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【詩】私

知らないことを
分かっているかのように書き

起こった以上の出来事を
誇張して、拡張して書いた

見たことのない景色も
まるで存在するかのように描き

その綺麗な部分だけを
ただ闇雲に切り取って描いた

想像上の誰かは
あたかも居るような設定にして

知らない誰かの未来を
頭で勝手に創り上げた

物書きをする度
嘘をつくことになり

物書きをする度
自分を見失う

ねえ、本当に分かってる?
ねえ、本当に思ってる?
ねえ、本当に信じてる?と。
時間差で自問自答がはじまる

私が描くイメージや言葉の全てが
「嘘」だとは 言わないけれど
その全てが
「本当」だとは とても言えない。

私って誰なんだろう。
私ってどんな人なんだろう。

沢山の物語を描く度、
そして、それを文字に起こす度
それが自分とはかけ離れた
全くの理想であることに気が付く。

それはまるで、
ただの偽りでしかないような
でも、同時に新しい自分を見ているような
どこか真意をついているような
でも、作品としてただ飾っているだけのような。


たしかに
詩の言葉の全てが、完全なる私自身ではない

けれども
その隙間に、本音の私が隠れている。

こんな人になりたい
こんな考え方をしたい
こうありたい、と。

詩は私にとって大切なもの。
言葉の面白さを教えてくれて
私の私らしさを認めてくれるもの。

だから書くことをやめられない。
いつまでも言葉と生きていきたいから

だから書くことをやめない。
言葉が途切れるその日まで。

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