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【仕事・建築】毎朝往復40kmを通う4歳の少女。未来のために建築が出ること
お疲れ様~今日も来てくれてありがとね。
はじめての方は、是非プロフィールを読んでほしい。来てくれて本当にありがとう。
今日は、文藝春秋×noteで開催されている「#未来のためにできること」を建築の観点から書いていこうと思ってる。
待機児童
僕が業界に入って3年目のことだ。
認定こども園建設に携わることになり、設計事務所と一緒に参考となる物件の視察に行った。それは、岡山県にあるこども園だった。
新たに建設予定の園舎は150名が通園し、もともと老朽化をしていた保育園2つを統合させる計画だった。
山々に囲まれた盆地、棚田が広がる自然豊かな町にできる認定こども園。環境が似た地域のこども園を視察したいとのことで、付き合いのある業者に教えてもらったのが、今回視察するこども園だった。
どこの町も、地方は都市部へ出稼ぎに行く若者が後を絶たず、少子化により年々過疎化を辿っている。
視察するこども園も、過疎化地域の保育園統合によりできた園舎。老朽化の園舎が統合するタイミングはだいたいが建ててから5-60年経ったもの。
60年前の建物は、鉄筋コンクリートを構造躯体として建てられたものか、木造の建物が多い。
修繕が行き届いていない園舎の場合、外壁が剥がれたり、内装の床が削れたりと園児にとって危ない環境になる。
それでも通う理由は、過疎化と言えど町に保育所が少なくて預けられないため、通園させざる負えない。
待機児童の問題だ。
2017年当時は待機児童数がピークを迎え、連日のようにニュースで待機児童が取り上げられていた。
子どもを園に入れたくても出来ない、受け皿がない状態が待機児童を生む。
毎日20kmを通園する少女
視察先のこども園は、最近できたばかりの園舎だった。開放感のある空間づくりがされた木造園舎。子どもたちは裸足で走り回り、転んでも床が木なので柔らかく、安心して遊べる建物だ。
自然に囲まれた豊かな場所、その中で木の温もりを直に感じることが出来るということもあって、こども園に入りたいという要望は非常に多いのだという。たしかに、老朽化が進んだ保育園より、新築且つ安心して預けられる保育園の方がいいよな。
視察をしてる僕らのところに、女の子が走ってきて元気に挨拶をしてくれた。すると園長が隣に来て、「あの子、毎朝20kmかけて通ってるんですよ」と教えてくれた。
20kmは東京駅から川崎駅間くらい。田舎なので電車でなく園のバスで通っている。
バスの送り迎えも負担の大きい話しだが、まだ4歳の少女が、毎日往復1時間かけて通園してるのはどうなのか。
何故、わざわざそれほど遠くに通うのか。
理由は近所の保育園が老朽化に伴い、廃園ことが決まったからだった。近くに別の園はあるが、そこも提案オーバー。待機児童とならぬよう、仕方なく隣町まで通っている。
ただ、いま通っているこの保育園自体は綺麗なため、近所の老朽化した建物よりはマシだった。結果的に良かったと少女も保護者も話しているとか。
隠れ待機児童
この少女のように、近くに本当は通いたいが通えない子どもは全国に6万人おり、隠れ待機児童と呼ばれているんだ。
全国的に待機児童は減少傾向にあると報道されており、明るい兆しのように思われている。要因は、受け皿となる保育整備が整ったとして取り上げられている記事が多いものの、すべてがそうではない。
そもそも少子化によって子供の数が減少した。そのことが待機児童を減らした結果ともいえる。
ただ、あまり報道で取り上げられないのは隠れ待機児童の問題であり、それをもっと世の中が注目すべきだ。
”安心のため”には、子供が通いやすい環境づくりが社会に求められる。
また、この”安心”を考慮した環境づくりは、親としても子供を預けるうえでは近くのほうが仕事と両立しやすくなる。
保育所に預ける際に、近所にないと送り迎えが大変だ。また、バスの場合も遠方になるほど時間が読めなかったりする。
仕事との両立しにくさが、少子化対策の問題でもあるので、そういったアプローチからも解決策のひとつとなるはずだ。
未来のために建築ができること。
では、その環境づくりのため、
建築は何ができるのだろう。
まず、子供の生活に配慮した建物づくり。低コストを目指すあまりに、空間が狭くなったり、床が硬すぎたりしないよう配慮すること。
施工の効率化も重要になってくる。4月に入園するのに、工事が進まずに入園できなかった事例も実は出ている。
今後想定できる状況は、人手不足などによって現場が進まず工期に遅れが生じることだ。そのようなことは決してあってはならない。
今、建築業界は板挟みの状況に立たされており、例えば公共建築においては、物価高騰の背景から資材コストは現場であがっているのに対して、全体工事予算がかなり厳しく求められている。
さらに、建物の計画段階から1年以上かけて作られるのが当たり前なのに、
その先々の物価も考慮して計画しなくてはいけないという、予知能力も求められるようになった。
これでは頭を悩ませるばかりだ。
ただ、それでも設計士やゼネコン・工務店は理想の建物づくりに勤しんでおり、最先端の保育園やこども園はより生活しやすい環境づくりに配慮している。
そして、地方における保育所の整備も着々と進んでいるのだ。
2020年に建設された広島県西条市の物件は、地元の酒袋を照明として再利用し、こども達が遊びながら風土を学ぶ建築としている。
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近くにこのような保育所があれば、毎日楽しく安心して過ごすことができるだろう。それを実現させるのは我々大人の役目だ。
僕らが残した園舎で子どもが育ち、その園でさらに次の世代が育つ。
そのような社会を未来に残すためにも、僕は建築業界で営業として生きていく。
今日も読んでくれてありがとう
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