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治療院立ち上げ日記

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東京・高円寺にある小さな治療院を開業するまでと、立ち上げたあとの気づきをつづる私的な日記です。これから開業を目指したい人、独立して間もない方の参考になれば幸いです。
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記事一覧

治療院立ち上げ日記【目次】

Episode 0. 社会人から専門学校へのあゆみEpisode 1. 専門学校で見た光と影

開業を考えたら読みたい!小さく独立開業を目指すあはき師のためのワークブック

鍼灸、マッサージの資格を手にした皆さん、合格おめでとうございます! 長かった3年間が終わり、晴れて国家資格を手にした嬉しさは、ひとしおでしょう。 在学中は基礎医学、臨床医学、あはき実技と多くのことを学んで来られたことと思います。なかには遅刻や欠席のためにギリギリで単位が取れた科目もあるかもしれません。再三の実技試験、再試験にうんざりしたこともあったと思います。けれども、すべてがこれからの血肉となる財産です。 春、4月。すべてはここから始まります。 ・新しく職場を探す人 ・

医療保険を使わないで Ep 3.5

一介の施術者として関わることになった訪問マッサージですが、残念ながらよい面ばかりではありませんでした。 以前に比べればずいぶん真っ当になりましたが、いわゆる「不正請求」という問題が未だに付きまとっているのも事実です。 業界に関わる法律が整っていない点や、業界団体の力が盤石でないことにも一因があるのかもしれません。 マッサージは医療か? ある年の12月のことでした。 鹿児島の事業所を訪れた際に、地元の医療、介護関係者を集めた勉強会が開かれました。僭越ながら私も医師や看護師の方

在宅医療の一環として訪問マッサージを教えることでつながる世界 Ep 3.4

訪問マッサージの現場に踏み込んでしばらく経った頃。 当時は(同じ会社の)首都圏にある2つの事業所をかけ持ちしていました。 普段は介護やリハビリを必要とする高齢者を訪問する傍ら、これまでと変わらず新しい知見を得るために外部のセミナーにも参加して学びを得ていました。 教えることを始める所属していたのは訪問マッサージの最大手ですので、社内の教育体制も業界のなかでは一定の水準が保たれていました。 昔取った杵柄とは言いますが、専門学校で教えていた頃の手応えを頼りにして事業所のなかで有

資格の有無も大切だけど、それ以上に大切と考えること Ep 4.6

都内に構えた治療院で施術をする傍ら、これまでの経験を活かして整体スクールで実技指導の講師を務めることにしました。 それは、私の理想とする「教育と臨床の現場をつなぐ」という仕事のあり方に一歩近づいた形でした。 矛盾を抱える業界鍼灸マッサージの専門学校で教える資格を持つ者が、なぜに民間の整体スクールで実技指導しているのか、疑問に思う方もいるかもしれません。 現実に、これまでにもいわゆる「有資格者」が「無資格者」を指導している例として、大手のリラクゼーションチェーンで実技指導が行

密を避けるために治療院でやっていること Ep 4.5

東京都の外出自粛規制が解除されて2週間余りが経ちます。 ひさしぶりに乗る地下鉄は以前ほどの混雑は見られないものの、これまで密を避けていた感覚からすれば「人が近くにいる」ことに神経質になってしまいます。 アフターコロナの治療院徒手療法を生業にしている者の立場からすると、この仕事は「密」のひとつです。 相手に触れて行う仕事。 そのメリットは計り知れず、手を当てることで痛みを和らげて生きる力がよみがえる。それを指圧というのか、マッサージというのか。 タッチセラピーなど様々な表現

訪問マッサージの現場と高齢者の生きる意思を支える Ep 3.3

一度は諦めた手技療法の道に、再び訪問マッサージという形で戻って来ることになりました。一旦、現場を離れて介護職を経たあとの再起の場は、大手の訪問マッサージ会社です。 かつて、初めて出た現場で「訪問マッサージは何するものぞ?」と戸惑ったのが正直なところでした。しかし、今度は違います。 施設で暮らしている高齢者はこんな生活をしている、というイメージがあるうえで毎週決まった時間に施術に伺えるのは、何よりの強みとなりました。ご自宅や施設に伺い、住んでいる部屋のドアを開けるところから以

介護現場で学んだ「思うようにならない」こと Ep 3.2

一度は在宅マッサージの仕事に足を踏み入れたものの、当時の私は自分を見失っていました。 ほどなく現場を離れると、ふとした知人の勧めからヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を取得して介護施設で働き始めることになります。 環境を変える覚悟これまでとは違う業界に身を置いて、そろそろと出直すことになりました。 そもそも介護とはどんなものか、祖父母の介護現場を見たわけでもなく予備知識はほとんどありませんでした。 しかし縁あって、都内にある大手の有料老人ホームに職を得ることになります

なにも知らないまま訪問マッサージの現場に飛び込んで精神的に凹んだ話 Ep 3.1

10年近く務めた専門学校を辞めて現場に出てみると、そこには広い世界が待っていました。 やっかいな自分に向き合う井の中の蛙大海を知らず、とはよく言ったものです。 学校というハコの中で過ごしてきた10年間で、得たものもあれば気づかずに見過ごしていたものもあります。 とはいえ、マッサージ師の免許を取ったあと、多くの卒業生が進むのは教育の道ではなく臨床現場です。 「一人の施術者として、資格を取ったあとはこういうことを体験するんだ」 この言葉を何度繰り返したことでしょう。 見るこ

「学校」でできるのは畳の上の水練 Ep 2.4

鍼灸マッサージの教員資格を取ったのち、基本的な実技指導やオイルマッサージの部活動といくつかの道筋をつけながら教員として数年が経ちました。 自らが専門学校に入学した時に思い描いていた、「学生のうちに広く手技療法を身につけてほしい」という気持ちは、当時も今も変わらずに持ち続けています。 畳の上の水練は続かないその一方で、指圧やオイルマッサージの基礎を中心に教えることに物足りなさを感じるようになってきました。 専門学校で学ぶことができるのは手技の基本であって、その先は患者さんを先

専門学校に求められるものと私が提供できたこと Ep 2.3

専門学校の授業は1日に90分×2コマ行われます。 それが月曜日から土曜日までですので、1週間で12コマの授業がある計算です。意外と思われることでしょうが、週12コマのうち実技はその4分の1(3コマ)だけ行われています。1週間のうち90分×3コマ=4時間30分の授業で技術が上達するはずはありません。 専門学校に求められるもの 私が学生の頃もそうでしたが、専門学校へ通う傍ら3割ほどのクラスメイトは街中のクイックマッサージ店などでアルバイトをしながら手を動かしていました。 おのず

自分の器以上のことはできないと痛感した教員時代 Ep 2.2

世の中が変わっても廃れないものを仕事にしよう、と決めてこの道を選んだものの、その実、私自身は専門学校に入るまでに鍼灸、マッサージを受けたことはありませんでした。 母親の姿を見ていたとはいえ、自分自身で体験したことに適う価値はありません。 専門学校の教員として働き始めた時に、同期となった先生はほかに二人いました。折しも、鍼灸マッサージ師の養成機関(専門学校)に関わる法律が改正されて、指導教員を増やすタイミングに重なったためです。 そのうち一人のY先生はスポーツ経験があり、部活

教員になる準備期間に気づいた徒手療法を身につけることの本質 Ep 2.1

ぶじにあん摩マッサージ指圧師の国家試験に合格し、晴れて国家資格を取得することができました。ここまでに要したのは専門学校の3年間と、およそ400万円の学費です。 しかしそれ以上に、同じ道を志す同期や先輩、後輩と出会えたことが、専門学校に通ったことの何よりの財産となりました。 鍼灸、マッサージの専門学校を卒業すると、働く環境は多岐にわたります。 昔ながらの個人でやっている治療院に勤務する者。 エステやリラクゼーションのチェーン店で働く者。スポーツトレーナーの道を志す者。そして2

コロナ下でやってみたことの小さな成功と大きな失敗 Ep 4.4

外出自粛要請が5月31日まで延長となりました。(2020年当時) そもそも、それで終わるのでしょうか? いや終わってほしいけれど、誰もまだ分からないというのが正直なところです。 そもそも「予測できる未来」なんていうものは存在していませんでした。 それが新型コロナウイスの出現により、より鮮明になったと理解するほうが自然です。これからはこれまでの延長線上にある、という幻想はかくも崩れ去ってしまいました。 オンラインで前売り券が売れた!オンラインショップを開設して約1か月。 整