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【WEBディレクション】サイトを作る手順書その1【作り始める前・超大事】

はじめに

 皆さん、WEBサイト作ってますか?
 ゼロ→1で作る経験って意外とない物です。仕事であればすでにオウンドメディアがあったり、何かしらのサイトの運営を任されることが多いでしょう。
 新規事業やベンチャーなどだと、新しく作ることが多いですね。
 ですが、経験のない人が一からWEBサイトを作るってすごく大変です。
 WEBサイトが出来上がるまでにはあらゆる方面の知識が必要になります。
 一人ではどうやってもできないと思います。
 一緒にやって行くチームについての話しはこちら(【WEBディレクション】チームマネジメントの難しさ【どうしたら良いの?】)でやりましたので、今回は実際の作り方からやりましょう。

でもまだサイトは作らないです

 なぜに? と思われたでしょうが、その理由はこちらにも書いています。
 家を建てるときに「よし建てよう!」といきなり釘やトンカチを持たないように、まずは「どんなサイトを作ろう」ということを考える必要があります。
 具体的には

・どんなテーマの
・誰に向けた
・どういった内容の
・どれくらいの規模の
・いくらくらいで
・いつまでに

 作るかを決めなくてはいけません。

どんなテーマ?

 これから誰かに向けて情報(ECサイトも商品情報を扱っているので同じ)を発信しようとするのに、何がテーマであるか、つまり「このサイトはこういったことを伝えるサイトです」というのを明確にしておかないと、サイト運営開始数か月で辛い目に合います。
 ここをどれくらいしっかり決めるかで後の動きやすさは格段に違います。

 例えば

・ゲームのサイト

 と決めて作るのと

・FPS攻略情報サイト

 と決めて作るのでは具体性が全然違いますよね?
 前者はパッと見た瞬間に記事のイメージが付きませんが、後者はCoDやフォートナイトやったことある人ならピンとくるでしょう。
 あらかじめ取り扱う情報の範囲を決めることで、

・どんな記事を書けばいいか、ライターや編集者の目線が合う
・サイトの情報が整理され、見やすくなる
・ユーザーが目的の情報を探しやすくなり、傾向の似た記事を探しやすいためファンになりやすい

 といったメリットがあります。
 だからと言って絞りすぎるとネタが無くなり、記事が出せなくなりますのでご注意を。絞り込みの基準としては「そのテーマで記事が2000本書けるか」くらいを目安にどうぞ。
 月50本の記事を出したとして、年間600本、3年持たせるには2000本くらいは書けないとダメですよね?

お客様はどなた様ですか?

 次に誰に向けたサイトであるのかを決める必要があります。
 ターゲット、ですね。
 「あーはいはい、若者向けです」
 とかでは当然ダメです。
 ここは最終的にこれくらいは最低限絞りましょう。

・10代から20代のFPSゲームをスマホでやっていて、課金してでもスキンが欲しかったり、1日10時間とか遊んじゃうコアユーザー

 これによって何が決まるかというと、記事の内容が決まります。
 このユーザーに向けて「FPSとはファーストパーソンシューターの略で、一人称視点で銃撃戦を行うゲームのこと」なんて記事は出しませんよね?
 むしろ、「新シーズンの情報をいち早くキャッチし、それらの強ポジ一覧を提供しよう」なんて記事の方がウケそうです。
 また、ターゲットが明確になることでサービスの展開や彼らがサイト内でどう動くのかという想定、運営開始後の分析方針も分かりやすくなります。

 例えばサイトオープン後に分析を始める際に、ターゲット層の来訪が多いのか、彼らがどうサイト内を回遊しているか、ヒートマップなどで確認することで改善の手が見えてきます。
 また、広告を配置する場合でも、ターゲット層が明確である方がクライアントも出稿しやすいです。

 できればペルソナ、というもっと具体的なN=1のユーザーを想定することもして欲しいです。
 これはターゲットやサイトテーマに沿った一人の人物を作り上げることです。

 都内在住の20歳の大学生で、男性。主にプレステでCoDをプレイしている。学生だがバイトをしているので比較的金銭に余裕はあり、家にこもりきりではなく友達付き合いもある。オンラインで一緒に対戦したり映画を見に行ったりファストフードを食べたり、休日は友人と過ごすことが多い。ファッションにはそれほど興味はないが、ゲーム関連のアイテムは大好きで、レビュー記事は熟読する。結構形から入るタイプ。ゲームプレイのスタイルはスナイパータイプで、マップをつぶさに確認し、強ポジを探してじっくりと狙うことを得意としている。ゲームには課金することが当たり前だと思っている。

 今適当に作りましたので的を射てはいないのですが、こういう人物像を想定し、「この人にサービスを届けるのだ」とチーム内で共有することで新しいことを始めるときにも、既存のサービスや記事をアップするときにも基準ができます。
 結果的にブレないものが提供できるため、ハイクオリティなサイトにすることができます。 

サイトの完成像をイメージできるかな?

 テーマやペルソナ、ターゲットなどが決まれば、いよいよサイトの内容の検討に入ります。
 たまにびっくりするのですが、ここの部分を制作会社に丸投げできると思っている人が結構いらっしゃいます。
「この予算で家作って、こういう若者向けの」
 と言われても、和室はいらないのか、車庫は不要なのか、バリアフリーは不要なのか、などちゃんと言っていただかないと後でもめます。
 大体そういう発注の仕方をすると、「これはなんか違う」となります。
 そうなる前に、自分たちが開発するサイトの要素を確定しておく必要があります。
 開発する、と書きましたが、それは制作会社のプログラミングのことではなく、サイトが形になるための全ての要素をプロデュースすることです。制作会社はあくまで実務をするだけだと思ってください。プロデュースも一緒にしてくれるのはかなり高度なコンサルティング会社の仕事です。

 要素としてはいろいろありますね。FPSゲーム攻略サイトを例にしますと。

・カテゴリ(メインの話題となる記事種類)
・トップ構成(トップに配置する要素、後日詳細書きますね)
・一覧構成(記事一覧ページの構成。アイキャッチは必要か、記事の積み方、ソート順など)
・記事詳細の構成(日付は更新日か公開日か、パンくずの作り、フォントの大きさ、h1、h2要素、その他リストなどの要素、広告配置などなど)
・ヘッダ、フッタ
・サービス要素(会員機能やアンケート機能など)
・固定ページ(about、規約、運営会社などなど)

 最低限これくらいは決めないといけないでしょう。
 その他にブランドガイドラインも必要だと思います。

・サイトのカラーイメージ(カッコよさを全面に、黒中心に使う、など)
・サイトのオブジェクトイメージ(シャープなイメージを持たせたい、など)
・サイトのタイトル(これ、時間かかります。商標登録されているかの確認なども含む)
・サイトのロゴイメージ(タイトルに込めた思い、ペルソナなどを提示する必要があります)

 すごく大変ですね。でも、これらを検討しないままに作り始めると、どこかでちぐはぐなことになってしまいます。結果としてサイトブランドが保てず、上手く行かない、と。
 これらの要素を検討するのにもテーマやペルソナがしっかりしていることでやり易くなったりする面がありますので、前準備は非常に大事ですね。

犬小屋と豪邸では作り方が違う

 h2に書いた通りです。
 上記要素とは別に、サイトの規模感を考える必要があります。
 それは最終的に予算にもつながります。
 記事は月に何本出すのか、広告はどのジャンルの企業をターゲットに月何imp掲載予定なのか、サービス全体でどのくらいのアクセス数を検討しているのか、PRは出すのか、テレビ露出は、外部配信や外部からの記事提供はあるのか、ライターは何人規模の予定なのか、などなど。
 サイトのページ数やアクセス数はそのままサイトの作り方に影響します。
 月間10万PVを最大値と検討している場合と1億PVを検討している場合でも当然違いますし、成長曲線をどのように描いているかによっても異なります。

 そういう時に大事なのが、KPI(Key Performance Indicator)の設定です。
 事業指標をどのように置くかによってサイトに対する期待感や規模感がよく分かります。
 例えば初期第一クオーター(第一四半期)にまず月間10万PVを達成し、第一決算で月間100万PVを目指す、など。
 またはSNS施策を取り入れているのでフォロワー数を●●人、などです。

 これらの情報を制作会社に提供することで、彼らは初期フェーズで何をすべきか、半年後、一年後に何をすべきなのかを想像します。
 同時に、運営チームもその目標を達成するためにその時期に何をしておかなければならないかが明確になってきます。
 PV数を達成することが目的であれば、毎月記事を何本投入すべきか、その一本ずつが何PV稼ぐ計算になるのか、PV数の内、SEOで何人、外部配信で何人、SNS流入で何人、などの施策も検討すべきですね。それに伴う分析も必要になります。
 また、これらのPVを達成することが前提で、順調に伸びているのであれば広告案件も獲得しやすくなるでしょう。

予算は無限では無いといっても予算内で作れるとは限らない

 こちらの記事でも記載した点ですが、皆さんはWEBサイト一つ作るのにどれくらいかかると思っていますか?
 企業ユースのサイトは数万円ではほぼできないと思った方が良いでしょう。数百万はかかると思いましょう。
 とはいえ、自分たちでどのくらいかかるかを正確に把握するのは難しいと思います。

 正直に、そこはプロに任せましょう。
 仮に上までに話したことがきちんとできているのであれば、制作会社に見積もりをお願いして良いと思います。
 その際に気を付けるべきことは

・想定してしているリリース時期は何年何月
 (決してここまでに作って欲しい、ではなくてここが目標であるとしてください。時期は必ずズレます)
・必要な資料は全て見せましょう。隠したり考えてないところを適当に答えない。考えてないところは検討して報告する、くらいの誠意があった方が良いです
・コロナのご時世ですが、慣れていないのであればメールなどで無くきちんと対面(オンラインMTG)で話してくれるところを選びましょう。

 一番目は次の節に譲ります。
 二番目は大事です。ここで齟齬が起こると、見積もりにも影響しますし、制作品質にも影響します。分からないところは分からないで良いのです。検討して提示する、一緒に考えることが可能か聞いてみる(もちろん見積もりに含む)などで対応しましょう。
 後日書きますが、制作会社からは「要件定義フェーズ」を設けさせてください、と言われる場合があります。特にWEB制作に慣れていない場合はこちらからお願いするくらいの勢いで行きましょう。金額は高くなりますが、自分たちに無い知見を得るチャンスだと思ってお願いしちゃいましょう。
 三番目も慣れていない時はメールではニュアンスが伝わらず、すれ違いがおきます。
 対面で話すことで相手の雰囲気も分かりますし、熱意も伝わります。分からない部分をリアルタイムで質問することで誠意も伝わるでしょう。制作会社もビジネスでやっているとはいえ、気持ちよく仕事したいし、面白い仕事がしたいと思っています。なので、そういう関係が構築できるところと仕事できるようにお互いに手の内を見せあいながら誠実に付き合っていきましょう。

予定は未定が当たり前

 では最後にスケジュールの話しです。
 企画立案時にリリース日の話しをするのは止めましょう。
 少なくともサイトの規模感が明らかになってきた時点でようやくリリース目標を立て、制作会社との見積もり交渉の中でWEBサイト開発に何か月かかるかを概算で立てていただいたものにプラス半年くらいを見ておきましょう。
 私が実際に関わった案件で一番ひどいものはそれくらい遅れました。

 見積もりを取ってからリリース日を決めることもやめましょう。
 制作に入る前にそもそも社内稟議で発注が遅れることもありますし、発注できても要件定義で思わぬ検討点が出てきて遅れが出ることもあります。
 実際にリリース日が決まるのは要件定義完了後、制作に入ってからになります。
 まあそれでも遅れが出ることはままあるので、少し余裕を見たリリース日程を組むことは絶必ですね。

 リリース日を先に決めてしまい、制作会社に無理をさせると、場合によっては外部からリソース確保したり、新人を投入せざるを得なくなったり、徹夜や休日出勤(いわゆるデスマーチ)になってしまったりでエンジニアのモチベーションと体力、集中力が激落ちします。
 その結果、クオリティが上がらず、完成が遠のく、なんてこともよくある話です。
 無理、良くない、絶対。

最後に

 今回はWEBサイト開発の「サイト制作前」の話しをしました。
 道のり遠いな、と思ったでしょうが、これは避けられない流れです。
 アジャイルにMVPでリーンスタートなんてカッコよく言っていても、実は世の中でパパっとサービス出しちゃう人たちは

・そもそも制作に慣れているので手順や内容を省略、簡略化しても完成度の高い資料が出来上がる
・自分たち自身がWEBサイト制作のできるエンジニアリングリソースである、もしくは抱えているので打ち合わせをしながら作ったり壊したりが簡単にできる(現物を見ながら打ち合わせができる)
・既存のものを流用したりして省力化する手立てが豊富

 であったりします。
 これは大企業やIT関連でない場合はかなり難しいと思います。
 大人しく手順を踏みつつやっていきましょう。

 次回はおそらく、制作会社との付き合い方についての話をすることになると思います。

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 それでは、あなたが苦労少なくよりよいサイト開発ができますように!
 

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