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「峰宗太郎に聞く「オミクロンから身を守る方法」「新型コロナは風邪」理論が無理筋な理由」

TONOZUKAです。


峰宗太郎に聞く「オミクロンから身を守る方法」「新型コロナは風邪」理論が無理筋な理由


以下引用

変異ウイルス・オミクロンが猛威を振るうなか、私たちはどんなことに気をつけたらいいのか。昨年12月に新刊『新型コロナとワクチン わたしたちは正しかったのか』(日経BP、山中浩之氏との共著)を出版した、医師で薬剤師の峰宗太郎(みね・そうたろう)氏に詳しく話をうかがった。意外に知られていないこと、改めて知っておきたいことがまだまだたくさんある。


なぜ「ワクチン接種」が必要か

――新刊の中でも、第6波は必ずくるだろうと予想されていましたが、現状をどうご覧になっていますか?

これまで新型コロナウイルスは流行時期と押さえ込まれる時期を何度も繰り返してきましたから、やはり当然くるだろうと予想していました。が、しかし変異ウイルス・オミクロンのために想像以上に大きな波になっています。ワクチンによってできる抗体があっても感染する「ブレイクスルー感染」も多いので、注意が必要ですね。

――こうしてブレイクスルー感染が増えると、「ワクチンは意味がないんじゃないか」と考える人が増えそうです。

それは困りますね、大間違いなので……。ワクチンにはざっくり言うと、①感染予防効果、②発症予防効果、③重症化予防効果の3つの効果があります。①と②に関してファイザーやモデルナの新型コロナワクチン(mRNA)は接種からすぐ(2週間後以降)であれば、従来から流行っている新型コロナウイルスに対しては9割以上の効果があります。これは相当に大きな数字ですね。

もちろん、時間が経ったり、ウイルスが変異したりすると、効果が落ちることもわかっていますが、意味がないなんてことはありません。さらに、③の重症化予防効果については、どの新型コロナウイルスの変異ウイルスでも、ワクチン接種者のほうがワクチン非接種者よりも重症化が格段に少ないことがわかっています。イギリスなどからデータが明確に出ているのです。①と②だけに目を向けるのはおかしいですよね。
――なるほど、やっぱりワクチンには重症化予防効果があるんですね。もともと「新型コロナは風邪」などと言われたりもしていますが、オミクロンは軽症者が多いからか余計にそう言われているのが気にかかります。

ひとことで答えると「普通の風邪の場合は、こんなにたくさんの人が入院したり、亡くなったりしないですよね」ということなんです。風邪やインフルエンザでも、高齢だったり、ほかに重大な病気があったりすると亡くなることは確かにあります。でも、大抵の場合はというか、ほとんどは入院しませんし、亡くなりもしません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)になると、健康でも若くても、重症化して入院したり、亡くなったり、重大な後遺症が残ったりすることが現実にたくさんあります。その現実から目を背けるのは相当におかしいことだと認識しないといけませんよね。

――本の中では、新型コロナウイルス感染症は、風邪と違って「免疫の過剰な反応」が起こることも詳しく書かれていて勉強になりました。

体内に入ったウイルスは、私たちの細胞を利用してどんどん増殖していきます。一晩で数百万倍に増えることもあるのです。それに対して免疫が反応して、鼻水やせき、熱などが出るわけですよね。ここまでは風邪も同じ。でも、新型コロナウイルス感染症の場合は、体内のウイルス量が減り始めてからも、さらに免疫が過剰な反応を示すことでいわゆる間質性肺炎や呼吸不全などが起こったりします。風邪でこのようなことは、なかなかないですね。
私たちは本当に「騒ぎすぎ」なのか?

――新型コロナウイルスでは、たくさんの人が亡くなっています。それでも「年間1%くらいしか死なないのに」「そこまでしなくてもいいし騒ぎすぎ」などと言う人もいますが、どうご覧になっていますか?

日本人は、年間100万人くらい死亡しています。その1%というのは、およそ1万人。新しいたったひとつの病気によって年間1万人も多く亡くなるのは大変な事態です。

また、新型コロナウイルスは、流行の波がきたときに患者さんが幾何級数的に増えます。けれども医療資源は急に増やすことが不可能なので、そこまで……というのはマスクやワクチン、三密回避などのさまざまな対策でしょうけれども、これをしないと病院にはほかにもさまざまな病気の人が来られるわけですからパンクしてしまうわけです。すると、結果的に死者はもっと増えます。超過死亡で考えるんですね。新型コロナウイルス感染者だけでなく、結果的に診られなかったほかの病気の方もです。ですから、つねに対策が必要なんですよ。


――オミクロンのような変異ウイルスは今後も出てくるのでしょうか? 変異ウイルスができないよう、何か対策は取れないんでしょうか?

そもそもウイルスというのは、ヒトの細胞内で増殖するときにコピーのミスが起こることで、どんどんと変化していくものです。そのなかでも感染しやすいものが、人から人へと広がっていく。これを止めるには、やはり流行を抑えることが必要です。予防がいかに大切かをわかっていただけると思います。
――今PCR検査の数が急激に増えすぎて、検査キットが不足しているとか。予防のためにも検査を受けたほうがいいでしょうか?

まずは実際に発熱やせきなどの症状がある人、濃厚接触者、濃厚接触者にはならなかったけれども感染者の近くにいた人が確定診断やスクリーニングを受けることを優先したほうがいいでしょう。

もちろん、不安があれば検査を受けてもいいのですが、検査の精度は100%ではありませんから「偽陽性」も「偽陰性」もありますし、検査翌日や直後、場合によっては検査会場で新たに感染するかもしれません。これだけ感染者が増えると、「不安だから検査を受ける」のは相対的に意味がないだろうと思います。それよりも、他人との接触をなるべく控えるなどの基本的な対策の徹底のほうが大事です。
新薬には期待していいのか

――最近、新型コロナウイルスによる強い炎症を鎮めるために有効な「抗炎症・免疫抑制薬」がわかったり、ウイルスそのものの増殖を抑える「抗ウイルス薬」ができてきたとか。

これから、さらに新しい薬ができる可能性ももちろんあります。より適切な使い方もわかるかもしれません。ただ、抗ウイルス薬に関しては、ウイルスは一晩でも爆発的に増えることがあるため、発症してすぐでないとより有効には使えません。また生産できる数に限りがありますし、もちろん副作用が出る可能性もあることから、今は重症化リスクが高い人だけに使われています。つまり今のところ、抗ウイルス薬は発症したばかりで体内のウイルスが少なく軽症で、しかも重症化リスクが高い人でないと使えません。

――そう考えると、やはり命を守るためにワクチンは重要ですね。ワクチンが怖いという人の多くは「よくわからないから」と言います。新型コロナワクチン(mRNA)はどんなワクチンか改めて教えてください。

ワクチンは、病気になる前に病原体(ウイルスや細菌など)の全部または一部を安全な形で体内に入れ、あらかじめ体に、病原体に対する抗体を作らせるためのものです。病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」、毒性を不活化した「不活化ワクチン」と違って、「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」はウイルスの設計図を入れることで抗体を作り出します。ほかの方法のワクチンと比べても反応性が高く、しかも今までのワクチンと比べても安全性に遜色なく、世界中で接種され、日本でも80%の人が接種していて、すでによくわかっているワクチンといえます。
――3回目の接種も始まっていますが、やはり副反応が怖いという人も多いようです。

新型コロナワクチン(mRNA)には、確かに副反応はあります。ただ、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)は接種後の待機時間を設けることによって対処可能ですし、心配されている心筋炎が起こる確率は高くありません。それでも万が一を考えて、心筋炎になりやすい10〜20代の男性は、より副反応が少ないファイザー製のワクチンを接種するといいかもしれません。また接種後4日程度の間に、高熱や胸の痛み、息切れ、むくみなどが出たら、医療機関にかかってください。
いずれにしてもアメリカ(CDC:アメリカ疾病対策センター)でも、日本(厚生労働省)でも、新型コロナワクチンの副反応が原因となって亡くなった人(因果関係があるもの)は報告されていませんから安全性がかなり高いのは事実です。

――まだ流行真っただ中ですが、ここまで日本は正しかったというか、うまくいったほうだと峰先生はおっしゃっています。もともとマスクや手洗いをすることが大きいのでしょうか?

国の対策がうまくいったというよりも、普段からこまめに手洗いをしたり、マスクをしたりするなど、衛生意識の高い国民性がいい方向へ働いたのではないかと思います。あと日本人は他人との距離が近くないし、スキンシップも少ないし、ホームパーティー開催の頻度も低いし、1人で行動する人も多い。これも三密回避になったのではないでしょうか。
今後、感染しないためにできること

――改めて、今コロナを広げないために、また感染しないためにできることを教えてください。

流行時にいちばん大事なのは、三密回避です。①密閉空間を避ける、②密集場所を避ける、③密接場面を避ける、ですね。感染症は人とルートがあって広がっていくものですから、誰にも会わなければ広がりません。だけど、社会生活を営まないといけないから、人に会うならマスクをして、しっかり手洗いをしてください。

ワクチンの接種も大事です。そして細かい飛沫は空気中に漂い続けることがわかっているので、換気もしましょう。これは当たり前のことに思えるかもしれませんが、当たり前のことをきちんとやることこそ大事なんです。



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