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文章の達人から盗んだ、書き方の工夫 思索メモ #20

「よし、書こう」

パソコンを開いて、考えた話をカタカタと打ち込んでみる。すると、途中で手が止まり「どんな順番で書けばいいんだろう」とわからなくなってしまう。そんなことはないでしょうか。僕はかなりよくあります。

なぜそんなことになってしまうのか。

それは構成がまったくイメージできていないからではないでしょうか?「書きたい」と思い浮かんだ記事のメインの内容だけが頭にあって、肝心の記事の組み方がおざなりになってしまっているのです。

論点が不明なままダラダラと書かれている文章は構成が意識されていないのでしょう。多くの人はメインの話だけ思い浮かんだら、そのほかは枝葉末節の問題としてしまっているように思います。

しかし「自分には文才がない」と落胆することはありません。文章力は努力で必ず身に着きます。才能を悲嘆するより、才能のなさに挫折して後天的努力で力をつければいいのです。そのほうがずっと味わい深い文章を書けるようになります。


オピニオン記事の構成例

文章の上手い人の記事構成はどんなふうにできているのでしょうか。たとえばオピニオン記事であれば、その要素を分解してみると、おおよそこんな構成になっています。

●前提の共有
●問題提起
●(想定する)読者への共感
●解決案提示
●権威者の発言の引用
●結論・締め

いわゆるオピニオン記事らしい形式ではありますが、わかりやすくて読み手が理解しやすい書き方です。

「構成がうまくできないなあ」と思ったら、文章の上手な人は実際にどう書いているのかを見てみると、ぼんやりだった理解が明瞭になってきます。


文章の上手い人が意識している8つのポイント**

では、構成が組めたときに細かな文章の書き方が気になりますよね。上の構成の例を抽出しているときに、文章の上手い人の意識しているポイントが随所にちりばめられていたので、僕なりに拾ったところを書いてみます。

①1行目で掴む

読者は冒頭の1行で読むか読まないかを判断していると言われます。最初の1行目がおもしろそうだと思えば自然と読み続けたくなります。

②必要な話しか書かない

文章の上手い人はムダなことを書いていません。

内容を理解しないまま書くとダラダラと書いてしまいがちです。同じことを3つも4つも言い換える文が続いて「これ同じこと言ってるだけじゃん」と読み飛ばすことはないでしょうか。

上手な人は頭のなかで論点が明確になっているため、必要なことだけで話の展開を進められます。だから気持ちが良いくらい展開が早くわかりやすいのです。

③読み手のイメージを描くように書く

この1文を読んだときに、読み手はどんな印象を持つだろう? こんなイメージを浮かべるのではないか? と、1文1文で意識しながら書くのです。すると、自然と②の「必要な話しか書かない」ができるようになります。

たとえ余談や無駄話でも、有名な作家や憧れの芸能人なら興味深く読まれるでしょう。しかし多くの場合、読み手は必要な情報だけ読めればいい。書き手の個人的な小話や私情なんてどうでもいいと思っています。

「読み手がここでどんなことを期待しているだろう?」と考えながら描いているからこそ、文章の達人はわれわれ読者の期待に沿ったり、あえて裏切ったりしながら書けるのだと思います。

④問いを明示する

明確な問いが示されていると読み手に記事の論点がハッキリと伝わります。何を目指してこの1文1文が書かれているのかがわかるので、読者に文意がスッと伝わって読み進めやすいのです。

問いがわからないまま進む記事というのは、他人に目的地を知らされないまま一緒に歩かされているようなものです。

特にオピニオン記事では、人生の悩みだったり、社会問題だったりと、何かしらの問いに対する答えを書くことになるので、必要不可欠になります。

⑤共感と同意

「~なことありませんか?」と共感を求めることで、読み手は「あー! これわかる!」と応答できます。そこで読み手が求めていない問いだったら離脱するでしょう。

そこで「私もよくあります」と加えれば、「この人もそうなんだ」と同じ目線で話が進められます

⑥肯定する

肯定することで読み手は受け入れられた気持ちになります。

「それじゃあダメだ」と自分を否定されると嫌ですが、「逆にこんなことができちゃったら天才です」と伝えるだけでもちょっと安心した気持ちになりますよね。読み手が取り繕わない姿勢になると納得してもらいやすくなります。

⑦権威者の言葉を引用する

その道の第一人者の言葉を引用するだけで説得力が一気に増します。

見ず知らずの他人にいきなり「お前なら大丈夫だ!」と言われるのと、長年に亘って指導してくれた師匠に「お前なら大丈夫だ!」と言われるのでは重みがまったく違いますよね。言葉自体にも力があるものですが、「誰が言うか」だけで印象が大きく変わります。

⑧比喩を用いる

説得力のある人ほど、「まさに言い得て妙!」と言いたくなるような上手い比喩を用いています。

抽象的な内容はどうしてもわかりにくくなりがちです。それを上手に料理やスポーツ、学校や会社など、なるべく身近でわかりやすい話にたとえるだけで読み手は「そういうことか!」と一気に理解が進みます。



...と、いろいろと挙げてみましたが、僕もえらそうなことは言えません。実はこの記事自体も、僕がよく参考にしているライターさんの記事構成を基にして、いわばスキルを “盗んで” 書いてみたものなのです。

上手い人の書き方を盗むのは、プロ野球選手のフォームを真似て素振りするようなものだと思います。その人の体格やレベル、スタイルに合わないものは向かないこともあるでしょう。

したがって、基礎体力づくりや体づくりも大事だし、自分に合った書き方のスタイルを模索するのも大切です。

体力づくりランニングで、毎日、毎週、継続して書けるように訓練すること。体づくりは、文章における基本的な書き方や文法を学ぶことや、語彙力を磨くことに当てはまると思います。スタイルは、自分が「こんなふうに書いてみたい」と思える人を見つけることではないでしょうか。


最後は余談でしたが、書くこともスポーツと似ていて、日々の訓練だと思って書いています。この記事が、なにかのきっかけや参考になれば嬉しいです。


ライター 金藤良秀(かねふじ よしひで)





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