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【30分エッセイ】 出会いは財産。


H先輩と久しぶりに再会した。
やっぱり、H先輩はすごかった。
ウチは、運が良かったことに、やっと気づけた。
若い時にH先輩と出会えたことは、大きな大きな財産だ。

独立って言葉はカッコよすぎるけど、ここ数年、ウチは先輩の手を借りなくとも、一人でなんとか闘っていけるようになっていた。もちろんトラブルはあったし、ピンチも沢山あったけど、仲間や上司の支えもあって、ここまで凌いでやってこれた。

少しずつ自信を持てるようにもなってきた。
交友関係が広がり、仕事の幅も広がった。
世界の景色が変わっていった。

そして「人を見る目」が養われていった。
それは「人の言葉を聴く」ことでもある。

相手がどんな人なのか、何を考えているのかを想像する。
他人を丸ごと理解することはできないからこそ、ウチは人を観察するようになった。成果や結果を見るのではなく、言葉遣いや、立ち振る舞いを注視する。どれだけ優秀な人だって、他人を罵ったり、汚い言葉を使う人はイヤだもん。そんな人にはなりたくない。それよりも、その人の人柄、人格だと思うんだ。
だから、ウチは、そうした視点で「人を捉える」ようになっていった。

理想は、《仕事もできる人格者》。
でもね、そこまで凄い人って少なかった。本当に少なかった。いることはいるんだけどね。でも、だからといって、ウチと相性が合うとは限らない。感覚的なものや、価値観が合う人なんてそうそう出会えない。というか、正直、ここ数年間では一人も出会えなかった。


で、H先輩との再会。

H先輩は最強だった。

今さら気づいたよ。


H先輩は、理想の人だった。
仕事も一流、それでいて人格者。
そしてなにより、感覚的なものや価値観が、ウチと最も近い人だった。

H先輩は言葉の密度が違う。
なにも言わずに頷いてくれる。
H先輩は、見て、聴く人だった。

そして、H先輩は関西弁で、ウチを励ましてくれた。
その眼差しが、その優しい声が、胸に沁みた。

「分かってくれる人がいる」

H先輩と再会して、そう思えた。
だからこそ、あぐらはかけないんだけどね。

H先輩に教わったことを思い浮かべる。
とてもシンプルなこと。


目の前の人を大事にしなさい。
そして、相手の言葉に耳を傾けること。


ウチは、イルミネーションがきらきら輝く街の中で、
込み上げてくる熱いものを冷ますように、大きく息を吸い込んだ。

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