【エッセイ】 めんどくさいから、面白い。
面倒なことが多すぎる。
なにもかもが面倒だと思ってしまう。一人で生きていけるなら、こんなにラクなことはない。でも、残念ながら一人で生きることは不可能で、どうしたって面倒なことが立ちはだかってくる。
人と話すのが面倒で、相手を気遣うのが面倒だ。でも、会話をしなかったら、気遣いができなかったら、もっともっと面倒になる。だから、少しでも面倒を減らすために、面倒なことをしている。こんな風に思ってしまうあたしはダメ人間なんだろうか。
面倒じゃないことがない。色々考えていたけど、本当になかった。こうして自分の気持ちをキーボードに叩きつける行為ですら、実は面倒だったりする。
でも、面倒なことをしないと、フツフツとした自分の気持ちを抑えることができずに、もっと面倒になる。いろいろ面倒になる。この行為ですら、面倒を減らすための面倒なんだよね。
でも、面倒だけど面白い。
それは間違いない。
文字を書くのは楽しい!
手書きでも、キーボードでも。
あたしは、楽しくて好きな面倒。
面倒なんだけど面白いことはいくつもある。仕事だってそうなのかもしれない。趣味なんてものは、まさにソレだ。プラモデルをせっせと作っている人なんかを見ていると、「めんどくさいことしてるなあ」と思ってしまう。釣りをするとか、山に登るとか、植物を愛でるとか。どれもこれも、面倒に溢れている。でも、だからこそ面白いんだろうねえ。
突き詰めていけば、全ての面倒ごとは面白いのかもしれない。確かに恋をしてる時とかも同じだった。
「来週の日曜日、ヒマー?」
仲良しぶってメールをしたけど、返事がなくて「馴れ馴れしすぎたかな」とか考えちゃって、一人モンモンと悩んでみて。返事が来たら、またいちいち文面を考えて。相手に嫌われないようにとか、面倒な人間だと思われたくないとかいう面倒な気持ちが湧いてきて。ぜんぶ、面倒だった。けど、楽しかった。面白かった!
面倒なことほど、その先に待っている楽しさや面白さは膨らむのかもしれない。
そう考えると、少しは面倒に立ち向かえる。逆に面倒じゃないことって、その分の楽しみも減るのかな……。それは分からない。
でも、面倒を減らすために世の中は進化している。印刷物が生まれたり、機関車が発明されたり、インターネットが普及したり、パソコン、スマホ……。確実に面倒なことは減ってきている。
めんどくさい、めんどくさいと口の中で呟きながら日々を過ごしているけれど、便利が生まれて、面倒がなくなった世界に、楽しいことってあるのかな。
面倒だけど、指を動かして気持ちを書き殴ることが楽しいのに、AIが自動で文章を作ってくれたり、音声入力ができて、とにかく便利を勧めてくる。
人には必要な便利と、不必要な便利がある。
そして、必要な面倒と、不必要な面倒もある。
それを見極めるには、自分と向き合わないといけない。
自分と向き合う……、こんな面倒なことはないね!
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