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九九暗唱の落とし穴:算数文章題が苦手な小学生 #153

問題
特急しめじが、まつたけ駅を出発して時速90㎞で、えのき方面に向かいます。
一方、同時刻に、快速きのこが、えのき駅を出発して、時速60㎞でまつたけ方面に向かいます。
さて、両列車が出会った時、どちらの方が、まつたけ駅に近いか?

5年生で速さの学習をします。
この問題は、単元前に、レディネステストなどでこの問題をやってみると面白いです。

もちろん、ちょっとした隙間の時間でもできます。

A「先生、時速しかわからないからこの問題はできません」
T「どうしてできないって思ったの?」
A「だって、道のりを求めるには、速さと時間がわからないといけないのに、電車が走った時間がわかりません」

このような思考になると、正答までにかなり時間がかかります。

算数の文章題と出会うと、数値だけを取り出し、なんとか計算して解こうとしてしまうのです。
それはもう九九暗唱脳と言えます。

このような展開になったら、
T「じゃあ、もしも…と考えて図に表してみたら?」
T「例えば、1時間後に出会ったらとして考えてみよう。
  特急しめじは、まつたけ駅から出発したのだから、まつたけ駅から90    
  ㎞の地点にいるね。
  快速きのこは、えのき駅から出発したのだから、えのき駅から60㎞の 
  地点にいるね。」
A「ここまではわかる。」
T「この問題って何を求めるの?」
B「出会った時、どちらがまつたけ駅から近いのか?でしょ?」
C「えのき駅は関係ないのか…」
D「あっ!わかった」
これは、隙間でやる問題なので、深追いせず、答えを聞いてしまいます。

D「出会ったということは、同じ場所にいるでしょ。
  そこから、まつたけ駅までは同じじゃないとおかしいよ。
  だから、「どちらもまつたけ駅からの距離は同じ」が答え。」
T「正解」

柔らか頭で考えないとできません。

文章をよく読んで理解できれば、このように考えなくても即答できます。
もし、即答できなくても、このように、場面の意味を捉え、図を使って順をおって考えていけば正答が導きだせます。

文章題が苦手な子には、国語力の弱さもあるのは間違いありませんが、それよりも、算数の問題を解くときに数値だけにとらわれてしまう思考回路に問題があると言えます。

これは九九暗唱学習の弊害です。

文章題は、問題場面を理解し、それを視覚的に捉えないと全体像が見えてきません。
この問題においては、視覚的に捉えることができれば、計算する必要もないのです。

このような問題を学校や家庭でも取り組むことで、数学的な見方考え方が育ちます。

参考になる方がいたら幸いです。




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