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密を避けるために治療院でやっていること Ep 4.5

東京都の外出自粛規制が解除されて2週間余りが経ちます。
ひさしぶりに乗る地下鉄は以前ほどの混雑は見られないものの、これまで密を避けていた感覚からすれば「人が近くにいる」ことに神経質になってしまいます。

アフターコロナの治療院

徒手療法を生業にしている者の立場からすると、この仕事は「密」のひとつです。

相手に触れて行う仕事。
そのメリットは計り知れず、手を当てることで痛みを和らげて生きる力がよみがえる。それを指圧というのか、マッサージというのか。
タッチセラピーなど様々な表現がありますが、手あてをすることに変わりはありません。手のぬくもりが伝わって相手が元気になる、そんな仕事です。

外出自粛の期間中は「いっそ、遠隔治療でも始めようか」などと非科学的な妄想も浮かびましたが、あにはからんや。できるはずもありません。
幸いなことに、うちはひとり治療院なので一度に複数名の患者さんが密集することはありません。

そこで、施術を行う際にどんなことに気をつければよいのかを考えてみました。

・来院時にはアルコ―ル消毒をお願いする
・予約と予約の間を15分以上開ける
・空き時間には窓を開けて換気をする
・施術中はマスクを着用する

およそ、多くの治療院が行っている対策はこのようなものでしょうか。

来週から梅雨入りして窓を開けられない日があると考えて、除湿機能の付いた空気清浄機を購入しました。

プラズマクラスター

ウイルスや細菌は目に見えないものだけに、こういった機械があることでなんだか安心感が湧いてきます。

目に見えるもの、見えないもの

環境に対する取り組みを行う一方で、患者さんにはどんなふうに接すればよいでしょうか。
治療院なので身体の様子を伺うのはもちろんのこと。
「熱はありませんか」「だるい感じはありますか」といった声掛けとともに、触れて熱っぽくないかどうか確かめます。
そう、触診こそ手技を行う者にとって相手の状態を知る最も強力なツールです。

これは、自費の治療院でも、在宅現場でリハビリを行う場合でも同じです。
触れているところが温かいのか冷たいのか。
または柔らかいのか、硬いのか。しっとりしているのかカサカサしているのか。触れるという行為ひとつで多くの情報を得ることができます。

翻って、3分診療と揶揄されるように病院に行っても「病気は見ても患者は見ていない」と感じる方もいます。
今日のように医療機器が発達していなかった18世紀以前には、目で見て観察すること(視診)、触れて確かめること(触診)がおもな検査方法でした。やがて19世紀に入りX線が発見されてから画像診断が行われるようになり、血液検査で数値が明らかになります。そして、基準値がひとり歩きし始めて現在に至ります。

オンラインでは伝わらない空気感を感じ取る。
この能力は人と対面するという現場を踏んでこそわかるものです。
コロナ騒動を経た後で、目に見えるものと見えないものをバランスよく扱うことをより強く心掛けています。


physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。