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⑥アセスメントシートから見るジャイアンの特性と支援方針の提案

精神科医である司馬理英子さんという方が、ADHDの特徴である「不注意、多動、衝動性」などがドラえもんに出てくるキャラクターの特徴に当てはまる方が多いので、「のび太・ジャイアン症候群」としてADHDを紹介したのが始まりのようです。のび太・ジャイアン症候群という本が出たことで、ADHDへの理解が深まってきました。

ジャイアンはADHDの中でも「多動・衝動性優位なADHD」と言われています。
一般的なADHD児への対処法ではなく、今回はジャイアンをアセスメントしたらどうなるのか考えてみたいと思います。

① 主訴
本人:母親からの怒鳴りつけや暴力が嫌。
母親:他人に迷惑をかけるようなことをしないでほしい。

② 家族構成・家族の状況
父親:職業は不明。妻に比べるとやや息子には甘いが、不正には厳しい等一本気な性格。また、息子譲りな粗暴な一面もあるが、潔さも持ち合わせている。
妻の言動には難色をしめしているふしがある。

母親:雑貨店を経営。ジャイアンに対して厳格で、店の手伝いをサボったり音痴な歌を歌ったり弱いものいじめをするとしばしばゲンコツや平手打ちするなど、日常的に体罰を与えている。ジャイアン以外の子には優しい。

妹:漫画家を目指しており、「クリスチーネ剛田」というペンネームで少女漫画を描いている。
兄ジャイアンに非常にかわいがられている。

③ 生育歴
母親の厳しいしつけや体罰が影響し、感情コントロールが苦手で短気な性格となっている。
自営のため、店番や配達の手伝いなど、店の手伝いを強いられている。

④ 学力
勉強は大の苦手で、テストの点数も悪い。
「正確グラフ」での計測結果によると、頭の良さはのび太の2倍だが、のび太が低すぎるため結局大差はない。
磁石の原理を知らなかったが後で自分で発見し、それをのび太に伝えたところ、笑われている。
100点の答案を父親に見せても、父親には不正行為をしたことを簡単に悟られるほど学力は低い方である。

⑤ 行動・社会性
暴力やいじめ行為が多く、感情コントロールが難しい。
「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」といったポリシーをもつなど、他者への思いやりに欠け、相手の気持ちを読み取りることが苦手。
一方、義理堅く涙もろい一面もある。
「ジャイアンリサイタル」などと銘打って独演会を開催し、手製のチケットを脅して売りつけている。
料理をすることもある(ジャイアンシチュー)ものの、歌唱力同様に壊滅的。ただよった臭いでイヌや鳥や虫が気絶するほど。自分で食べて倒れてしまったこともある。

⑥ 言語・コミュニケーション
感情をうまく表現できず、コミュニケーション能力が低い。
自身の悪声・音痴にまったく気づいていない。、自分の歌がまわりから煙たがられている事は薄々だが自覚している

⑦ 運動・基本的生活習慣
高い運動能力がある。ひみつ道具「正確グラフ」による計測結果によると、力はスネ夫の約1.4倍、しずかの約1.7から2倍、のび太の約3.3倍ある。
日常生活や基本的な生活習慣には支障はない。

⑧ 興味・長所・指導に利用できること
歌うことが大好きで、歌手になることが夢。
料理は得意ではないが、作ることは好きかもしれない。
親分肌で、困っている人いたら助けるなど、人を引き付ける要素はある。
なぞなぞが得意。

⑨ 支援方針
感情コントロールの強化と相手意識を育むため相手の気持ちを読みとれるようにする支援が必要。
適切なコミュニケーションスキルの習得や力のコントロールも支援が必要。
親子の関わり方を変えていく必要がある。
適切な教育環境と学習支援が必要。
学習障害があるかどうか検査したほうがよい。

以上、ジャイアンのアセスメントでした。

次回はジャイアンが教室にいたらどうなるか考えます。
「ジャイアンアセスメント物語」が始まります。
お楽しみに!


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