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「当時は99%の麻雀プロがオカルト派だった…、オカルトバスターズの戦い、そしてオカルトの本質とは」鈴木たろう・小林剛対談スペシャル企画(1)

近代麻雀note・Mリーガー対談スペシャル企画第5弾。今回は「オカルトバスターズ」として共に活動していた鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)・小林剛(U-NEXT Pirates)の2人のトークをお届けする。オカルト思想と戦ってきた彼らは今、トッププロとして麻雀界をリードする存在となった。初回では、彼らの歩んで来た道のりや、その最中で経験した隠された苦悩、そして「オカルト」について語ってもらった。(全3回の1回目/#2#3へ)
[文・東川亮]


■のちにMリーガーになる3名でのオカルトバスターズ結成


――まずは、お二人が一緒だった「オカルトバスターズ」について、改めて教えてください。
 
小林 「月刊プロ麻雀」という、麻雀プロ関係のことが主に載っている雑誌があったのですが、そこの企画で目立っていた若手3人を集めて何かをやってみよう、となって、僕とたろうさん、村上淳が集められたのが始まりです。

 今は全員Mリーガーになりましたから、先見の明があったと言ってもいいんじゃないでしょうか。

たろう 当時はまだタイトルを獲っていないけど内部評価が高い、仲が良くて目立っていた3人を選んだ感じですね。他にも何人かいましたが、「デジタル系」「アンチオカルト系」で目立っていた3人が選ばれたと思います。 

小林 やっていた内容としては、タイトル戦の決勝戦の牌譜とかを持ってきて「こんなオカルトじゃだめだよね」というのを、毎回いろいろなネタを使ってやっていました。

 そのときの話でよく覚えているのが、水巻渉の一件です。早い親リーチに水巻がまわりながら役なしの1シャンテンに進むチーをしたら親のリーチにツモられたんですね。形テンの1シャンテンでその後に切られる予定の牌も安全牌なので絶対にチーなんですけど、「これはダメだ」って、観戦記でめちゃくちゃにたたかれたんです。「アガれない流れを変えたダメなチー」とか書かれていて、「それは違うでしょ」と。

 当時の観戦記は、結果論をオカルトで飾って楽しくするもの、みたいなところがありました。今だと考えられないですけど。

 ――若い頃のお二方はそうやってオカルト思想と戦っていたわけですが、そこで何か言われたとか、覚えていることはありますか。 

たろう 僕が一番覚えているのは、「海を見たことがないやつが海を語るな」と言われたことですね。タイトルも獲ったことのない、麻雀もろくに知らないやつが麻雀を語るな、というニュアンスだったと思います。 

小林 そういうの、よく言われていたよね。

 たろう それに対してムカつきながらも、仲間内ではネタにしてましたねw 

小林 「こいつらバカだなー」と思いながら、「いつかこいつらより強くならなきゃ」というのはありました。強くなれるとは思っていましたけど。 

たろう 当時の段階で、もう自分のほうが強いと思っていたけどね。 

小林 確かに(笑)。いい勝負はできているつもりだったね。そして、「麻雀界はこれじゃだめだ」とも思っていました。 

たろう ベテランのたまたま結果を残した人たちが若手をオカルトで攻撃する文化が耐えられなかったです。「いつかはあいつらをやっつけてやるぞ」って思っていましたし、タイトル戦でみんながいいところに行く度に、お互いに応援しあっていました。 

――その後、お二人は数々のタイトルを獲られてきましたが、タイトルを獲った後は何も言われなくなりましたか。 

たろう タイトルを獲って、立場を得てきてからは言われなくなってきた気がします。 

小林 でも、当時はまだいっぱい言われていたんじゃないかな。そもそも、あの頃は麻雀プロのほとんどがオカルト派だったんです。基本的にそういう話しかされませんでしたし、我々が出てきたとしても「今時のわかっていないヤツが出てきた」みたいな扱いだったと思います。

 我々がタイトルを獲り始めたのは20年近く前でしたけど、当時はまだ全然でした。

 たろう 上の世代だけでなく、比率は少ないですけど同世代にもいた気がします。麻雀が絡まなければ、そっちの側の人の方が楽しくて好きなんですが、麻雀が絡んでしまうとどうしても「は?」ってなっちゃいますねw 

小林 その頃かもう少し前かですけど、各団体の上位リーグを見て、この人はひょっとしたらオカルトじゃないかも、というのをチェックしてみたのですが、各団体で1人いたかどうかでした。  

■「オカルト」の正体


――お二人は、麻雀における「オカルト」とはどのようなものだと考えていますか。 

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