オンラインサロンなので活動可能な時間も場所も各地点在でバラバラ。

ライターでもない人がライティングをしたり、デザインをしたことのない人がデザインをしたり、紙プログラマーが文字起こしをした。

メンバーの中には高校生も。社会人と違い、初月はサロン代の支払いができても、次月の支払いが迫り焦る。そこで高校生メンバーのサロン代捻出のため、いかにマネタイズするかをみんなで考えるマネタイズ会議が開かれた。なんとも暖かい空気感。

オンラインサロンだからこそ起こりうる異色と異色が混在したこの状況ですが、「教えてあげる」「教えてもらう」「話し合う」なかでコミュニティの絆は確実に深くなったといいます。

【異常】

企画1か月、制作1か月、計2ヶ月。メンバーは9割が素人。やり取りはほぼすべてオンライン。

グループ内で提案しても、各人で活動時間の違うオンラインサロンでは反応速度が違い、声が届きにくいこともある。

そんな中、「前デから雑誌をつくろう」ということになってから、制作期間2ヶ月と決まる。

「無理だ」と言いたくなるような環境下。

これらの厳しすぎる条件は、むしろバラバラで集まった多種多様なメンバーの結束力を強めた要因にもなりました。

【会社じゃない】

前田デザイン室は会社じゃない。仕事でもない。

みんなお金をもらってやっていない。むしろお金を払っている。

会社や仕事として「業績」や「規則」で ”がんじがらめ” の状態だったらおそらくできなかった。でもここにはそれがない。

みんなどんどんやろうと一生懸命だった。

縛られずに思い切り、つくりたいものをつくれる。まさに ”クリエイターストレス” を解放せんとばかりの勢いがあったからこそできた。

画像2

「出会い」がマエボンを広げてくれた

「マエボン」はこれらの4つの柱があってこそ完成しました。それをいかにマーケティングし広げたのか。それは数々の出会いが助けてくれてこそでした。

前田デザイン室主宰の前田高志さんは、所属していた箕輪編集室で、躊躇せずデザインしまくった(躊躇しないキャンペーン)。そうして多くの作品を残しました。

前田さんは、自分たちだけで『マエボン』を広げたのではなく、箕輪編集室での信用と信頼の ” おすそ分け ” をもらったから、そして今回かかわっていただいた人々によって広がっていったと話していました。

株式会社コルク佐渡島庸平さんは、「2週間後くらいにインタビューをしたい」との急な要望に二つ返事で了承。時間をこじあけて対応してくれたうえに、値段設定についてアドバイスもしてくれた。幻冬舎箕輪厚介さんは書店に置けるよう話を通してくれた。

広告主さんは自費出版するにあたっての知識や方法を手取り足取り教えてくれた。多くの書店さんがお店に置かせてくれた。「ぜひうちに置いてください」と言ってくれた書店さんもあったそうです。

「いいものをつくる」ためには、技術があればいいのではなく、「出会いの糸」があって初めて広がり、次に繋がるものになる。


2時間という短い時間でしたが、「マエボン」にかけた前田デザイン室の方々の熱意が直に伝わってくるようなトークでした。ライティング、編集にも通じる内容で学びが多かったです。実は僕の所属している、編集・ライティング集団WORDSのロゴも前田さんがデザインしてくださったんです!(知らなかった) ありがとうございます!!

『マエボン』は前田さんの巻頭言、佐渡島さん・藤井亮さんのインタビューに始まり、面白い企画が詰まっています。書店で見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。

画像3



いただいたサポートは活動費として大切に使わせていただきます。