恋愛小説⑫
高校卒業後、麗奈は密かにある計画を立てていた。
それは、あいつがいるはずの鹿児島にひとりで行くという計画。
「どうしようかな。」
麗奈は持っている手帳を広げ、綿密に計画を練る。
「麗奈。早く寝なさいよ。大学行くまでに生活リズム整えないと大変なことになっちゃうよ。」
「はーい。わかってるよ。」
とりあえず、その日は寝た。
「おはよう。」
「おはよう。お母さん。」
眠い目を擦りながら、歯を磨き、用意されている朝食を食べる。
「あのさ、お母さん。」
「どうした。」
「明日、朝早くからお父さんのいる下関行ってくる。」
「えっ、どうしたの。まぁいいけど。お父さんに連絡しとこうか。」
「もう高速バスの予約もしたし、連絡も後からするから大丈夫。」
「ほんとに。」
「あと、あっちでバイク借りて運転するかも。」
「えっ、大丈夫?まだ免許取り立てだしさ。事故には気をつけるのよ。」
「分かってるよそんなの。大丈夫。後、どうにか日帰りで帰りたいけど、ちょうどいいバスがないからちょっと遅くなっちゃうかも。だから先寝てて。」
麗奈はそう言って、朝食を食べきり部屋に向かう。
正直、ちょっと嘘が混じってる。バレないように行動しないと。
麗奈はそう思いながら、明日の鹿児島行きの高速バスを予約した。
その後の工程はもうしっかり練ってある。鹿児島に着くのはおそらく3〜4時間掛かるから、着いたらすぐレンタカー会社でバイクを借り、あいつの家の近くまでそれを走らせる。しかし、その後すぐにあいつの家に突撃すると、多分怪しまれてしまうだろう。だから、あいつが出てきたタイミングを狙って…。
ちょっと強引だけど、これしかなす術がない。
「頼む。成功してくれ。あと、あいつ、私のことちょっとでも覚えといてくれ。」
麗奈はもう、祈ることしかできなかった。
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