僕の活力はカレーライス @小説

小説を不定期で投稿しています。

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最近の記事

恋愛小説⑯

その後、僕は福岡の大学。麗奈は鹿児島の大学へ進学した。 「えー。嘘だ。入れ違いじゃん。」 麗奈は少し残念そうに呟いた。 「仕方ないだろ。お互い知らなかったんだし。」 「私だって岡崎が鹿児島の大学とかに進学するかなって狙って進学先選んだのに。」 「お前そんなので選んだのかよ。」 「そんなのって何よ。もう。とにかく、ちゃんと返事書いてくれるんだよね。まさかこれを口実に…。」 「はいはい。ちゃんと書くから、本当に申し訳ないけど、あと少し考えさせて。」 「しょうがないな。」 麗奈に渋

    • 恋愛小説 ⑮

      LINEを交換した後、僕と麗奈はソファに腰を掛けながら、まったりと会話を楽しんだ。  その会話の中で、お互いの大学進学の話になり、僕が福岡の大学、麗奈が鹿児島の大学に行くことを知った。 「えー。入れ違いじゃん。」 この事実にちょっとだけ口を尖らせ、嘆く麗奈。 「せっかく一緒の県に住めると思ったのに。」 その言葉にはさすがの僕もちょっとだけ責任を感じた。 「でさ、」 麗奈が僕の瞳を見つめながら少し上目遣い気味で声を掛けてきた。 「ど、どした。」 「あのさ、お返事書いてくれる?」

      • 恋愛小説 ⑭

        僕は彼女に連れられ、ファミレスに入る。 「もうお昼食べた?」 「いや、まだだけど。」 「なら一緒に食べよ。私が奢るからさ。」 「いや、それはいいよ。玉城さん。」 「だって、お金、持ってないでしょ。ってか、ちゃんと覚えてくれてたんだ。」 彼女が安堵したかのような表情を浮かべる。 「当たり前じゃん。忘れられないんだよ。僕のせいでいろいろ有耶無耶にしてしまったから。」 「分かってんじゃん。私だって、お前のせいで、ずっとあんたのこと忘れられないんだよ。もう。」 彼女が拗ねるように呟い

        • 恋愛小説 ⑬

          この人は一体、何を考えているのか。果たして生きて帰れるのか。浴びたことのない感情が僕の心を襲う。 バイクを3分ほど走らせた頃、ようやく赤信号に差し掛かった。 「ほんとに何をする気ですか?せめて命だけは。」 「大丈夫。それだけはしっかり補償するよ。そもそも殺そうとか思ってないから。後、強引なことして本当にごめん。後で事情は詳しく話すから、もうちょっと捕まっておいて。」 相手が優しく僕に話しかける。 「行くよ。もうちょっと先のファミレスまで。」 青信号になり、相手はそのままバイク

          恋愛小説⑫

          高校卒業後、麗奈は密かにある計画を立てていた。 それは、あいつがいるはずの鹿児島にひとりで行くという計画。 「どうしようかな。」 麗奈は持っている手帳を広げ、綿密に計画を練る。 「麗奈。早く寝なさいよ。大学行くまでに生活リズム整えないと大変なことになっちゃうよ。」 「はーい。わかってるよ。」 とりあえず、その日は寝た。 「おはよう。」 「おはよう。お母さん。」 眠い目を擦りながら、歯を磨き、用意されている朝食を食べる。 「あのさ、お母さん。」 「どうした。」 「明日、朝早くか

          恋愛小説 ⑪

          それから時は過ぎ3月、僕は無事、高校を卒業した。 高校を卒業してから、大学に入学するまでの期間は、とてつもなく流動的。 本を読んだり、英語の勉強をしたり、資格の勉強をしたり、運転免許を取りに行ったり、一人暮らしの準備をしたりetc。 とにかく、これまでの学校生活ではあまり体験できないようなことを経験できることも多い。 そんな中、今日は休日。 しかも、父も母も仕事でおそらく夜までは帰ってこないし、兄は数年前、大学進学を機に上京したこともあり、実質1人という有様。でもずっと家に

          恋愛小説 ➉

          「そろそろ、夜ご飯食べようかな。」 翌日の夜、麗奈はそう思い、早速行動に移す。 父親は去年から下関に単身赴任。 母親は仕事の都合で、今日は1人だけの夕食。 単身赴任の話が持ち上がった時、転校することも真剣に考えたが、麗奈が高校生であることや、福岡から下関はそこそこ近いこともあり、こういう形を取ることとなった。 普段だったらこういう時、母親がかねてから作り置きしてくれたものを、タッパーからよそって食べる。しかし、今日くらいは気の赴くまま、自分が食べたいものを自分で作って食べたい

          恋愛小説 ⑨

          「一度冷めた男は、もう二度と好きにはなれない。 たとえそれがどんなに好きな男だったとしても。」 女の子の恋心の特徴として、前、インスタかなんかで、そんな感じな投稿を読んだ記憶がある。 「私だって、早く忘れたいし、完全に冷ましたいよ。特徴に当てはまる、単純な女の子になりたいよ。」 この投稿が間違っているのか、それともわたしがかなり特異な人種なのか。正解はきっと後者だろう。そんなことはもうわかってる。 麗奈は、現在高校3年生。まさに大学受験期真っ只中。それなのに6年も前に終わっ

          恋愛小説 ⑧

          「なんかすげぇ遅かったな。」 部屋に戻ると、同じ部屋の見慣れた友達が、僕を出迎えてくれた。 「はいこれ、水。」 「ちぇっ、水かよ。」 「ちぇって、お前100円しか渡さなかっただろ。」 「えっまじ。それからごめん。ありがとう。」 友達に動揺を悟られぬよう、いつものように気丈に振る舞う僕。 この時の僕にできたことは、本当にこれしかできなかった。返事を書くことも、それについて考えることも、あまり出来る状態ではなかった。 そこから就寝時間まで、いろいろな遊びをした記憶はあるが、正直そ

          恋愛小説 ⑦

          担任の発表や1時間目の時間を終え、2時間目の大掃除の時間に移る。 最初の掃除は、出席番号順に適当に振り分けられるため、必然的に彼女と一緒の掃除場になってしまった。(しかも2人だけ。) 場所は雑巾の必要がない渡り廊下。担当の先生もいるようでいない楽な場所である。早くちゃっちゃと終わらせて、教室に帰ろう。そう思っていた。 掃除が始まるチャイムが鳴り、早速僕は床を掃き始める。 中盤まで順調に掃除を進めてきた頃、突然、またしても背中に痛みが走る。当然ながら彼女の仕業である。 「だから

          恋愛小説 ⑥

          無理だとは分かっていながらも、僕は一応足を忍ばせ、バレないように教室に入る。 他の子たちがクラスメートや、担任の先生での話題で盛り上がりを見せている中、僕は机の上にランドセルを置いた。 ちらりと隣の席に目を向ける。 隣の席には、見慣れた赤のランドセルのみが置かれており、人の姿はない。 本当に運が良かったと感じると同時に、これからどう弁明すればいいかを考える。なんだか悪いことをしてしまった人のような気分である。 しかし、時間は待ってくれない。 それから1分もたたないうちに、彼女

          恋愛小説 ⑤

          結局、彼女を追いかけることは諦め、僕はゆっくりと登校することにした。(そこそこ時間もあったため。) 校門をくぐり、靴箱に貼ってあるクラス名簿を見た。 小学生最後の一年を彼女と過ごしたいという思いと、どうしても下の名前で呼びたくないため(実際、度胸がないというのは承知だが)、一緒のクラスになりたくないという相反する気持ちが交錯している。 まず、各クラスの男子の名簿に目を通す。 ほんの数秒で、自分の名前を見つけた。 そしてその後、勢いでそのクラスの女子の名簿にも目を通した。 「う

          恋愛小説 ④

          彼女がこの学校に転校して3年が経過した頃、いろいろなことがありながらも、僕らは小学6年生に進級することができた。クラス替えが発表される始業式、僕は毎年のルーティンを難なくこなしながらも、心のどこかでは彼女とまた一緒のクラスになりたい。と密かに思っていた。 「ちょっと待ってよ。」 特に待ち合わせ等の用事もなく、ゆっくりと登校していた僕だったが、突然後ろから声を掛けられた。 そして、僕は後ろから勢いよく激突された。 「ちょ、なんだよ。」 誰の仕業なのか、正直見るからもなくわかって

          恋愛小説 ③

          「えー、それでは玉城さん、みんなに自己紹介してもらってもいいかな?」 担任が彼女に声を掛けた。 彼女はそれに対し少しだけ安心したような笑みを浮かべたように見えた。 「みなさん、初めまして。お隣の宮崎県の小学校から転校してきた玉城麗奈といいます。鹿児島は初めてでよくわからないことだらけですが、よろしくお願いします。」 高めの背。整った顔立ち。etc… 間違いなかった。そして、僕は確信した。 彼女が、あの時、僕に対し学校の行き方を聞いてきたあの子であることを。そして、さっきまでア

          恋愛小説 ②

          4月7日 始業式当日 今日から4年生がスタートする日。僕は前日のゲームによる夜更かしが響き寝坊した。 「早く起きて。遅刻するわよ。」 母の怒号で目覚めた朝。僕は机に置いてあった目覚ましを見て驚いた。 時刻はもうすぐ8時、下手をすれば遅刻する。だけど、少し急げば——。 「今日は3時間しか授業がない。朝食抜いても多少は大丈夫だろう。」 僕はいつまでもぐちぐち何かを吐き続ける母を無視し家を飛び出した。 家を出て、全力で走る。 「このペースでいければなんとか」 そう思った時だった。

          恋愛小説 ①

          思い出は勝手に美化されるもの。 世間一般ではそう思われているし、実際そうなのかもしれない。 でもそれは、間違っていると思うんだ。 そう思いたいだけなのかもしれないけれど。              ✳︎ 僕がまだ小学生だった頃の話。自分で言うのもあれだが僕はものすごく暗いやつだった。勉強がそんなに秀でているわけでもなく、運動なんかもってのほか。運動会の徒競走大会でもいつもビリかその前かで、年に一度だけある持久走大会での順位も下から数えた方が早い方。だからといって顔が良いわけで