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私的「和」を感じる名曲 5選 +2

音楽の三大要素とされる
リズ厶・メロディ・ハーモニー。
これらによって楽曲が構築され、
曲調と呼ばれる雰囲気が創り出される。

雰囲気とは明るい/暗い、だけではなく
「どこかの国っぽさ」が表現されることも
少なくない。

今回は個人的に「和=日本っぽさ」を感じる名曲を
ジャンルを問わず紹介させていただきます。
お楽しみいただければ幸いです。


1.花吹雪 / THE YELLOW MONKEY

このバンドのこのタイトルの曲ならば
聴く前から、ただ美しいだけでないこと、
春の穏やかさや希望を歌った曲ではないと
だいたい察しがつくだろう。

なんなんだ、この昭和感ぷんぷんで
サイケデリックでドラッギーな雰囲気は。
すべてを諦めて、美しく堕ちていくような
いかにも「和的な美学」を独特な世界観で
表現することに関して、このバンドを超える
アーティストは今後、そう容易くは出て来ないだろう。


2.夕立とかくれんぼ / ソウル・フラワー・ユニオン

正直このバンド自体が和風ロックの代表だと
思っているので、どの曲を選ぶか悩んだが、
聴くと泣いてしまいそうになるこの曲とした。

私的に深夜のテレビで偶然、観て20年くらい
ずっと頭の隅に残っていた曲である。
最近になって調べてみたらソウル・フラワー・ユニオンの曲だったというお話。

「泣いてしまいそうになる」というのは
壮大さや崇高さに感動する、というような
理由ではなく、夏の夕暮れ時に理由もなく
襲ってくるモノノケのような寂寥や焦燥が
想起されるからだ。

このバンドの和風ロックは「風の市」や
「満月の夕」「海行かば 山行かば 踊るかばね」なども是非、聴いてみていただきたい。

3.johann / この夏をとじこめて

今回、唯一のインスト。
和風の旋律を異国のリズムに乗せるインストという
のは、このバンドの専売特許のようなものだ。

メンバーは自身らを「インスト界のTUBE」と
冗談のように言っていたが一聴すれば、
その意味がわかるだろう。
踊れて、メロディは観客のシングアロングが
聴こえてきそうなほどキャッチー。

他バンドとコラボしたボーカル曲「話灯」も
おすすめとして挙げておきたい。


4.Luv(sic) Part6 / nujabes

36歳の若さで惜しまれながら逝去した
トラックメイカーの作品より。

ラッパー・Shing02との「Luv(sic)」シリーズは
名曲ばかりだが、nujabesこと瀬場 潤 氏の活動を
長年、支えた宇山寛人 氏がリミックスした
バージョンは今回のテーマで選ばない理由がない。

つま弾かれるギターの儚げで切なく、
その和風の旋律に乗ってくる
Shing02らしいメロディアスなラップは英語だ。

しかし本来、この極東の島国にはない文化である
ヒップホップがガラパゴス的に進化し、
見事にひとつの音楽ジャンルとして
昇華したことを感じ取れる美しき「和」が
表現された一曲。


5.月 / 桑田佳祐

知らない日本人はいないと思われる国民的バンドの
フロントマンについて説明は不要だろう。

本丸のサザン・オールスターズのほか、
KUWATA BANDやソロ、コラボと作品を
量産している御大だが、いまいち、
それぞれのバンドやプロジェクトの曲と
サザンの曲が差別化されていない印象はある。

しかし、この曲はポップ路線のサザン名義では
できないであろう。
収録されているソロアルバム「孤独の太陽」は
ブルースやフォークに寄せたアルバムと
なっており、明らかにサザンとは異なる
桑田佳祐の世界がてんこ盛りだ。

他のアーティストに提供すれば演歌や歌謡曲に
カテゴライズされても違和感がない曲だが
ブルースやソウルを通過した桑田氏の歌唱に
よって、あくまでも「和」テイストの
ポップの枠にとどまり、多くの日本人を魅了した。

〜番外編〜

+1.望郷じょんから / 細川たかし

これは演歌歌手が解釈したロックである。
細川氏の伸びのある通る声と力強い演奏は
ジャンルを飛び越えた名曲と言える。

+2.まほろば / さだまさし

若かりし日のさだ氏が日本サッカー界の
レジェンド・中村俊輔にそっくりだ、
とかそういうのはどうでもよい。

こういった曲は天才に降ってくる
奇跡によって世に放たれるのではないか、
と思えるほど神々しい曲。

万葉集からインスパイアされたという歌詞の
ストーリーテリングの業は張り詰めた空気感で
展開され、鬼気迫るような窒息寸前の最後のサビで
ピークを迎える。

この曲を作ったとき氏は27歳だったそうだ。
代表曲「精霊流し」は氏が22歳で
リリースしたシングル。
それを考えると作った年齢に驚きはない。

素晴らしいシンガーであることは
誰もが認める氏だが歌の上手さを
上回るソングライティングの才を
容赦なく証明した紛れもない天才による
最高傑作と呼べる曲である。


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