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大手企業をあきらめた男ー就活が彼を何者かに導いたー

こんにちは。

冷たいお茶が飲みたくなる
そんな暑さが続く5月だな。

ラニーニャ現象が発生して、
今年の夏はとても暑くなるらしいぞ。
熱中症には十分気をつけてほしい。
普段、水をあまり飲まないから、
僕も気をつけよう。


▶︎吊り革広告

僕は普段、電車に乗りながら
noteの文章を書いている。

ふと上を見上げると
合同企業説明会の吊り革広告。

スペインの電車では吊り革広告を見かけなかった。こういう違いもまた面白い。

合同企業説明会、もはや遥か昔の思い出だな。

僕の頃は12月に就職活動の解禁だったけど、今は3月に広報解禁、そして、6月に選考解禁なんだね。

エントリーシートを
嫌なほど書いた記憶があるな。

そして紆余曲折があって、
ようやく自分が行きたい企業に決まる。

これもまた旅だな。

▶︎活発な就活

友人の話。
彼は就活における意識高い系男子。

企業インターンシップに参加して、
OB訪問も積極的に行っていた。

周囲に比べる突出して就活を行っており、誰もが彼は大手企業に就職するだろうと思っていた。

しかし、結果的に彼は大手に入社することなく、100人程度の専門商社に就職した。

それから大学を卒業後しばらくして、
彼から会わないかと連絡を受け、
仕事終わり、居酒屋で会うことになった。

僕が気になったのは、
あれだけ就活熱心だった彼が
なぜ大手企業に就職せずに
中小企業を選択したのかということ。

お店で待っていると、
店員に連れられて、
半個室にスーツ姿の彼が入ってきた。

ネクタイを緩め席に座る。

▶︎何者か

冷えたビールとハイボールで乾杯。
僕はビールが苦手、というか一杯全部飲みきれないのでハイボールを注文。

煮込みのお通しと、
注文した枝豆をつまみに
決め台詞のように
「最近どうよ」から話が始まる。

彼は、営業をしていた。
お酒の商社らしく、お客は酒屋や飲食店、代理店などらしい。ルート販売だけでなく新規も開拓してるとか。

「あまり名前が知られてないからさ、新規は大変だよね」

と、彼はジョッキを置き語る。

なんで大手に入らなかったのかを彼に聞く。
すると彼は「何者かわからなくなった」と語った。

▶︎会社が傾いたらどうする?


朝井リョウ作:「何者」
就活を舞台にした物語。

若者のリアルを描いたとして、映画にもなっている。彼との会話をした2015年に出版された作品だった。

彼は続けて、就活の頃の話をした。

◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎

彼は大手企業から内定を獲得することが目標だった。具体的に彼が思う大手とは、東証一部(現:東証プライム)に上場している企業。

ブランドが欲しかったと彼は言う。

だから、大手企業が参加する説明会にも積極的に参加し、OB訪問も行った。

また、学生時代は成績も決して悪くなく、勉学の傍らでバスケ部のキャプテンを勤め、併せてNPO法人に学生会として参加しながら被災地の復興支援活動に活発だった。

話のネタとしては豊富な方だった。

◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎

そして彼は大手車メーカーの
3次面接まで進んだ。

ここを突破すれば最終面接、
自分は沢山行動したから大丈夫と言い聞かせた。

しかし、面接で予想もしなかったことを質問される。


「将来、会社の業績が傾いても、君は会社と共に生きるかい?」


口から出たのは「はい」という返事。
ほぼ反射的に出ていた。

だが、内心は「いいえ」だった。
業績が傾けばブランドが落ちる。
大手に入った意味がない。

だからこそ、面接官から
「何故」と聞かれて
うまく答えられなかった。

その時、彼の中で気持ちの変化があった。

「俺は、大手に入りたいで終わってないか」

▶︎就活は終着点じゃない

彼のゴールは大手企業に入ること。
その先には何もない。

彼が欲しかったのはブランドなのだ。
だから、業界はどこでもよかった。

車、ME、商社にエントリーし
その会社に自分を合わせる就活。

だからこそ、彼にとってブランドがなくなることは、自分を失うことと一緒の感覚だった。

そのことに気づいた彼は、改めて自分を見つめ直し、自分自身を軸に置いた就活をしようと変えたのだった。

◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎

彼は新潟県南魚沼市の出身。
自然豊かな土地、綺麗な水で育った。

いつか地元に帰りたいと
大学生の頃に彼は言っていた。

彼は改めて自分と向き合って
地元に貢献できる何かがしたいと思った。

その時、美味しいワインが
地元にあることに気づき、
お酒を売ろうと決めたそうだ。

そして彼は、お酒の商社として
営業を頑張っていた。

「でも、大企業の方が働きやすかったかもな」と笑いながら語っていた。

▶︎そして

彼とはしばらく会っていない。
たまにLINEで連絡を取り合うが、
それも年に2回程度。

Facebookで近況は確認できた。
お酒の商社は辞めていた。

彼は起業した。

地元とコラボして酒蔵と企業を繋ぐ仕事をしている。そして、自社がプロデュースするワインの開発も行っているようだ。

彼は「自分が何者か」を知ったらしい。

僕としては大企業に入れるなら入った方がいいと思う。給与面や福利厚生は中小に比べて圧倒的によかったからね。

ただ、本当に好きな仕事に出会いのであれば、ゆっくりと時間をかけてでも探すといい。

彼の旅はまだまだ続く。

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