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カセットテープ

遠い昔、好きな女の子にラブレターを渡したことがある。カセットテープを添えて。

カセットテープを渡す。もはやデジタル時代には存在しない行為。昔はちょっとイケてない男がやることと思われていたふしがある。


カタカタ回る扇風機とすっかり薄くなってしまったカルピス。恋にわずらう僕は少し汗ばみながら曲を選び抜いた。そして丁寧に録音を繰り返し一つ46分のカセットテープに仕上げる。音楽と言葉が彼女の中でシンクロしてこの想いが伝わってほしいと願いながら。

二週間ほどしてから手紙が届いた。彼女からだった。初めて見る彼女の整った字。嬉しかった。高鳴る鼓動、二枚の便箋に目を凝らした。

ありがとう、君がくれたテープ、毎日聞いてる


僕は呟いた

ありがとう、永遠に

I can’t stop loving you.


いつもありがとうございます。書きたいこと徒然なるままに書きます。