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僕たちは、あの夏「主人公」になれなかった。

#君羅文庫
『風が強く吹いている』
三浦 しをん 著 

僕たちは、あの夏「主人公」になれなかった。

大学4年の夏、僕が所属する体操競技部は、1部残留をかけて全日本インカレを戦っていた。
大学スポーツの場に身を置くと、スポーツ漫画を読んだ時の「主人公になる感覚」を味わうことがある。
『スラムダンク』の山王工業戦を戦う湘北高校のメンバーになったような、「僕らは主人公、最後には良い結果が待つ」という「希望」を感じながら競い合う。

しかし、その夏の試合中に感じた「希望」は叶わず。。全日本インカレの結果は、1部最下位。2部への転落となった。
僕たちは希望が叶う物語の主人公にはなれず、最後の夏を終えた。


『風が強く吹いている』は、駅伝の素人集団が力を合わせて箱根駅伝を目指す物語。
僕はこの小説に、あの夏の「希望」を叶えてもらいたかったのだと思う。

箱根駅伝出場を目指す「竹青荘」のメンバーは、僕たちの叶わなかった「希望」を叶えてくれる頼もしい、いや頼もしくなっていく10人の「主人公」たち。


彼らは僕をまた、希望が叶う物語の主人公にしてくれる。



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