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専門学校に求められるものと私が提供できたこと Ep 2.3

専門学校の授業は1日に90分×2コマ行われます。
それが月曜日から土曜日までですので、1週間で12コマの授業がある計算です。意外と思われることでしょうが、週12コマのうち実技はその4分の1(3コマ)だけ行われています。1週間のうち90分×3コマ=4時間30分の授業で技術が上達するはずはありません。

専門学校に求められるもの

私が学生の頃もそうでしたが、専門学校へ通う傍ら3割ほどのクラスメイトは街中のクイックマッサージ店などでアルバイトをしながら手を動かしていました。
おのずとストレッチや整体など、指圧以外の手技も身につけますし、学生のうちにいろいろなテクニックを身につけたいという欲求が湧いてくるのもわかります。外部で行われるセミナーには学割が利くものもあり、私自身も在学中にほかの手技を学んだ経験があります。

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「専門学校」という機能をどう捉えるかは千差万別でしょう。
残念ながら多くの学生は「国家資格を取りたい」というニーズが大部分を占めます。そのため、専門学校も学生が国家試験に受かることを優先させています。

専門学校が学生一人一人の実技の上達に十分な責任を持って社会へ送り出すことを疎かにしている訳ではないのですが、国家試験の範囲に実技は含まれていないという致命的な欠陥があります。教えられる実技内容も専門学校により様々です。その結果、どの学校を卒業したかによって鍼灸、マッサージの上手い下手に差が出ます。

◯◯学校の卒業生は比較的、マッサージが上手。
◯◯出身の施術師は患者さんの指名が取れるまでに時間がかかる、という現実は今も往々にしてあります。

オイルマッサージはじめました

専門学校は職業訓練校であるという見方もあります。
その位置に立てば、学生のニーズを満たすためにもいろいろな手技療法を教えられる機会があるとよい、と考えるように至ります。
教員として4年ほど経った頃、オイルマッサージの授業を担当する機会を得たことに加えて、それを部活動として指導することも始めました。

週1回の部活は、木曜日の午後3時から5時まで行われます。
週ごとに場所を決めて施術練習をします。冒頭は教員による手技のデモンストレーションと解説、手の使い方のポイント指導があり、その後にペアになっておたがいに施術し合い、教員が個別にアドバイスをする。このような流れで毎回の部活動が行われていました。

当時のメンバーは10数名。
男女比は2:8で女性のほうが多く、そのため指導する教員も私のほかにもう1名、女性の先生にお願いしていました。

オイルマッサージと切っても切れないのがアロマセラピー(芳香療法)の知識です。厳密には、アロマセラピーは精油の効能を重視し、それによって身体へ一定の効果を狙うものであり、必ずしもマッサージ手技を伴うものではありません。

しかし、香りがあることで「わかりやすい」ため、ベースとなるマッサージオイルに、ティートリーやラベンダーなどの精油を加えてマッサージを行うことも「アロマセラピー」とひと括りにされて世間に知られています。
かたや、精油を使用せずに手技の効果を謳ったオイルマッサージを提供している施術師もいます。

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部員の比率が示す通り、いずれも女性受けがよいのは自明の理です。
卒業後に指圧のほかにオイルマッサージを行っている卒業生もいることは、部活動を始めてよかったと教員冥利に尽きるものでした。

手技療法というものは他者に提供されてこそ始めて、その価値を生むものと思います。


physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。