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北川景子、SEVENTEEN撮影から第1子出産まで~本人のブログで振り返る14年半(2)

 女優として虚構を演じ続ける一方で、web上に文字と写真で残す本来の姿。北川景子の人生をブログのみで追いかけた先には何が見えてくるのか。シリーズPart2。

(前回の記事はこちら)

第3章 2008年、ブログ再開。長文に磨きがかかる

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皆さんこんにちは。北川景子です。
このたび、わたくしBLOGを始めることになりました。
お仕事の告知・現場レポートから、日常生活で感じたささいなことなど
気の向くままに更新していきたいと思います。

 Yahoo!ブログでの更新が途絶えてから約1年、2008年5月30日。北川はオフィシャルサイト内でブログをリスタートさせた。写真はシンプルに飼っている猫のみ。気付けば21歳、大学4年生になっており、女優としての成長はもちろん、同時に文章力の高さも際立つようになり、2本目の記事で早速こんな長文を綴っていた。

東野圭吾さんの『片想い』という本を読みました。
(中略)
単純なミステリーではなく、
『人間の本質とは何なのか?性のアイデンティティーとは何なのか?』
といった大きなテーマが同時に描かれていてとても深い本でした。
(中略)
そもそも、男性と女性をきっぱり区別しようとすること自体、ナンセンスなのではないか?
極端な話、私たち人間を色々な区分で線引きしたり、ジャンル分けしたり、型にはめようとすること自体が間違っているのではないか?
例えばスポーツが得意な人、機械に強い人、絵が大好きな人…
さまざまな個性や能力を持った人が存在していて、その抜きん出た個性や能力を生かすことが出来れば、性別とか年齢とか関係ないんじゃないか…
うまく言えないけど、もっと私たちは『個人として』尊重されるべきなのではないか?
私は普段から言動を起こす前にとても臆病になってしまって、
条件反射的に
『この発言をしたらどう思われるんだろう?』とか
『今私は人からどういう風に見られているんだろう?』とか
外からの見え方をすごく気にしてしまうけれど、
この本がもっと思ったことを素直に表現したり、自分らしく居てもいいのかもしれないな、と思えるきっかけになりました。
私は片付けも料理も苦手だし、全体的に俗に言う"女性らしい"ほうではないのでそれを気にしたときもあったけど、
女性らしいかどうかとか、外から見ていわゆる優等生に見えるかどうかとか、そういうことはあまり気にせず、自分らしく自然体で生きていけたらいいなぁと思いました。

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 ドラマ『太陽と海の教室』や映画『ハンサム★スーツ』など、女優仕事は2008年も途切れず続いていた北川だが、役者として新たな壁にもぶち当たっていた。

役のほうは…正直まだつかみきれていないというか、しっくりきていません。最初に台本を読んで私が感じた役のイメージがどうもズレていたようで戸惑っています。
今まで私は役作りとかそういうことはしたことが全く無くて、(中略)いつも台本を初めて読んだときの印象やイメージだけを頼りに全部感覚でやってきました。
(中略)
でもどうやら今回はそのやり方が通用しないようです。
今回の役が自分にとっての壁なのかもしれません。
台本を何度も繰り返し読んで役についてもっと研究した上で撮影に臨まなくてはいけなかったのかもしれない、そう感じています。
もう数日撮影は終わってしまいましたが、釈然としないまま過ぎていきました。
今までは『なんとなく雰囲気でやってみよう』とか『自分がもしこうゆう状況だったらこんな表情になるのかな』とか本当に感覚でしか演技をやってこなくて、そのことが私がなかなか上達しない原因なのかな、と今回気付きました。
今までとやり方を変えないと役者として成功できないと解かった気がします。

 リアルな悩みを長文で赤裸々に綴る。時に、世界中の不特定多数に読まれている事実を無視してでも、現実世界では言いづらい本音を大胆に告白したい衝動に駆られるのがブログというSNS媒体の特性である。これは140字という制限があるTwitterや、映える写真投稿を前提としたインスタグラムではなかなか起こりえない。

 ブログを長年書き続けている芸能人は少なくないが、このように日常的に本音を吐露する場として使用し続け、ブログだけで半生を振り返ることが可能なのは女優として、芸能人として稀有なケースなのではないだろうか。私が今回彼女をテーマに執筆させていただいた理由はそこにある。

現場で山本裕典くんに
「景子ちゃんのBLOGって、一回の文章がめっちゃ長いよね!?」
というご指摘を頂いたので、今日は極力短めにしてみたいと思います。

 7月17日は、この書き出しで始まったにもかかわらず、結局1100字を超えてしまう長文となった。

…と、気付けばまた長い文章になっていました。
なんでだろう。皆さん読むのが大変ですよね。
でも応援してくださっている方々に伝えたいことがありすぎて!
いつもつい長くなってしまいます。

 だがそれで良い。長文なのも北川景子のアイデンティティだ。現代社会では文章を短くまとめることが重要とされるが、今こそ金子みすゞ氏の詩から「みんなちがって、みんないい」を引用したい。

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先週誕生日を迎え、22歳になりました。
なにより今年の誕生日で一番嬉しかったのはドラマの現場で誕生日をお祝いしていただいたことです。
1日早い21日にセットでお祝いしていただきました。
サプライズだったし1日早いしまさかいきなりケーキが出てくるなんて思わなくて思わず泣いてしまいました…
私が月9に出られるなんて一生に一度きりかもしれないけど
このドラマの監督・共演者の皆様やスタッフの皆様との出会いが今までの人生の中で一番の宝物だと思っていたし、それ以上のことは何も望んでいなかったのに
まさかこんなに嬉しいことがあるなんて!!
って感じでした。

 北川はその後も『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』(2009年)やキムタク主演の『月の恋人〜Moon Lovers〜』(2010年)、そしてご存知『HERO(2期)』(2014年)と、何度も月9に携わることとなる。

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 9月12日にはこんな報告が。

先日大学の前期試験の成績が開示され、わたしが4年の前期までに習得した総合単位数が卒業要件を満たしていることがわかりました。無事に来春卒業できます。
入学時から、『必ず4年で卒業する』という決意は変わらず、これまでずっと学業を優先させながら仕事をしてきました。
そのため仕事をセーブすることもありましたし、一般教養を終えるまでは特に仕事ができない時期が多くて焦りを覚えることもありましたが、ファンの皆様が暖かく見守ってくださったおかげで頑張り続けることができました。
わたしにとって皆様の応援が支えでしたし、とても心強かったです。
もちろん後期も変わらず大学には通いますが、留年するのではないかという不安からは無事解放されたので、この喜びと感謝の気持ちをどうしても
応援してくださった皆様に報告したく、blogを更新した次第です!
(中略)
本当にありがとうございました。
来春からは時間に余裕ができる分、今まで以上にストイックにお芝居に打ち込んでいきたいと思います。
楽しみにしていてください!

第4章 期待と不安を胸に大学卒業

 この頃から結婚や出産について時折漠然と考えるようになる。

 9月22日。

最近モデル時代の同期や地元の女学院時代の友人など自分の周りでちらほら結婚する人が増えてきて『そうか、22歳は結婚してもおかしくない年齢なのか』とぼんやり考えるようになりました。ぼんやりね。
つい最近まで結婚やら子育てやらは絶対に大変そうだから避けれるものなら一生避けて通ろう!と思っていたし取材なんかでもよくそんな風に話していたのですが。
このごろは母が父と結婚した年齢で私も結婚して母が私を生んだ年齢で私も生んで・・・と漠然と人生のプランを思い描くようになりました。
私をこの年まで育ててくれた母親を私はこの世界で一番尊敬していて私も母のように強く美しい女性になりたいと思うのです。
母が年を重ねるたびに美しいのは子供を二人育ててきた厳しさが内側からにじみ出ているからなのでしょう。
わたしもいつかそんな種類の美しさを放てるようになれたら・・・自然と私は母が歩んできた道を真似ているのかもしれません。

 2009年1月6日。

新年早々、北川家で事件が起こりました。愛猫ジルがお腹を壊したのです。
家猫は滅多に体調を崩したりしないので、かなり気が動転しました。
(中略)
自分に過失はなかったか嫌というほど考え、
可哀相なジルを思うと食事は満足に喉を通らず、
このまま年始の病院が始まるまでジルが快方に向かわなかったら
神様、私はどう懺悔すればいいですか
そう本気で気に病み続けた数日でしたが。
昨日になって私の心配をよそにケロッとジルは復活されました。
私の方があと一歩で死ぬかと思いました。
子猫の体調不良で私はこの世の終わりを見たのに
人の子の親はすごいな、と痛感しました。
猫も人間も一つの命の重さには変わりがありませんが
それにしても人間の子どもを産み育てる親は
とても偉大だと思いました。
強靭な精神力がないと親の責任は務まらないんだな、と。
・・・私には産めん。

 延いては「人生」についても深く考える。

人生には頭ではわかっているのに思うように行かないことがある。
これまで地道に積み重ねてきた努力をちょっと積み木を倒すくらいの気軽さで崩してくれる人が居る。
自分の努力と得られる結果が綺麗に反比例する時がある。
That's the way it goes.ー 人生なんてそんなもんさ。
これは私がロスに行った時、初めて覚えたことわざ。
どんなことがあっても負けちゃいけない、
自分を見失ってはいけない、誰に何と言われても、落とし穴に落ちても。
気にしちゃいけない。這い出す力を。落ち込んでも、哀しくなっても
胸を張って進むしかない。
その為にはまず、強くある事だ。
書いてみるとすごく抽象的だけどそんな事を最近ふと感じました。
一人で部屋にいると人生という大きなテーマについてよく考えます。
これは昔からの私のとても重要な習慣で
こうすることで色んな事が見えて来て気持ちを落ち着かせることが出来ます。
そしてこうしてその日ふと思った事を記して皆さんと共有出来るのが、最近の楽しみの一つです。
みなさんあっての私です。

 Yahoo!ブログ時代のように読者からの質問コメントに丁寧に答えることは無くなったが(そもそもコメント欄が存在しない)、北川はずっと、ブログを読者とのコミュニケーションツールだという認識でいてくれていた。

 2月12日。運転免許の取得を報告する記事にて、取り巻く環境の変化についても綴る。

試験場には私の予想を遥かに越える大勢の人たちが受験に来ていて、完全に無防備でふらふらしていたら、たくさんの方が「北川さんですか?」と声をかけてくださいました。
産まれてからずっと、私は普通に私で北川なんだけど
昨年一年間良い作品に恵まれ続けたからか
周りの状況は少し変わっているようでした。

 2月23日は、ブログに度々登場するモデル時代からの親友・知華(ともか)と久々に対面。

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携帯電話を用いていつでも誰とでも気軽に連絡が取れるのはメリットでもありまたデメリットでもあるな、と思います。
常に携帯電話を身の回りに置いておかなくてはならないという強迫観念が生まれ、見えない何かに縛られているような居心地の悪さを感じます。
と、若干話が逸れましたが、そういう私の人との距離感を量ったり、コミュニケーションを取るのが下手な所、人と会う時、外出する前にはちょっとした勇気が必要な所、人と会うことで返って神経をすり減らしてしまいやすい所・・・総じて言うと人付き合いが苦手な所を知華は全部分かってくれるので一緒にいて楽です。
(中略)
でも年齢を重ねるたびに、友達とは量よりも質だなぁと分かってきました。
だから信頼出来る友達が少ないことも昔より気にしなくなったし、理解してくれる友達が一人でもいればそれで幸せだなぁと感じるようになりました。
これからもそういう友達を大切にしていきたいと知華に会ってさらに強く思いました。

 こうして様々な想いを胸に、2009年3月26日、明治大学商学部を卒業した。

私は17から働いているので、"社会人としての自覚"は早くからあったとは思います。
しかしながら仕事が上手くいかないときや、なかなか次の作品が決まらないときに
『いまは勉強を頑張るときなんだ、勉強が学生の本分なんだから』と自分に言い聞かせ拠り所にしていた場所がこれから無くなり、仕事一本になる事は、とても不安です。
もう『学生だから』と逃げることは出来ないんだというプレッシャーを感じています。
その反面、これまで大学があったのでなかなかできなかった長期の地方ロケや、拘束時間の長い連続ドラマなどにも今後は参加できるので、そういう新しい挑戦を目の前に闘志が湧いてわくわくするような、逸る気持ちもあります。
これから自分の力をどんどんと発揮していきたいです。
これまで応援して下さったファンの皆様や根気強く支えてくれて会社に、本当の意味で貢献して行きたいと思います。

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 女優一本で突き進む、新たな北川景子の幕開けである。

(Part3につづく)

(※文中のブログ記事はこちらのコピーサイトより引用したものです)


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