見出し画像

【エッセイ】 スキル。


心のうちを言葉にできる人が羨ましくて仕方ない。
ここのところ自分なりに文章を書いているんだけど、どうしても自分と文字との間に距離を感じてしまうんです。書いてはいるけど、うまく表現できてないなって思ってしまう。

それでも、話すことよりはよっぽどラクなの。書くことのほうが、自分の気持ちを伝えられていると思っちゃう。会話の速度よりも、書いてる時のほうがうゆっくり時間が進むから、こんなウチでも言葉にできる。

でもね、それでも足りないって思っちゃうんだよね。これは人間のサガなのかなあ。もしかしたら、一生辿り着けないところなのかもしれないとも思っちゃう。

「表現」といっても、過剰なアクセサリーを身につけるようなことを差しているわけではなくて、もう少し根本的な意味のこと。心の内側にあるものを、ストンと文字にできたらいいなあって。たとえば「好き」の気持ちの中にもカラフルな想いがあるはずで、そんな感覚を言葉で掬いあげたいなってこと。

学校で読み書きを習ってきたし、当たり前のように言葉を使っているから「書くことなんて簡単じゃん!」て思っていたけど、いざ書いてみると、その難しさを知ったかな。

だから、たぶん、話すことも難しいはずで、読むことだって難しいことなんだと思うんだ。あまりにも日常生活と近いから気付いていないだけで。少しでも踏み込んだら、その難しさに気づけると思う。

話すことのプロで言ったら、すぐに頭に浮かぶのは芸人さんかなあ。頭の回転の速さが尋常じゃないと思う。パーソナリティと呼ばれる人たちの話術の凄さにも驚かされてしまう。ウチだったら、一発で放送事故。「えーっと」とか「うーん」で、しばらく沈黙。はい、アウト。話すことは難しいよ。

読むことだってきっとそう。これだけメールもLINEも毎日やってて、SNSでも大量の文字を読んでるはずなのに、国語のテストでは高得点が取れないという謎の現象が起きてしまう。母語なのにね。そもそも「書いてある問題の意味が分からない」んだから、読むことって難しいんだよ。

それで言ったら、「聞くこと」も難しいよね。子どもは人の話が聞けなくて怒られるんだからさ。頑張って聞かないと、話って聞けないと思う。すぐに遮りたくなっちゃうし、校長先生の話を聞くのが苦痛だったもん。

日常生活で普通に使ってきているから気付かないけど、きっとウチらはとんでもない「スキル」を持っているんだと思う。でも、いざ、それをちゃんと使おうと思うと、使えないことが多い。ついつい「英語」とか「専門技術」とかに話を逸らして「スキル」を語ってしまうけど、磨けるスキルは日常生活の中にも、たくさん潜んでいると思う。

ああ、スキルが欲しい。スキルを磨かないと。

この記事が参加している募集

今こんな気分

創作に励みになります!