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【エッセイ】 なんとなく生きてきた。
なんとなく生きてきた。
夢も情熱もなく、なんとなく親の言うことを聞いて、社会から外れないように、友達と喧嘩しないように、上司や先輩の言うことをちゃんと聞いて、後輩には甘い言葉ばかりを言って、当たり障りのないように、なんとなく生きてきた。なんとなく生きてこれた。これはウチの特殊能力でもなんでもなくて、それくらい平和な世界なんだと思う。
なんとなく生きてきたせいなのか、最近、なんとなくで全てが解決できるんじゃないかと思ってしまう。
世界はなんとなくバランスが取れている。優秀な人もいれば、そうでない人もいる。あまり偏った世界はないんじゃないかしら。偏っている世界には、たいてい厳密なルールが敷かれている。ルールがいっぱいあると、偏っていく。
なんとなく生きていける世界には、なんとなくのルールしかない。
なんとなく暴力ってダメだよね、とか。なんとなく人助けしたいよね、とか。なんとなく「ありがとう」って言いたいよね、みたいなモラルまで存在する。でも、なんとなくだから。あとは、なんとなく勝手にすればいい。
なんとなく暴力が必要な時もあるのかもしれないし、なんとなく助けたくない人もいるのかもしれない。なんとなく「ありがとう」って言えない時もあるのかなあ、なんて思っちゃう。それも、なんとなく取捨選択して、なんとなくやってくれよって感じ。
もしかしたら、「テキトー」だとか、「無責任」だと言われてしまうのかもしれない。でも、ウチは、こんな感じでなんとなく生きてきた。生きてこれちゃった。たぶん、日本って、そういう国なんだと思う。
でも、なんとなくは、見え方が悪い。「なんとなく生きてきました!」と言ったところで賞賛されない。むしろ変な目で見られてしまう。他にも、「やる気がない」とか「なに考えてるか分からない」とか「芯がない」などなど、ネガティブな意見を多く寄せられる。
ちなみに、なんとなく生きてよかったことは見つからない。友達が増えるワケでもないし、尊敬されるワケでもない。仕事が評価されたワケでもなければ、お金が稼げるワケでもない。
じゃあ、いったいなにが言いたいのかというと、ただただ、ウチはなんとなく生きてきたよー、ってだけ。ストレスだってなんだって、なんとなく生きたら、なんとなくなくなっていく。
でも、きっと、世の中にはがんじがらめになってしまって、「なんとなく生きる」という発想がない人もいるんじゃないかと思ってさ。なんとなく生きてきた人代表を気取って、なんとなく文章を書いてみました。
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