「カフェ」はコーヒーの専門店
バリスタラジオです。今日もよろしくお願いいたします。
今日は、自分がお店を始めた時のお話をしようかなと思います。
お店というのは当然コーヒー屋さんなんですけれども、最初は全然コーヒーに興味がなかったので、コーヒー屋さんをやろうとは全く思ってなかったんですね。
ただ、”カフェ”をやろうと、漠然と思ってたわけです。
なんで”カフェ”をやろうって思ったのか。
僕はずっとサービス業をしてまして、例えばホテルマンをやってたりとか、結婚式の新郎新婦の先導をしたりだとか、料理を運んだりだとか、ホテルなんでたくさんのスタッフの方がいるので、その方達一人ずつに仕事を割り振ってまとめたりとかっていう仕事をずっとやってたんです。
サービス業という意味では専門家でもあり、プロッフェッショナルな仕事をしてたんですけれども、その中で、いつまでもこの仕事をつづけるのはなかなか難しいだろうなと。
ホテルっていうのはああいう空間なので、あんまり歳とった人が働いてたりするのも見た目も良くないだろうし。僕はそういう状態です。ホテルマンってなんかカッコ悪いな…いつまでもこの仕事を続けられないなって思って。
じゃあ、何の仕事しようかなって考えた時。
職場の先輩と色々話をしてて、僕はインテリアがすごくその時から好きで、DIYとかもそうなんですけど自分で作るのが好きだったんですね…椅子とかテーブルとか棚とか。絵を描くのもデザインするのも色塗ったりするのも好きでーっていう話をしてて。あとはホテルマンもやってたので、カクテルとか…いろんな飲食に関しても知識があったわけですよね。
しかもその上で、先輩が僕を見て何故そんなこと言ったのかわからないんですけど、「カフェとかいいんじゃない?」って言われて。
確かにインテリアも好きだし、デザインも好きだし、飲食にも詳しいし。「あ、カフェいいなー」って思ったのがきっかけなんです。
本当にすごい単純で深い考えもなしに「いいなー」って漠然と思ったんですけど、ただ、そこから僕の性格上、いろんなことを調べるわけなんです。
例えば、「じゃあ、カフェって何なんだろうな」って思った時に、まずは”カフェ”という言葉。
”フランス語でコーヒー”ってことがまずわかるわけなんですよ。
カフェっていうのはコーヒーの専門店なんだっていう。
そこで繋がったんですね、コーヒーと僕の人生が。
「コーヒーの専門店だったらコーヒーをまずやんないとダメなんだな」ってなって、色々とコーヒーを調べるんですけれど、そもそもコーヒーがあまり好きじゃなかったので…「苦いし何が美味しいんだろう」と思って。
両親に連れられて喫茶店とか行ってコーヒーを頼んでも、そこにミルクをいっぱい入れて砂糖をいっぱい入れてコーヒー牛乳にして飲むわけです。
しかも、パンを食べたりしながらそれを流し込むためのものとして、仕方なくコーヒーを飲むっていうようなイメージの飲み物でしかなかった。
でも専門店をやるわけだから、コーヒーをちょっと買ってきて淹れるかと。
その時一番最初に僕が出会ったのが、KONO式っていうドリッパーなんですけれども、KONO式の円錐ドリッパーを買ってきまして、ペーパーフィルターをセットして。何を使ったのかもう思い出せないですけど、本当に適当に安いコーヒー豆を買ってきて。挽いて…挽くのも自分で揃えて。注いで…ドリップポットも買って全部揃えて。
見よう見まねでやってみたんです。
その時なんか10年以上前で、YouTubeとかっていうのもそんなになかったので、そこに書いてある入れ方とか、本屋さんで買ってきたようなドリップの仕方みたいなやつを多分見たんだと思うんですけど、本当に見よう見まねで。
これはいいことか悪いことかわからないんですけど、今まで飲んだことがないくらいダントツで美味しかったんです。
今までいろんな喫茶店とか、レストランとか、コーヒー屋さんで飲んできたコーヒーよりも、ど素人の状態の僕が初めて入れたコーヒーが美味しかったんです。すごく。
豆も本当にどこのかわからないくらいのやつ買って、温度も量も何となくの感覚でやったコーヒーが美味しかった。
「何でだろう」、「何が違うのかな」と思って色々考えて。
いまになってすごくわかることが、そのあと少ししてから気づいたんですけど、要は、”挽きたて、淹れたて”っていうだけなんですよね。
10年前のこの僕が住む街で、”挽きたて、淹れたてのコーヒー”というのは、それなりに特別なものだったってことですよね。
”挽きたて、淹れたて”にするだけでこんなに美味しいのであれば、豆にこだわったり、例えば、お湯の温度とか豆の量お湯の量とか、いろんな細かい器具とかテクニックとか。そうことにこだわって上達すれば、間違いなく美味しくなるんですよ。
ただでさえおいしいのに。今まで飲んだどの店よりも。
で、のめり込んでいくということなんです。
”挽きたて、淹れたて”がその当時特別だった時代に、僕はお店をオープンするんですけれども、お店をオープンしたら今度はすぐにその次の時代”コーヒースタンド”が…2011年に僕のお店をオープンしたので、コーヒースタンドのブームがまさに来ようとしている時だったんです。
で、東京にその時オープンした”ベアポンドエスプレッソ”っていう…コーヒースタンドの一番最初のところですよね、東京では。そこに行って飲んだのが、コーヒーじゃなく”エスプレッソ”だった。
エスプレッソに出会って、僕がイメージしたものと全く違うエスプレッソがそこで出てきて。チョコレートみたいな。「何なんだこれは」っていう。
苦味なんか全くなくて、ただただドロドロしてて、カップを傾けても流れてこないような液体。もう一番近いものは、本当にチョコレートソース。
それに出会ったんです。
じゃあ、次のステップとして僕はエスプレッソなんだ。
”エスプレッソを淹れる人のことをバリスタって言う”
本当にそれぐらいの文化の時なんですよね、10年前というのは。
そこで僕はエスプレッソに出会って、のめり込んでいくわけなんです。
僕は運がいいのか悪いのかわからないんですけれども、まだ流行する前にいろんなものと出会って…だから先生がいない状態なんですよね。周りで誰もやってないわけですから。
まともなカフェがその地域ではまだない時代に、その東京とかニューヨークとかの最先端のスタイルのお店を出し、コーヒーにスペシャルティコーヒーという言葉すらまだ浸透していない時代に、スペシャルティコーヒーを使ったコーヒー専門店をやり始め、その直後に最高レベルのエスプレッソに出会ったっていうことです。
本当に右も左も分からないまま、ただただ闇雲に走り続けてきた10年だったんですけれども、それは今の子たちはできない経験なので…あまりにも情報が手に入りやすい環境になりすぎてて、誰も先駆者にはなれない時代ですよね。今っていうのは。
そういう意味では、僕は自分の地域では、コーヒーというものにおいて先駆者になれたわけですよね。
ただ、当然僕にも影響を与えた人たちがいるわけであって、その人たちがまさに本当の意味での先駆者なんですけれども、だから先駆者たちに対するリスペクトを持って、自分のお店をしっかりと持って、自分の足で歩いていくというスタイルで今でもやってるわけなんですけれども。
そのエスプレッソに出会ってからのお話は、また次の機会にしたいと思います。
とりあえず今日は、「なんでコーヒーを始めたのか」ということと「カフェを始めたのか」ということを、簡単にお話しさせていただきました。
いつもより長くなってしまいましたが、聞いていただいてありがとうございます。
皆さん明日からまた頑張ってください。僕も当然、頑張ります。
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BARISTA RADIO #6
2020/02/02 公開 YouTubeより
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