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夢見夕利先生『魔女に首輪は付けられない』読書感想文
「魔女に首輪を付けなさい」
先生はそう仰いました。
話はおよそ24時間前に遡ります。
「アーガイル、お前をこの家から追放する!」
夏休みの初日。
追放ものライトノベルの書き出しみたいなことを兄に言われました。
必要最低限の着替えと筆記用具などを鞄に詰め込まれ、それと一緒に馬車に叩き込まれます。
ごっとんごっとんと揺れる馬車の中で僕は、思ったより早かったなと感じていました。
こうな
有象利路先生『組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い』読書感想文
「うまい棒にいつも敗北してるんだ」
付き合いはじめてそろそろ一年になる先輩が神妙な面持ちで、ずっと隠してきたけど大事な話があると耳元でささやいてきたので、いったい何を言ってくるのか身構えると、そんなことを白状してきた。
嬉しいニュースでも悪い報せでもなく、どうでもいい自白だった。
十七年生きてきて、うまい棒に負けた人を見たのは、はじめてだ。
ちなみに、うまい棒に勝った人にも会ったことはない
秋傘水稀先生『30ページでループする。そして君を死の運命から救う。』読書感想文
というわけでまた痔になりました。お尻、荒ぶる、再び。
前回は刺激物の飲食を控えつつ市販薬の力で治まったのですが、今回は様子が違いまして。
まず、市販薬の効果を全く感じないのです。
良くも悪くもならず、本当に、無、なんです。
アンデッド系のモンスターに毒草ぶつけたらこんな感じかしらってくらい、何の反応もありません。
さすがにちょっと心配になってきて、ちょっとどころじゃなく不安にもなって、しかたないの
櫻井孝宏先生『47歳、まだまだボウヤ』読書感想文
うったての話をすると、ほとんどの人は不思議な顔をする。
大抵の人は、何かの聞き間違いだろうか、という顔をする。
訴えとか、腕立て、とか。
そうではなくて、うったて。
それはどんなものかと聞かれると、ちょっと困る。
まるで耳たぶについての説明を求められているみたいで。
だって、普段は考えたりしないだろ、耳たぶのことなんて。
そもそも耳たぶの存在意義って何だ?
実はこれがあるおかげ
斜線堂有紀先生『不純文学』読書感想文
解説
この国にこんな場所があったのかと目を丸くして入った幻想的な森の奥で出迎えてくれたのは、おとぎ話のようなレストラン。
かの物語のように、入店の際に多くの注文をつけられるようなことはなかったものの、メニューは少なく、コースが二つだけ。
あなたは上のコースを、友人は下のコースを、それぞれオーダーした。
一つしかないテーブルにあなたと友人は向かい合い着席して料理を待つ。
絶妙なタイ
西条陽先生『わたし、二番目の彼女でいいから。』読書感想文
会社をクビになりました。
それから半年たちました。
その間、何をしていたのかと申しますと、何かやろうとして何もできませんでした。
とにかく手っ取り早く有名になってお金持ちになりたかったので、まずはイラストレーターを目指しました。
これでも小学生のころはクラスで一番、絵がうまかったんですよ。
ネットの情報を信じてタブレットとスタイラスを買ってみたものの、うまくいきません。
頭の中にある完璧な絵を、
浅月そら先生『女子高生声優・橋本ゆすらの攻略法』読書感想文
エンティアラビル人質事件(エンティアラビルひとじちじけん)とは、ヨーロッパの小国ケルディアの首都エンティアラにある高層ビル、エンティアラビルで起きたケルディア第一王子とその一派による襲撃、占拠、人質事件である。
本項では事件解決の要となった、十代の日本人少女とケルディア人少女による特殊作戦についても解説する。
発端
2月27日
ケルディア国王ゼソージ6世が崩御し、まだ十七歳で第二王子のロックサが