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着物は楽しい

還暦を過ぎたら、“家でも着物の生活をしたい”。
50代に入った頃、そう考えたことがありました。
年配の女性の着るもの問題は深刻です。

何で日本の高齢女性にお洒落な人が少ないんだろう。
若い時はサマになったTシャツとジーンズ姿、今は何かが違う。
似合わない。
体系の変化は認めるにしても、
シンプルでエレガントな大人の服っていったいどこにあるのよ——っ?
お手本になる人誰かいる——っ?

そんな問題を抱きつつ迎えた60才。
しかしそこに具体策はなく、
意識が強く着物に向いたわけでもありませんでした。

ある時、美容師の娘が、
“家にキモノある?”と聞いてきました。

着物を着たいお客様が来店されたのを機に、
すっかり忘れてしまっている着物の着方を復習したいとのことです。

探して出てきた古い着物と、
イカの頭のように途中三角に折れた変な形の帯らしきモノ。
名古屋帯をイカに例えるとは、無知もはなはだしかった私。

そんなある日、新橋演舞場にお芝居を観に行く機会がありました。
6月のこと、夕より雨の予報が出ている日でした。
友達が、雪のような髪を美しく結い上げた着物姿の
お母様と共にやって来たのです。

真直ぐな背、エレガントな所作。
一瞬で目も心も奪われてしまいました。
帰り際、かなり激しく降り出した雨にもさらりと雨支度。
うーん(唸る)私も着物着たい!
漠然としていた着物への思いが形になった瞬間でした。

着物を学ぶことは楽しいです。
学ぶほどにあまりの奥深さに圧倒されること多々ありますが、
今は、年をとったから、とか洋服がに合わなくなったから、
などという考え方ではなく、
洋服ももちろん着たいと思いますし
100人いたら100通りのコーディネートがある、
魅力的な着物ライフを
気負わずに楽しんでいけたらいいなと思っています。