「新型コロナワクチン4回目接種の利益は少ない可能性」

TONOZUKAです。

新型コロナワクチン4回目接種の利益は少ない可能性

新型コロナワクチン4回目接種の利益は少ない可能性

以下引用

イスラエルSheba Medical Center Tel HashomerのGili Regev-Yochay氏らは、Pfizer/BioNTech社の新型コロナワクチンの3回目接種から4カ月以上経過していた18歳以上の医療従事者に対して、同社またはModerna社のワクチンの4回目接種を実施する臨床試験を行い、安全で免疫反応を増強する効果は見られたものの、対照群と比較したオミクロン株予防効果はさほど大きくなかったと報告した。結果はCORRESPONDENCEとして2022年3月16日NEJM誌電子版に掲載された。

　著者らは医療従事者1050人を対象に、2021年の12月27～28日に154人（平均年齢は59.0歳、範囲30～85歳、男性の割合が40.9％）にPfizer社のワクチン30μgを接種した。続いて1週間後の2022年1月5～6日に、Moderna社のワクチン50μgを120人（56.0歳、29～89歳、25.5％）に接種した。接種前と接種7日後、14日後、21日後、30日後に血液標本採取と評価を行った。4回目の接種を受けていない人の中から、2種類の接種群と年齢がマッチする対照群を1対2の割合になるよう選出した。

　SARS-CoV-2スパイク蛋白質の受容体結合ドメインに対するIgG抗体価は、4回目にどちらのワクチンを接種しても、3回目の接種後4週時点とほぼ同レベルまで上昇し、その状態が、4回目の接種の少なくとも4週後まで持続することが確認できた。シュードウイルス中和アッセイにより評価した中和抗体の幾何平均抗体価も、3回目の接種後4週時点と同レベル以上に上昇しており、その状態が持続していた。

　Pfizer社のワクチンを接種された人々とModerna社のワクチンを接種された人々の免疫応答に有意差は見られなかった。一方で、対照群群の抗体価は、3回目の接種後から経時的に低下していた。

　続いて、感染性を有する野生株、デルタ株、オミクロン株と採取した血清を混合し、VERO-E6細胞に添加して、血清中の中和抗体価を調べる試験を行ったところ、3回接種後と同様に、どのウイルス株に対する中和活性も、4回目の接種前に比べ、約10倍からそれ以上に上昇していた。ワクチン間のブースター効果に差はなかった。接種前の中和抗体価が特に低かったオミクロン株に対する中和活性も、他のウイルス株を対象とした場合に比べると低いものの、4回目の接種により上昇していた。

　4回目の接種後の有害事象は、多くの患者において軽症で、局所の反応が多く報告されていた。

　対照群では、追跡期間中に25％がオミクロン株に感染していた。Pfizer社のワクチンの4回目の接種を受けた人々では18.3％が、4回目にModerna社のワクチンを接種された人々では20.7％が、オミクロン株に感染していた。SARS-CoV-2の感染を予防するワクチン4回接種の効果は、Pfizer社ワクチンが30.0％（95％信頼区間-8.8から55％）、Moderna社ワクチンが10.8％（-43から44％）になった。

　対照群も4回目接種群も感染者は全て、発症したとしても軽症で経過した。ワクチン4回接種の発症予防効果は、Pfizer社のワクチンが43.1％（6.6から65.4％）、Moderna社の効果は31.4％（-18.4から60.2％）と推定された。

　一方で、4回接種後の感染者のほとんどにおいて、PCR検査におけるCt値は25以下と低く、排出されるウイルスは周囲に感染を広げるレベルだったと考えられた。

　試験期間中に感染者から分離されたウイルスは、全てオミクロン株だった。そうした時期に行われた研究で、4回目のワクチン接種は安全で、抗体価を上昇させること、しかし、接種の利益はあったとしても小さいこと、また、ブレイクスルー感染者が排出するウイルス量は高いことが示唆された。

先に行われた研究では、2回目に比べ3回目の接種後には、免疫応答が有意に高まることが示されていた。今回得られた結果は、mRNAワクチンの最大の効果は3回接種後に獲得され、4回目の接種に期待できるのは、経時的に減弱した免疫を3回接種後のレベルに戻す効果にとどまることが示唆された。そのため著者らは、小規模な非ランダム化試験の結果だが、健康で若い医療従事者に対する4回目の接種の利益はわずかしかない可能性があると述べている。

　原題は「Efficacy of a Fourth Dose of Covid-19 mRNA Vaccine against Omicron」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。

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