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読書紹介21「半沢直樹 アルルカンと道化師」

あらすじ

東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いた時、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。

感想

「七つの会議」、今ドラマが放送中の「ハヤブサ消防団」の作者である池井戸潤さんの作品です。タイトルにある「アルルカン」とは、ピエロとともに伝統的なイタリア喜劇に登場する人気のキャラクターです。ずる賢いアルルカンと純粋なピエロの対比は、画家たちが好んで取り上げたそうで、今回の物語の重要なカギになります。

話は、最初にテレビ放映されたドラマの前、過去にあたる時系列になっています。大阪西支店の時に登場した浅野支店長をはじめとする「敵」役もしっかり出ていて、最終的に「論破」していく姿は、いつものごとく、すっきり感が半端なかったです。

また、それにプラスして、絵画の謎を追うという「ミステリー」の要素も入っていて、より、違う味わいがありました。「探偵 半沢直樹」といた感じです。

さらに、いつものごとく?査問委員会や懲罰人事、全店会議など、周りは敵だらけというところでも仲間やそれまでに「誠実」に向き合ってきた店や経営者からに助けてもらう、力を貸してもらう姿も見どころだと感じました。
「勝ち組・負け組」「組織の不正」「コンプライアンス」「働き方改革」。時代を経て、会社も大きく変わっていますが、その中で働く人の葛藤や苦悩、決断は「0」にはなりません。自分の経験を思い出しながら、池井戸さんの熱量ある、心に響く言葉を味わうのもいいなあと思いました。

<心に響いた言葉>

「自浄作用がなくなったら、組織は終わりだ」

理想を語ってばかりでは確かに、実績はついてこないかもしれない。ですが、理想のない仕事にろくな現実はない。

「金だけは儲けたけど、それも寂しい人生だ」

「株主たちが求めてくるのは、常に右肩上がりの成長だ」

「世の中の事象には、表と裏があって、真実は往々にして裏面に宿る。
人が見たつもりになっているのは見せかけで、背後に回れば思いがけない真実が存在し、表向きの矛盾も理不尽も合理的に語りつくされる」

「お前にはお間にしかできない仕事があるはずだ」

著書情報

発行所   講談社
発行年月日 2020年9月17日
値段    1600円(税別)

皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです

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