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子供が初めての“一語”を話せるようになるまでに必要な身体と脳の発達

こんにちは、今回は子供がまず言語を話せるようになるまで(初めての一語を)に他にどんな側面が関係しているのかについてまとめていきたいと思います。

ざっとまとめると

①舌の発達 (Motorik und Physiologie)

②音韻能力の発達 (Phonologische Entwicklung)

③物の認知 (Objektkognition)

④実用的部分の発達 (Pragmatische Entwicklung)

に分けられます。

①から④までを順に説明していきたいと思います。

①舌の発達について

新生児にはほとんど首が無く、かなりぐらぐらしてるのをご存知でしょう。
当たり前ですが、人間は言葉を発する時に喉や歯、または口を用います。
特に舌の機能はとても大切で、この舌が発達しない限り音を出すのが難しいわけです。
何故子供がmやpの音を割と早い段階で発するかというと、音が出しやすいからなんですね。特にmやpは舌関係なく、まーまーとかぱーぱーと口びるを動かすだけで音を出せますから。
一語を発せるようになるまでに、舌の発達はとても大事な役割を果たすのです。


②音韻能力の発達

音韻がまずどのように発達していくのかをまとめたいと思います。

  1. 生後3か月
    この時期にだいたい“うーうー”(Lallen)などと言った音を出せるようになります。

  2. 生後6カ月
    この時期になると1音ずつ色んな音を出すようになります。
    “ば”や“ぱ”や、“ま”などを使った音が多いです。
    子供がインプットする言語(保護者が日本語だったら日本語)の真似をし始める時期です。

  3. 生後8か月
    この時期になると子供は自分にとって使いやすい音を用いて音を出すようになります。
    また、Holophaseと呼ばれる子供にとっては意味のある音を出すようになります。
    “だだ” “ばば” “まま” “なな” “ぱぱ”…など。
    バナナを欲しがる時も、“だだ”。車を見ても、“だだ”。というような感じです。この一見何かわかって言ってるのか?と思える発語も、実は子供の脳が発達しているかどうかを見極める重要な要素になっているのです。

  4. 生後11か月
    この時期になると、音の違いを認識し始めます。
    例えば母音は、“あ”の音がまず習得される傾向にありますが、その後“い”、“う”の音ががあり、それらは“あ”とは違う音なのだということを分かっていくということです。
    ちなみに子音はp、t、b、d、m、nなどの音が早く習得される傾向にあります。

  5. 生後1年
    1歳になる頃にはシナプスも発達し、子供にとって不要な音を脳がどんどん捨てていく現象が始まります。
    日本人の子供にとって、不要なRの発音(日本語にはRの音が無いと言われているため)が例えばこの段階で子供の耳に残らなくなるということです。インプットでも入ってこないため、脳内にその音がインプットされることなく、その人間にとって不要な音と認識され拾わなくなるのです。


③物の認知

物を認知出来るようになるというのは、目の前の物にはどんな名前があるのかを理解しなければならないということです。またこの現象、すなわち、物一つ一つに名前があることを理解することをSymbolverständnisと言います。

また、物を認知するにあたってまず子供は、自分の目の前に存在しない物も、物として存在し続ける。ということを学ばなければなりません。

子供の目の前にバナナがあるとして、それを子供の前から無くすと、子供はバナナの存在が世界から消えたも同然と思うわけです。でも実際は目の前から無くなっているだけで、バナナは存在しているのだ。ということをまずは理解できるようにならないといけないのです。

目の前にうつるものだけが世界に存在しているわけではないということを理解する能力はObjektpermanenzと呼ばれます。

従って、物を認知出来るようになるためにはこの、SymbolverständnisObjektpermanenzの能力が不可欠となるのです。

だいたい生後4か月から8か月くらいで発達する認知能力だそうです。

④実用的部分の発達


まず、言語を習得するのに大前提として、コミュニケーションの意思疎通が必須となります。
子供にとって【何のために言語が必要なのか?】と理解する為に必要な発達で、子供が保護者や関係のある人達と直接的な関わりをもって言語を用いて接することで、言葉を使ったコミュニケーションや、言葉を用いないコミュニケーションのそれぞれの能力を身につけていくのです。

要は、親や話しかけてくれる人とのコミュニケーションを通して、

①身体を用いたコミュニケーション
例…取って!と言葉を介して言わずとも、取りたそうな素振りを見せることで、大人は自分の欲しいものを取ってくれる。ということを理解する能力

②言葉を用いたコミュニケーション
例…泣いたりするとご飯がもらえたり、叫んだりすると大人の注意を受けることが出来るということを理解する能力

を学び、コミュニケーション能力を学んでいくのです。



以上4つの点が、まず子供が一語を発するようになるために必要な能力の素地となります。