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The Marseille百景 ≪ in Stillwater ≫: マット・ディモンの映画で改めて“聴こえた”マルセイユ

東京で友人がマット・ディモンのマルセイユ舞台の映画を観てきたけど、ザ・マルセイユという感じだとFBコメントがあったので、

夫と週末にオンデマンドした。

2019年頃ロックダウン前に撮影されていたはずで、マット・デイモンを見かけたという話はそこここで出ていたけれど、映画館もずっとしまっていたし、公開が遅れに遅れたこともあって、すっかり忘れていた。周りで、誰かがこの作品を観たとも聞いていなかった(映画や書籍やイヴェントの意見交換はよくある)。

「どうせ、いつもの荒れた感じでいかにも世の中の人がステレオタイプにイメージしているものだろうし…」と、夫はこの週末に読もうと持ち帰っていた資料を広げながら、チラチラ画面を眺めていたけれど、しばらくして「最初に戻していい?」

コーヒーを入れ直し、ゆっくり見直すことにした。

私たちにもなじみのある場所だったり、映画やドラマでしか見たことのない地域だったり、確かに、マルセイユのあらゆる地区を、外国人の目と居住者の目で交差させながら描いていた。


Cours Julien © kimikoBOTTI

1枚目は、クールジュリアンという、コスモポリタンで手頃な価格帯のバーや飲食店がごっそりあって割と幅広い年齢が往来する一方で、オーガニック志向なカップルが好んで住むのが目立ったりするエリア。

行くのは嫌いじゃないけれど、住むのには選んでいないのにはいろいろ理由がある。

ちなみに、6月にある書店で出版記念会があったときに、夫と現地で19時に待ち合わせしていて、メトロの駅を出た途端に暴動が始まったのに出くわした。火炎瓶飛び交う中を、ちょうどこの数軒隣の向かいの、シャッターを下ろしかけている店に飛び込んで、一緒に避難させてもらった。既に書店の中庭に着いていた夫たちのところからは数十メートルほどで、電話で状況を知らせたら、驚いていた。発砲音は聞こえていたらしいけれど、そこまでひどいとは想像がつかなかったらしい。

店のマダムは、慣れた様子で、従業員の若い男の子に、戸締りを確認させて、一緒に逃げ込んだテラス客たちは、手に手にビールを持っていたのがなんともシュールだった。

Corniche © kimikoBOTTI

2枚目は、海岸線の一角。高台に向けて家屋が立ち並ぶ。

メインキャストの1人の小さな女の子のmarraine(洗礼時に選ばれるゴッドマザー、子供の成長を一緒に見守り、母親に有事の際は代わりを担う存在)が住んでいるお邸はこの辺りの設定。

Marseille © kimikoBOTTI

3枚目は、高速道路から見えるMSRSEILLEの看板。この北の地域の一角には、失業率70%とも言われる高層団地群があって、フランス語直訳だと敏感な地域と表現されるように、一触即発の緊張感で溢れている(と、フィクションでもノンフィクションでも描かれている)。
ネタバレになってしまうので、表現自体は書かないけれど、言葉の解釈・常識の隔たりのせいで起こった行き違いが軸になっていて、改めていろいろ考えさせられた。
作品原題は、『Stillwater』
Yukiko-san 教えてくれてUn Grand MERCI🍀

気に入っていただけたら嬉しいです🍀