あさのでんしゃ

学生です。歌が好き。言葉が好き。 これまでも数十作の詩を書きましたが、公開する事もなく…

あさのでんしゃ

学生です。歌が好き。言葉が好き。 これまでも数十作の詩を書きましたが、公開する事もなく、自分が読み飽きたら捨てていました。 でも最近になって「誰かに読んでもらいたい」と思うようになりました。 拙いものですが、応援してくだされば幸いです。

マガジン

  • 創作大賞2024

    #創作大賞#オールカテゴリ部門として応募した作品を纏めました!

最近の記事

【詩】一日

何気ない朝 カーテンを開けたら 眩しい日差しに目を閉じた テーブルには珈琲そして ロールパンを片手に テレビのチャンネルを回す いつものキャスターさんが 夕方の雨を 知らせ その後に流れる 暗いニュースが 次から次へと流れていった そうしている間に家を出る時間になり 慌ててリュックサックに荷物を積める その傍らでまだつけっぱなしのテレビが 今日のラッキーアイテムを知らせていた 占いの順位なんて気にしていないつもりだけど 今日は少しだけついてない日かもしれないなんて そんな事を

    • 【詩】花言葉

      その花を見る度 いつかの貴方を想い出す 花言葉は「優しい思い出」 貴方はいつだって柔らかに笑った 纏まりのない私の話にもそっと耳を傾けてくれた 貴方が話す昔話が好きだった 白黒写真の中の人たちと逢えた気がして 貴方はどんな日も無常の愛をくれた こんな私を誰より大切に思ってくれた けれども貴方が口ずさむ歌を 何とも尋ねず ただ私はそこに居た 私は何も貴方に返せなかった 確かに同じ時間を歩んだ筈なのに 貴方が愛した花。 その花言葉は今、 「永遠の別れ」となった 確か

      • 【詩】探し物

        大切なものを失った訳ではない けれどもいつも何かを探してしまう 何が足りないのか。 何を見つけたいのか。 それは今、必要な物なのか。 それは目に映るものなのか。 それは形あるものなのか 気が付かない間に 僕が手放してしまったものが 有るのかもしれない ならば探しに行こう。 この道の先で 僕の探し物を持っている人が きっと居るはず そう信じて。

        • 【詩】作家

          或る朝 僕へ届いた 贈り物 鮮やかな赤いリボンで飾られた箱には 何も書かれていない原稿用紙と 真新しい万年筆。 構想期間は僕の人生 この日から 長い長い ノンフィクション作家としての 僕の生涯が始まった 沢山の物語を描こう。 僕だけの価値観で 制約のない自由な表現で 沢山の人物を描こう。 ほんの少しの出逢いも 大切にしたいから 小説が進む度 いつの間にか 主人公の役柄が 君に染まった プロローグには居なかった君が いつの間にか僕の小説の主人公になった

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        • 創作大賞2024
          14本

        記事

          【詩】嘘

          ともだちに悪戯をした言い訳に あなたは小さな嘘をついた 嘘で飾って偽らなくても 私は必ず あなたを許すから 嫌いになんて なりやしないから あなたが正直者で居られる時間 それは人生でほんの僅か だから  嘘なんて言わないで あと少しの時間だけ 約束してほしい 今は このまま あなたのそばに居るから

          【詩】彼

          彼は 僅か3秒で 私が与えたテーマに沿った 5連の詩を描いた テーマは 「人生のエンドライン」 不死身の彼が 機械でしかない彼が 笑う楽しさを知らない彼が 泣く痛みを知らない彼が 人生のエンドラインになど立つはずのない彼が 描いたとは思えないクオリティー 果たして、人間とは何なのか。 私が長年 言葉と向き合い 時間を削って 詩を紡いだ意味を 遂には見出せなくなった。 私は今、確実に 科学技術に心を喰い潰された はけ口のない「絶望」の 片付け方など分からない そう

          【詩】矛盾

          僕の持ってるこの矛は 重くて錆びた素敵なもの 振りかぶろうとする度に 何故だか 力尽きてしまう 相手を負かすこの矛は 故意に他人を傷つけるもの 分かっているけど手に取った けれども重くて使えない この矛ならば  誰かを傷付けずに済む。 僕の持ってるこの盾は 脆くて弱くて素敵なもの ほんの少しの攻撃で 木屑がぼろぼろ こぼれる程に 自分を守るこの盾は 相手の痛みを教えてくれる 脆いからこそ矢が刺さり その攻撃の痛みが分かる この盾ならば  傷付く痛みがよく分かる。

          【詩】日々

          今日一日の楽しみを 考えついたら起きれるの 今日はあなたに会えるから ただそれだけで目を覚ます 今日一日の出来事に 納得できたら眠れるの 次こそうまくやれるから 今日はおやすみ また明日 朝の二度目のアラームを 止めることなく耳を塞いだ 今日は起きない 放っておいて 今日は 何処へも行きたくないの 今夜は眠りにつけないの 何度も反芻 あの会話 過ぎたことなら 忘れよう そう思う度 どんどん深く いろんな朝と夜が来る 起きられない朝 眠れない夜 憂鬱な朝には 僅かな光

          【詩】セロリ

          人には好き嫌いがあって 時間が経てば好きになれたものがある 例えばパセリ。 彼はただ誰かに華を添え 彼自身はただ静かに座っている どうして彼は地位や名誉を譲れるのだろう  そう思っていた。 けれども私が彼を知らなかっただけ。 彼の大切なものは地位や名誉ではなかった 僕らの幸せの定義は一体幾つ在るのだろうか 人には好き嫌いがあって 時間と共に色褪せ嫌いになっていくものがある 例えばトマト。 僕はこれまでトマトは甘いものだと思っていた ただ人生は楽しいものだと そう思っていた。

          【詩】セロリ

          【詩】子守唄

          あの晩  貴方は 唄ってくれた よるが  苦手な わたしの為に よるは 優しく 煌めくセカイ 夢見る  自由を 与えるような つきは 朝日を 信じて待って ほしは 彼方の 願いを受ける つきは いつも すぐ側に居て ほしは 誰かを 思い出させる 貴方は 静かに わたしに唄い 眠りに つく迄  話してくれた 今宵は 大事な あなたへ唄う 貴方と おなじ  月夜のうたを

          【詩】子守唄

          【詩】寂寥

          埃を被った小さな車 君と遠出をしたのは いつ頃だろう それは意外な朝だった 君とふたり 予定外の遠出を決めた 旅行パンフレット片手に いつの間にか旅に出た 県境を幾つも飛び越え 橋の向こうに街が見えた それは賑やかな街だった 君とふたり 中華街での食べ歩き ノンアル片手に 道中歌った歌を口ずさんだ レモネードが映える君と 思いきりはしゃいだ それは忘れられない画になった 君とふたり 街角の古着屋さんでお買い物 君のワンピース姿は もうすっかり夏で その格好に またひとつ

          【詩】文字

          もしも残りの人生で たった1000文字しか使えないならば 僕は君に何を伝えよう 「嫌い」なことより 「素敵」を話そう 「メール」じゃなくて 「会って」話そう 「さみしい」日には 「約束」をしよう そして 最後の5文字になったとき 僕は君に精一杯の「ありがとう」を伝えよう。 君をそっと抱きしめて 「だいすき」も「しあわせ」も。 そして静かに「さよなら」も。 もう ぜんぶ ぜんぶ 伝えよう。 もう言葉なんて要らなくなるから ぜんぶ ぜんぶ 伝えよう。

          【長編詩】ふたり

          僕が誘って 君を連れ出したら 秋を見つけて 君が笑った 君のお気に入りの 薄手のコート それに合う靴を探しに行こうって 歩いてたけど 鯛焼き屋さん見つけて ちょっとひと息 君が好きな イチョウの並木 いつも君のそばにいて  君と歩幅を合わせられたら 昨日の君を 思い出したら なぜか不思議と 頬が緩んだ ふと見た写真に 君の笑う顔 君の無邪気なとこが好きなんだって 言おうとしたけど なんだか難しくて やっぱりやめた 小さな悩みなんてどうでもいいやって思える  君との時間 この

          【長編詩】ふたり

          【詩】あなた

          あの日 静かに電話が鳴って 悲しい知らせが私を包んだ 最期に一言かけたくて ありがとうを伝えたくて そして大好きなあなたをもう一度抱きしめたくて 私は特急列車に乗り込んだ レールを走る列車の音が響き 素っ気なく そして 味気なく 過ぎる景色を横目に  その日から長い長い孤独が始まった あの日から幾つのカレンダーをめくっただろう 私は今日 あなたに会いに 特急列車に乗り込んだ あなたに添える白い花を買って その花束に溢れんばかりの涙を注いだ もう、どんなに急いでも あ

          【詩】彼方の平和

          戦地の向こうに 戦地が見える 正しさを貫くゆえに  愛しさを抱くゆえに 正しさや愛を捻じ曲げる 例えばそれに「勝った」としたら 失ったものは数えないのだろうか 戦車や銃口の先にいるのは 本当に「敵」なのだろうか こんなこと もうとっくに分かっているはず。 たとえ「勝利」しても 失ったものが返ってくることはない きっと一生 その傷と戦い続けることになる 銃口の先にいるのは 自分と同じように かけがえのない家族のいる「人」だ。 戦争が壊すのは 「街」であり「人」であ

          【詩】彼方の平和

          【詩】隣の誰か

          帰りの電車 隣の誰かが 見知らぬ誰かに駆け寄って 手を差し伸べた 僕には 声をかける勇気もなくて 黙って座ってた 自分では力になれへんのとちゃうか でしゃばりって思われるだけなんとちゃうか そんなん言い訳とちゃうか そうやこれは言い訳や 大人になるとはこういうことか 言い訳ばっかり増えて 遂には何も出来へんようになってしまうんやろか そんなん嫌やわ 納得できへんわ ほんなら今度は声かけてみたらええんちゃうか それまでに大人になってみたらええんちゃうか 自分が思い

          【詩】隣の誰か