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11. セールス(営業)マン【DX】Part3  信頼関係を構築する「質問」のスキル

昨年、「Tokyo2020」オリンピックが一年遅れて開催されました。
様々なことがありましたが「始まってしまえば」トップアスリートによる、素晴らしい競技・試合が展開されました。
やはりスポーツの力は凄い!と​私は感じました。​
今回お伝えするのは、セールス(営業)マン 【DX】  Part3です。

スポーツの競技・試合においても「流れ」は重要だということを改めて感じます。更には、チームやコンビ、個人においても個人とコーチの間のコーチングと、​それぞれのコミュニケーションも同様です。​
「悪い流れになれば、悪い流れを断ち切るコーチング/コミュニケーション」​
「良い流れを作る、コーチング/コミュニケーション」​

セールス(営業)の場面でも「流れ」は最も重要です
​「顧客(お客様)」の情報を引き出しつつ、その​情報から次へ進む、更なる「的確な質問」へと。​この最適なコミュニケーションの流れによって、​お客様の利益へと導いていく、ポイントとスキルを​お伝えしていきます。​

SPIN話法:質問のスキル

SPIN話法は「ヒアリング力」を高めるスキルです。​
顧客のニーズを的確にくみ取るためのヒアリング力は営業(セールス)マンにとって欠かせないスキルです。​顧客の潜在ニーズを顕在化させ、商談の成約だけでなく、信頼関係の構築まで導いていく「質問のスキル」です。​
SPIN話法は、顧客の潜在ニーズを引き出し、顕在化させていくヒアリングのフレームワークです。​

SPIN話法の目的(4つの質問)

S : Situation Questions 状況質問  :顧客の状況を把握する​
P : Problem Questions 問題質問 ​  :顧客に問題を気付かせる​
I  : Implication Questions 示唆質問​  :問題の重要性を認識させる​
N : Need-Payoff Questions 解決質問:理想のあるべき状態をイメージさせる​
※ SPIN話法は、事前に入手した情報を基に仮説を立て、質問によって検証する手法​

Situation Questions :状況質問

ニーズの糸口となる、お客様の事実状況などを聞き出す質問。お客様の置かれている仕事環境や業務活動、背景、実情を明らかにしていく。

【ポイントは】
・事実状況(特に提案したいソリューション周り)​だけを聞く質問を多用したり、しつこくやりすぎるとお客様は退屈したり、逆に反感を覚えたりする場合もあるため、お客様の「考え方」「意見」を聞く質問を交え展開する。​
・単発的な(シナリオがない)訊問調は避ける。​
​※ オープンクエスチョンを多用し、より多くの情報を入手する。
 気になったポイントがあれば、さらに掘り下げる。

■ 困りごとの読み/予測​
状況質問から聞き出した情報を整理し、お客様が​「何に」困っているか
予想する。​「○○○な事に、困っているはずだ!!」​ Problem Questions(問題質問)を投げかける前に、収集した情報を整理する。​

【以下のような内容】​
・業種、業態、業務内容​
・提供する(したい)ソリューション周辺​
・業務の流れ、発注等について​
・方針、スローガン ​
 スローガンに挙がっていたが、何かを改善する?したい?​
次に、これら(自社)が提供したい、ソリューションで解決できる状況を書き出す。​

Problem Questions:問題質問

先様は(自社の提供したい)ソリューションで、​解決できる状況にあっても、提供したいソリューションは持っていません。
という事は、解決できる状況が、困りごとに通じるということです。​(すべてが合致するという事ではありません。ターゲティングで絞り込む。)​​

困りごとの予測は、ソリューションで解決できる「○○○○で困っているはずだ」できるだけ、状況質問で収集した情報で、困り事を予測する。
​困り事の複数の予測から、問題質問を考える。​「○○○○○で、お困りになったことはございませんか」「現状は△△△と仰っていましたが、○○〇でお困りになった事はございませんか」​
※ 前提としては、ターゲティングした顧客は、自社が提供するソリューションで解決できるポイントがある。ニーズがあるということ。

■ 問題質問の留意点​
・ 現状の満足度を聞いてから → 問題質問をする​
・ 他社事例から御社ではこういった事でお困りになっていないか?
第三者トーク​ 「○○○ですよね」「○○○でしょう」というような
    断定・決めつけ口調はNG​
​​※ お客様が表明したニーズをより明確にするためにも、お客様が一度口にしたことを、具体的に話してもらう。詳細に説明してもらう​
 
例えば:​
・ それは、どうしてですか?​
・ その件について、もう少し聞かせて頂けますか? とか​
※ たとえ「たしかに○○○○で困っているよ」という返答があったとしても、未だ 「潜在ニーズ」と認識すること。焦って売り込まない!​

Implication Questions:​示唆質問

お客様が表明した、それほど重要と感じていない​問題が、他の問題を発生させたり、近い将来、又は​他部門にどう影響するかを聞く質問です。​
→ 問題の重要性に気付いてもらう!!​

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いわゆる、ずばっ!!と相手を斬る質問 >>
【ネガティブ】+【ネガティブ】を組み合わせた質問​
【お客様が表明した問題:○○○○】​
 ​    
【その問題によって引き起こされる更なる問題】​

■ 示唆質問の事例​
・○○○の問題は、関連部署の方で新たに○○○〇等のような問題を引き起こすと お考えになったことは、ございませんか。​
・これが影響を与え、新たに○○○○が滞ると、お考えになった事はございませんか。​

■ 質問の流れは:​
営業(セールス)マンの問題質問​
​   
お客様は潜在ニーズを表明 ※ここでも潜在ニーズ​
 ​​  
【示唆質問】 お客様が表明した潜在ニーズが、別の問題に波及するのでは?と、考え(気付き)質問する​
   ↓ 
【お客様】(お客様は問題の重要性を認識する)​うん・・・嫌な事言うな・・・あの部署は弊社の要だし、会社全体にも影響があるかもしれないし・・​・・・まずいな。​

■ 示唆質問の留意点:​
・別に波及する問題が「全くその通り!」「これは大変なことだ!」と、思えば思うほどOK​
・かなりお客様の立ち入った状況にフォーカスして行かざる得ないので、余り立て続けに捲し立てた質問はNG(人間関係の構築が必要)​
・こちらが解決できない問題、機密性の高い分野への波及はNG​
​・問題質問と同様で、決めつけて質問するのではなく、相手が答え易いように工夫する。​

Need-Payoff Questions:​解決質問​

問題が解決されたときに得られる、望ましい状況に​ついて聞く質問。​
お客様に問題解決によって得られる有益性や、重要性を認識してもらい、
明確な解決の 願望/必要性(顕在ニーズ)を表明するよう促す質問。​

■ 解決質問の留意点​
・ お客様に問題解決したいと思って頂くためにも、お客様が有益な点を
 見つけられるように表現を工夫する​
・ お客様が問題解決した時のイメージが頭の中に絵になるように、
 具体的に表現する。​
・ 解決質問は、プレゼン(問題解決提案)ではない。あくまでもお客様に、
 顕在ニーズを表明してもらう​質問のスキルです。自然な口調で!​
 
​【解決質問の事例】​
あ!そうなんですね。▲▲部長、ご安心ください。​〇〇〇の問題も、□□□で解決でき、△△△部署にも影響もなく、更にはサービス強化につながり顧客満足度も上がるという事を、お考えになったことはございませんか。​
お客様:​
そうか!影響もなく更に、CS(顧客満足度)も上がるんだね・・・。
改めて考えるとすごいことだ。私はどうすればいいんだい、すぐに提案してください!!​

◇◆ くれぐれも​・・・ ◆◇
スキルは頭で身につけるモノではありません。​
身に付ける条件は:​
・ 熟練トレーナーのもとで​
・ 基本トレーニングを受け(複数人以上で)​
・ 少なくとも1week or 2week に1回以上は、​
ロールプレイングを中心にトレーニングを続ける。​
 
​私でも、都度ごと「頭で考えて」少しは「できる」ようになるのに半年以上、身について普通にできるようになるまで2年かかっています。
​まずは、基本トレーニングをお勧めいたします。​

FABE話法

FABE話法とは​

提案などで使えるフレームワークです。​
営業(セールス)マンにとって、最も重要なスキルの一つで、そのあとに続くプレゼンテーションを理解しやすく、顧客に伝わり易くします。
​顧客に対して長々と説明してもあまり伝わりません。シンプルに端的に、FABEでまとめ上げて伝える方が伝わります。シンプルに理解しやすく伝えるには、それなりのスキルが必要になります。
伝えたい(提案内容)を事前に十分に理解しFABEにまとめ、準備する。​

■ FABE話法​
F:Feature 【特徴】​
(本提案の)特徴、概要の説明。提案の概要を一言で表す。
長々と説明することは簡単、しかし相手に伝わらない。​
 
A:Advantage【優位性】​
それで何ができるか。競合に対する優位性。​したがって競合を具体的にする必要がある。​

B:Benefit【顧客便益】​
顧客の得られる利益・メリット。​どうしても特徴を伝えたがり、抜けがちになる。​
[例えば] スティーブ・ジョブズ「iPod」の有名なプレゼンテーション。
「(それまで使い道が分からなかった)ジーンズの小さなポケットに入る!」 ​→「世界最小(Feature)」だが、Benefit を伝えた!
 
E:Evidence【証拠】​
提案を裏付けるデータ、実験事例。​お墨付き!○○大学教授の推薦、とか。
「3カ月で20㎏やせました」とか、使用前 → 使用後の写真、とか。​

FABE話法を使うタイミングは?

Need Pay Off : 解決質問により、顧客が必要性を認め、問題が解決されたときに得られる望ましい状況を明確に認識する →【ニーズの顕在化】
 
振り返りを行い整理した後、ソリューション提案、プレゼンをする前のタイミングで FABE話法を使用して商品・サービスの、
F:特徴(どんな機能か)
A:優位性(○○で何ができるか)
B:利益(○○によってのお客様の利益)
E:証拠(裏付け、証拠を見せる)
を伝える。
※FABE話法はプレゼンテーションではありません。

プレゼンテーションの​ステップ​

【お客様の問題点(顕在ニーズ)の確認】
     ↓↓↓
お客様の利益を訴える(FABE話法)​
 Feature(特徴) Advantage(優位性)​
 Benefit(利益) Evidence(証拠)​
セールスツール → 視覚に訴える。​(事例/サンプル/写真/データ)​
提案書 → お客様への特別仕様という内容で要点を​分かり易く纏める​
デモンストレーション → 主役はお客様を忘れずに!

FABE話法での​2つのポイント

​商品/製品/サービスの特徴​
◎ セリング・ポイント​
売り手から見た機能、性能などのセールスポイントとなるもの​
(カタログに表示されたもの)​
◎ ベネフィット・ポイント​
買い手側での機能、性能などがもたらすメリットとなるもの。
(お客様の個別事情)​

第三者(社)の例/データ/資料/Evidence​
お客様のライバルとなる競合を例に出すのは大きなインパクトとなるが、先様(お客様)の担当者(プレゼン出席者)によっては、ネガティブに反応する場合もあるので慎重に。​
​【ポイントは】​
曖昧な表現はNG。利益の部分は数値化したデータを使用し具体化する。
お客様に安心感を与えるため、​利益の訴えは、​
「○○○○と思う」「たぶん○○○」は NG!
「○○○○できます」「○○○になります」​と、言い切る!​

お客様が表明した顕在ニーズ(願望・必要性)に対し、FABE話法と提案するソリューションによって、何が解決でき、何がお客様にとっての利益なのかを伝える。(事例・数値化されたものを使って)​
 
これで、プレゼンテーションの準備は整いました。
次回は「クロージング」をお伝えいたします。​



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