見出し画像

結婚するか、首を吊るか: ワインの最後の1杯のお伽話

ところで、フランスでは皆でワインを飲んでいて、ボトルを空けてしまうことになる最後の1杯を注がれた人は《その年の終わりまでに、結婚することになるか首を吊る“羽目”になる》という迷信があって、(私の周りでは)独身の男達は嫌がって避ける(半分、面白がっているだけな印象もあるけれど…)。

ビストロでも誰かの家でも、気の置けない同士だと、ワインボトルはテーブルを行き交って、お互いに適当に継ぎ合うので、話に夢中になっている独身男のグラスに最後の1杯を注いでしまう“嫌がらせ”のようなことも盛ん。もちろん当人達も心得ていて、その攻防戦(!?)は見ている方には面白い。迷信とわかっていても、顔を引きつらせるほどの人もいる。

夫がただの男友達だった頃に、彼の(やはり独身の)親友と3人で出かけた時には、いつも最後の1杯をめぐって揉めていた(そんなに嫌なら残せばいいのに、捨てることにしてしまうのは勿体ないらしい)。

たまたま隣り合った見知らぬ人達のテーブルで、最後の1杯を「注ぎきらないでくれ」と抵抗しているシーンを見かけたことは折々あって、ソムリエ達はいつも、からかいながらもほんの気持ち分、残してあげていた。

そんな懐かしいシーンが、明日からまた見られるようになるフランス。約7ヶ月ぶりに(間隔を取ってのテラス席だけだけれど)飲食店が再開になる。嬉しい。

…さてさて、フランス暮らしでもそうでなくても、年内に結婚したい人も逃げ切りたい人も、ものは試しで《最後の1杯の行き先》に、ぜひご留意を。


気に入っていただけたら嬉しいです🍀